望んだ存在 ~soul~
第三部目です。
次で終わりになります。
この話は他よりも短いかもしれません。
私が世界に作られて間もなく、私は死神という役目を背負わされた。
地上に降りては、死んでいくものの日付や記憶などを記録していく役目だ。
たまにもうすぐ死にそうな人間の死期を速めてやったこともあった。
ひどく苦しそうに喘ぎ、早く死にたいと願っていたから。
そのことでとやかく言われることはなかった。
私は死ぬことがない。
だからこそ、永遠に一人だ。退屈だった。
だから、私を作ったものに一つだけ願ったのだ。
魂を一つだけ、作ることを許してほしいと。
寿命はなるべく長くしよう。
男でも女でも構わないが…気分で女にした。意味はない。
できた人間はなかなか上手く出来上がった。
あまり喋ろうとしないが、よく笑った。
「××××年 ×月 ×日」
「男が一人死んだ。記憶として鮮明なものは恋人と結婚できた日」
「未桜、勝手に読むな」
「暇なの。許して?」
「まったく…」
暇な時間は減っていった。
魂に幾つかの改竄を行っていたため、未桜が歳をとることはなかった。
長い年月を共に過ごしていく過程で、お互いがお互いの事を意識し始めるのに、時間はそうかからなかった。
私は、未桜を愛していた。
ずっと、この時が続くと思っていた。
ある日、未桜がどこかにいなくなった。
必死に探して、見つけ出した時には相当弱っていた。
原因は不明。未桜にもわからないようだった。
その日を境に、未桜はだんだんと動けなくなっていった。
「歳はとらなくなっていたけれど、寿命がなくなったわけではないの」
ある日告げられた言葉に愕然としたのを覚えている。
原因はほかでもない、私が定めた寿命だった。
毎日が幸福過ぎて、忘れていたものだった。
また、未桜がいなくなった。
今度は手紙を置いて。
探すななどと書かれても、聞き入れられるはずもなかった。
切り立った崖に、未桜はいた。
今にも崩れそうな崖から、一歩踏み出すのが見えた。
「未桜…!」
柄にもなく、私は焦っていた。
私が作ったとはいえ、魂は人間のもの。
あんな高いところから落ちれば、寿命が尽きる前に死んでしまう。
人形の首をへし折るよりも簡単に。
未桜が振り向いた。
泣いているような気もしたし、笑っているようにも感じた。
行くなと叫んでも、未桜はもっどては来ない。
私が彼女の元に行くより早く
…彼女は飛び降りた。
××××年 ×月 ×日
私の、最愛の人が、死んだ…




