望んだ結果 ~future~
夢を見た。朝見た夢よりも、もっとはっきりしたもの。
それは、過去の思い出のよう。
それは、私の前世だった。
気づいたら『ここ』に存在していた。
気づいたら私は彼と共にいた。
彼が私を作ったことを、私は知っていた。
時がたった。
なぜか体が重い。彼を心配させたくない。
彼を作ったという存在の元へ、私は行くことにした。
言われた言葉は、刃のように私を貫いた。
寿命、それは誰もが持っている命の期限。
彼はだいぶ長くそれを定めたようだけれど、人間である私に永久を生きることはできない。
いづれこの体は老いることなく朽ちるだろう。
そんな姿、彼に見せられるだろうか?…いや、できない。
いなくなった私を、彼は死に物狂いで探していたようだ。
どこへ行っていたのかと聞かれて、とっさに嘘をついた。
本当のことを言ったら、私のことまで言わなくてはいけない。
それは嫌だと思った。
日がたつにつれて、自分の体が死んでいくのがわかる。
そろそろ潮時なような気がした。
私の死体を、彼には見られたくない。これはエゴだ。
また私は彼を作ったものの元へ、今度はお願いしに行った。
「私が死んだら、亡骸はあなたが拾ってください。愛しい人に、私のそれは見てほしくない」
彼を作ったものは、厳かに頷いた。
私はその後、真っ直ぐに絶壁の崖に向かった。
すぐには足が動かなかった。怖かったから。
でも、躊躇っているうちに彼がこちらに駆けてくる。失敗したな、と思った。
彼が必死に私の名前を呼んでくれているのがわかる。
こんな時なのに泣きたくなった。彼と離れるのが悲しかった。
でもこれは、自分のエゴなのだから、泣いては駄目だ。
私は、感情とは反対にほほ笑んだ。
どうか、私の事は忘れてください。私は一生忘れないでしょう。
「さようなら、フィア。…私の、愛しい人」
私は思い切り、地面を蹴った。
未桜が目を開けると、そこは不思議なところだった。
下に広がるのは、大きな町。
おそらく、未桜が住んでいたであろう町。
周りを見れば、たくさんの白い花が咲き誇っている。
緑が多い、木もあれば草もある。
そんな自然の中に、白い机といすがどうかしている。
その白い椅子に、フィアが座っていた。
未桜の視線に気づいたのか、フィアがこちらを向いた。
そして向けられた愛おしそうな笑みを、未桜はこそばゆく感じた。
「気が付いたか」
「うん。昔のこと…思い出した」
「…そうか」
「ねぇ」
「なんだ」
「私ね、昔からよく事故にあったり、死にそうになったりしてた」
「…………」
「不思議よね。でもどうしてか、結局いつも死なないの」
未桜は確信したような顔で、フィアを上目づかいで仰ぎ見る。
それに、フィアは観念したように頷いた。
「確かに、そんなこともしたな」
「そんなに、会いたかったの?」
「ああ、会いたかった。会いたくて会いたくて、狂いそうなほどに」
「でも、私は未桜だけど…未桜じゃ、ないよ」
「…わかっている。昔とは、全く違う」
そういって、フィアは顔を近づけてきた。
数㎝しか離れていないフィアの顔に、未桜は顔を赤くせずにはいられない。
フィアの口は、形よく弧を描く。
「昔と違い、これからはずっと、一緒だ。未桜」
顔の近さに照れていた未桜だが、『一緒』という言葉を聞いた途端に、花が咲いたかのような笑顔を見せた。
それにさらに笑みを深めたフィアは、そっと未桜の唇に己のそれをそっと重ねる。
「愛している、未桜。昔も、今も。そして…これからも」
「うん。私も…大好きです」
そう、これは長い長い時間のお話しの、ほんの始まりに過ぎない
完結です!
どうにか宣言どうり四部構成で終わることが出来ました。




