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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第五章 日常と非日常

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5―6 帰国してからの日常? その六

 D国の調査団が出発したのは5月18日の事だが、それから約一月が経過したが、その後、調査経過の発表などは一切ないな。

 敢えて秘密にしているんだろうと思われる。


 黄さんの情報では、例の時空亀裂を発生させたと思われる装置を中心に調査しているようだ。

 但し、そっちの調査はどうも米国主導であり、他の国の調査隊員は噛ませてもらえないらしい。


 日本から行った調査団員は、放射能関連の調査と、生物学の調査及び病原体の調査になっているようだ。

 面白いのは黄さんのお仲間に、D国古来の仙人(導師?)で守護霊になったワンゴムという人物が居るらしい。


 その人物が守護していた人物は、既に亡くなっているんだけれど、どうも例の装置の開発チームに入っていた女性の博士だったらしい。

 例の装置が起動して間もなく、時空亀裂が発生し、とある装置のコンソール付近に居た当該人物は、大きな過電流がコンソールから放出された煽(あお)りを喰らって感電死したようだ。


 但し、この放電をして壊れた装置は、外部計測用の装置であったために、全体のシステムそのものには影響がなく稼働を続けていたらしい。

 ある意味で火の玉のようなもの(プラズマ?)が制御室を走り回り、その瞬間に火災が検知され、警報が鳴ってハロゲンガス消火装置の稼働が周知されたために、動ける研究所員は全員が施設から急いで避難したんだ。


 そのために、装置は止められずに稼働したままの状態になったんだな。

 研究所の幹部職員は、装置を止めると再起動に一週間以上もかかることから、半日も経てばハロゲンガスを放出できて研究所に戻れるものと見込んで、そのままにしていたみたい。


 ところが、施設から逃げ出した研究所員は、時空亀裂から溢れ出て来たモンスターに食われてしまったから、誰も助からなかったという哀れな顛末(てんまつ)のようだ。

 で、そのワンゴムさんが、自分が守護していた女性の関わった研究成果を横合いから盗もうとしている白人連中を快く思わなかったらしく、時空亀裂発生装置の枢要(すうよう)な部分を物理的に破壊するとともに、大多数のデータを読めなくしたようだ。


 つまりは調査団の主目的であった、時空亀裂を発生させた装置は、そのままではいくら解析しても再現できないと云うことのようだよ。

 まぁ、それでも図面等が有れば再現出来るかもと俺は思ったのだが、設計図的なものは全て電子データになっていたそうで、やはり枢要部分を読めないようにしているので、無理だろうと言っていたそうだ。


 守護霊にもいろんな人が居るんだね。

 その意味では面白いと思うよ。


 いずれにしろ、今回のD国の調査目的は、その半分以上が失われたようだけれど、そのことを知らないこの装置解析班は精力的に動いており、一生懸命に頑張っているようだぜ。

 ある意味で滑稽だよね。


 但し、何時も黄さん達にお願いしている情報収集や監視行動だけじゃなく、そういった物理的に破壊もできそうな守護霊が居ることに興味が沸くけどね。

 なにげなくそう言ったら黄さん少しブンむくれたよ。


 あれ?

 黄さん、俺は黄さんに十分感謝してるよ?


 黄さん達が居なけりゃ、俺だってどうなっていたかわかりゃしないもの。

 それに事業に成功したのも、半分以上は黄さんが与えてくれたチート能力のお陰だよ。


 そのおかげで、俺の能力的にも随分上がったし、アズももちろんだが、うちの社員の能力だって陰ながら引き上げられたものね。


 ◇◇◇◇


 そうして、フィリピンに居るマリア嬢からメールが来たよ。

 予定通り6月20日の午後にK空港に来るそうだ。


 少なくとも二年間は、我が家で働いてもらうことになる。

 その後は自動延長契約の予定になることを彼女にも伝えてある。


 彼女か俺達の都合により、二年ごとの更新時期に契約を解除できるようにしている。

 無論、任意の時期に、俺の方からの解雇も、彼女の方からの辞職もありだけれどね。


 その場合は、労働法規上の相応の義務が生ずるようになっている。

 なお、お試し期間である仮採用の期間は半年間で、この間は昇給無しだけれど、半年後からは正規の採用になって、給与を上げるつもりでいる。


 彼女には内緒だけれど、月に30万円から35万円の間ぐらいかな。

 彼女に提示した給料の二割増しから四割増しぐらいになるのかな。


 もちろん、彼女の働き具合を見て決めるんだよ。

 後は、仕事に慣れてからの予定ではあるんだが、彼女に自動車の運転免許証を取らせるつもりでいる。


 アズが妊娠した場合なんかは、車で送迎をしてほしいと思うわけだよ。

 そのためには車が要るし、運転できる者が居たほうが良い。


 別にアズを高級車で送迎させようというわけじゃない。

 普通車若しくは軽のバンタイプで、彼女が普段の買い物でも使えるようなものにしてやりたいと考えているところだ。


 まぁ、ある意味で彼女をこき使う気が満々ではあるよな。


 ◇◇◇◇


 俺の会社の方はいつも通り順風満帆だよ。

 伸び率は鈍化したかもしれないが、固定客が増えた分、先行きが見通せるし、生産活動の計画も立てられる。


 ウチの場合は、ある程度、生産能力が決まっているからね。

 それを超えると色々と改造したり人員を増やしたりが大変な訳よ。


 それよりは、一定量の販売が見込めればそれだけで良いんだ。

 今のところ十分過ぎる収入が有るからな。


 これ以上の収益を望んでも仕方が無いよ。

 社員には、収益によって給与のアップを考えると言っているけれど、赤字にならない限り、給料のアップは公務員のベースアップ以上に上げるつもりだよ。


 収益に比べて人件費など安いものだもの。

 それよりは、税金額が凄いことになっているな。


 余り節税対策もしていないんでそんなことになっているんだけれど、経理課長を中心に色々節税対策も考え始めているから任せているよ。

 ところで面接の方だが、一日に6名、週に概ね五日を頑張ってやっているんで、既に180名を超える人員の面接をやっていることになる。


 一応、俺としては、面接結果の評価は、『A』、『B』、『C』、『D』、『E』の五段階に分けている。

 五段階の区分は、『A』はSE又はプログラム要員として是非とも採用したい者、『B』は可能であれば採用したい者、『C』は採用しても良いが条件付きの者、『D』はちょっと採用が難しい者、『E』は端(はな)から引っ掛からない者だね。


 中途半端な募集時期だから応募して来る者は、既に職についている者が多い。

 もちろん大学在学中に就活の一環で来ているのもいるけれどね。


 これまで面接した中で、A評価は2人だけ、B評価は3人、C評価が多くて7人かな。

 後の170人ほどは駄目だね。


 9月上旬まで、面接予定者がまだ300人以上も居るんだよな。

 途中でヤーメタと申し出てくれる者が居ればよいんだけれど、我が社の高給待遇に引き寄せられた誘蛾灯の蛾のようなものだね。


 世の中、不遇な社員が多いみたいだよ。

 でも優秀な人材は取るけれど、そうじゃない人材は切り捨てる。


 ある意味で弱肉強食の競争社会なんだから、選ぶ方は遠慮会釈なく選出するよ。

 そこに情なんかは挟まないつもりだよ。


 あれ、でも、妹の麗花あたりが募集枠に応じて来たら?

 うん、正直迷っちゃうぞ。


 きっと、Cぐらいの評価なら雇っちゃうな。

 そう言えば、麗花は、理工学部だけれど何を専攻しているのかな?


 今度会った時に聞いておこうか。

 あ、余分な話は置いといて、『A』段階の人はSE/プログラマーに即採用したいね。


 『B』段階の人は、ある意味でSE/プログラマーの予備的存在だ。

 仮に『A』段階の人員が少なくとも4名に満たない場合は、ここから採用することもあるし、場合により新規の企画部門に入ってもらうことになるかもしれないが、いずれにしろ我が社の社員としての採用は、ほぼ決定的だ。


 『C』段階の人は、事務職や工場の工員としては採用できても、プログラマーとして新たな物作りは難しいかもしれない。

 従って、彼又は彼女が就ける職を提示して、それでも良ければ成績順に採用することになるのかな。


 勿論、それにも採用人数に限度が有るけどね。

 仮に社員が百人に増えても、経理的には大丈夫ではあるけれど無駄に遊ばせておく人材は要らないよ。


 正直なところを言えば、現在のままの人員でも何とかやっていけるからね。

 但し、OS開発とそれに合わせたソフトはどうしても開発が必要なんだ。


 せっかく造った高機能のMPUが、余り性能を発揮できない環境ってのは良くないぜ。

 ミニPC程度の大きさで、スーパーコンピュータ並みの性能を発揮できるはずなのに、その能力が埋もれたままなのは許せないよね。


 今は、互換ソフトを挿入して、かろうじて市販のOSやアプリが稼働しているだけにしか過ぎないから、それだけでも能力は8分の1ぐらいになっている。

 これは、MPUの三面接点のうちの一面だけを基盤に乗っけている状態での話な。


 それでも、A1社、M社、A2社などが開発したMPUの倍から三倍以上の高速で稼働できるんだぜ。

 三面に基盤を接することで、少なくとも現状の能力の八倍ぐらいの数値には持って行けるし、専用のOSとソフトを走らせれば、もっと高機能になるよ。


 特に、AI機能をうまく活用できれば、より優秀な機器が生まれるはずだ。

 社長の俺が何でもやってしまうと社員が遊んでしまうから、できる範囲で手を抜いている。


 特に後継者の事を考えると、是非ともOSとソフトは、社員の手で作り上げて欲しいんだな。

 俺が立ち上げた会社ではあるけれど、俺としては技術屋のつもりだから、CEOを世襲にするつもりは無い。


 優秀な奴がCEOになればよいと思っている。

 俺は、早い処、会長にでもなって、のんべんだらりと過ごしたい方なんだ。


 出来れば避暑地、避寒地に別荘を建てて、季節の変わり目に移動するような生活をしてみたいなと思っている。

 あ、別に日本じゃなく海外でも構わない。


 そのうちに俺の渡航の際にかかる嫌がらせの類の通達も解除してくれるだろう。

 ねぇ・・・、外務省なのか内閣府なのか良く分からないけれど、俺に対する実質的な渡航制限は何時解除するの?


 いつまでも解除しないなら、どこやらの社長さんみたいに密出国だってしちゃうぞ。

 うーん、何かで政府筋を脅せる方策を考えておかにゃならんかもな?


 ◇◇◇◇


 今日はアズの当番だから、早目に帰ってくるはずなんだけれど、そうは言っても帰宅するのは7時過ぎなんだよね。

 俺の場合は、できるだけ定時に帰るようにしているから6時頃には帰宅しているしね。


 なぁ・・・。

 何だか、家でボケっと女房の帰りを待つ旦那って侘(わび)しくないか?


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