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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第五章 日常と非日常

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5―5 帰国してからの日常? その五

 時が立つのは早いね。

 色々とごそごそとやっている間に5月中旬になっている。


 今日は5月18日、厚木から米軍の輸送機に乗って調査団一行がD国へと出発する日だよ。

 二週間も前から厚木に集合し、そこで訓練を受けてからの出発のようだ。


 まぁね、調査団のメインのメンバーが学者さんで軍人じゃないから、調査地域の危険性については概ね知ってはいるだろうが、実際にモンスターが出現したり、病原体に晒(さら)されたり、更には残留放射線に晒されたりする恐れもある。

 中にはD国が仕掛けたトラップが残っている可能性もあると言われたりして、とにかく安全第一の動きが要求されるので、軍人さんを交えての訓練が二週間もあったようだ。


 きっと、鬼軍曹あたりが指導員になってビシバシと鍛えたんじゃないのかな。

 ただ、そうは言っても、若い兵士を扱うようには行かないよね。


 何せ、普段は椅子にかじりついているようなモヤシおじさんばかりだから、あまり厳しくすると、出発前にお陀仏になる。

 調査団の一行には、米国の学者が12名、EUの学者さんが6名、日本から4名、その他の多国籍の学者で4名が参加しているよ。


 軍人さんは正確な数は公表されていないんだが、事前に飛行場を確保している者を含めると特殊部隊200名以上が参加しているらしい。

 仮に調査に行くのが俺なら、警護もつかずに一人だけれど、やっぱり金持ち国は違うね。


 多分、輸送費やら軍事費は除いても、調査員の特殊装備費(宇宙服に近い感染症対策と放射線対策の装備)だけでも結構な金額になるようだよ。


 無論、調査員を出す国がその分を負担することにはなっているんだけれどね。

 そうして、厚木基地から輸送機が飛び立って行くのを、午後遅くのニュースで見た。


 感想?

 特には無いな。


 無事に帰還することをお祈りしてるが、くれぐれも厄介な病原体を持ち込まないでくれよな。

 戻るのも厚木基地らしいので、危ないのは関東方面になるのかな?


 仮に出張の話があっても、その時期は遅らせることにしよう。


 ◇◇◇◇


 一方で、5月24日(土)に、最初のメイド候補が来日したよ。

 この時点では、次の候補者は居ないよ。


 この候補者が駄目だったら、次の候補を選んでまた来てもらうことになる。

 少なくとも、候補者になれたというぬか喜びをさせないために、無駄に候補者は増やさないんだよ。


 本来は、会社みたいに募集して、応募者全てと面接してその中から最も優れた人材を選ぶのが一番良いのかもしれないが、それでは時間がかかり過ぎるんだ。

 特に海外の候補者は、そもそも日本に来ること自体が難しいだろう。


 日本まで観光に来られるような裕福な人は、日本でメイドになりたいとは思わないだろうしな。

 まぁ、そんな話は別にして、俺の知り合いから紹介を受けた人物が面接を受けに日本へやって来るわけだ。


 事前に知り合いを通じて、航空チケット代等の小切手は向こうに送っているんだぜ。

 マニラからだと、四時間ほどのフライトで、最寄りのK国際空港に到着できるんだ。


 俺も休みなので空港まで迎えに行ったよ。

 写真を貰っていたから到着口で待っていたら、それらしき人物がやって来たので、用意していたプラカードを掲げ、手を振ってあげる。


 プラカードには『Wellcome Maria.C.R』と書いてある。

 無事に合流して、空港のレストランに入り、軽食を食べながら、じっくりとお話しを聞いてみた。


 無論質問するのは俺がメインだけれどね。

 取り敢えずは、俺の面接に合格すれば我が家に連れて行くが、そうでなければホテルに連れて行って、そのまま翌日の便でお帰り頂くことになるな。


 ホテルの方は予約はしていないが、すぐに泊まれるホテルはいくらでもある。

 面接の際の会話は、日本語表現が難しければ、英語で話すのもありだが、基本日本語で応答してもらう。


 そもそも、日本語ができるというのが、採用条件の一つだからね。

 それがだめなら、採用は無理だ。


 候補者であるマリア・C・ラモス嬢は、現在20歳の未婚女性。

 マニラのハイスクール卒業後、日本語学校に入り一生懸命に日本語を習う傍ら、地元に在るメイドやハウスキーパーの専門学校に通っていたようだ。


 そこで資格を取って、日本でメイドになることを希望していたのだそうだ。

 でも、生憎と日本からの募集が無かった(少なかった?)ので、マニラ市内で何とかハウスキーパーの仕事を続けていたようだが、国内と国外では就労条件がまるで違うらしく、給料にもかなり差が有るようだ。


 彼女の場合、フィリピンでよくありがちな低所得者層の家に生まれたので、とにかく海外に出稼ぎに行くことを第一に考えたそうだよ。

 マニラ首都圏での現在の平均所得は、一世帯当たりで200万円を超えるか超えないあたりだ。


 それで一世帯5~6人が生活するには。大変な苦労が伴うよね。

 だから、フィリピン政府も昔から出稼ぎによる外貨獲得を大いに奨励しており、そのための色々な教育機関も国内に整備している。


 面接の結果から言えば、日本語もかなりできるし、人物的には問題なしかな?

 黄さん達の情報でも、フィリピンでの素行に問題は無いらしい。


 仮に彼女の家族が、彼女を頼って日本に来たいと言っても、その家族の保証人にまではならないよ。

 飽くまで保証するのは、採用する彼女だけになる。


 俺の方は採用を内定しているけれど、彼女にはその旨を告げないまま、今日は彼女を我が家に連れて行く。

 アズが家で待っているから、彼女とも面談させて彼女の意見も聞くことになる。


 当然に女性なりの見方が有るだろうからね。

 俺とアズの両方がOKを出せば、それで採用が本決まりになる。


 その場合は、明日中に弁護士を介して契約書を作成し、彼女をマニラに送り返すことになる。

 少なくとも、マリア嬢に今日の寝床と夕食、それに明日の朝食までは確保されることになったね。


 マリア嬢、小柄だけれど色々な血(マレー系、スペイン、中国、アメリカその他)が混じったマルチルーツで、ちょっと色黒ではあるけれど、日本人にも居そうな顔立ちなんだ。

 アズには負けるだろうけれど、それなりに美人だよ。


 それに活発だね。

 彼女は四人兄弟の長女で、親の収入が少ないから、弟妹のためにも自分が頑張らなければいけないんだそうだ。


 ウン、健気(けなげ)だねぇ。


 ◇◇◇◇


 その日の夕刻、マリア嬢を連れて、我が家に無事着いたよ。

 事前に家に連れて行くことを知らせておいたから、三人前の夕食をアズが準備していたね。


 若し、俺がだめと思ったら家には連れて行かないことを事前に伝えていたからね。

 そうして、夕食の際にアズがそれとなく色々聞いていたが、そんな中で俺とアズが二人とも英語が流ちょうなことを知って、マリア嬢が随分と喜んでいたね。


 もし、雇ってもらえた場合、日本語で難しい表現が有った時に教えてもらえそうということらしい。

 彼女の部屋になるかどうかは別として、一応メイド用に割り当てる予定の部屋に今夜は泊まってもらう。


 間取りとしては、クローゼットも含めて7畳間に近い部屋だけれど、小さめのユニットバストイレが付属している部屋だよ。

 設計の上では、どちらかというと客室用に造ったのじゃないかなとは思うんだが、我が家にはこれ以上狭い部屋が無いんだ。


 5LDKで5部屋全部にバストイレがついているから、どちらかというと、日本に駐在する外資系企業の外人さん向けのマンションのような雰囲気だね。

 もちろん俺とアズが寝る主寝室はかなり広いし、バストイレもの他の部屋よりは少し広いんだけれどね。


 メイド一人を住まわせても、取り敢えず、三人までなら来客が有っても大丈夫だし、子供も三人までなら大丈夫だな。

 但し、両方で6人はちょっと難しいかな?


 雑魚寝やらすれば何とかなるかもだけれど・・・。

 それとも子供が小さいうちは何とかなるかな?


 因みに、結婚してから俺達は避妊をしていないよ。

 子供は居たほうが良いというのが、「夫婦」に対する俺とアズの考え方だから。


 それよりも仮に子供が多くなりそうなら、次は一戸建の住宅を考えようかとも思っているところだよ。

 我が家はマンションの屋上なので、結構な広さのテラスが使えるんだけれど、やっぱり大地に接した庭が有る環境の方が子育てには良いだろうね。


 今のところ目をつけているのは、元小学校の跡地なんだ。

 少子化の影響で小学校や中学校が統合されるつつあるので、我が家の近くでも、小学校が廃止され、今は空き地(建物は残っている)となっているんだ。


 市役所等が次の利用を考えているならば、ともかく、K市も財政的には結構大変みたいなので、適正価格で売れるならば譲渡に食指を動かすかもしれないね。

 特に、古い校舎が残っている現状のまま購入すると言えば、更地にする必要が無い分、土地の所有者?管理者としては大助かりだろう。


 一応、土地だけでも抑えられないかを弁護士を介して交渉中なんだよ。

 但し、面積は一万五千㎡を超えるから、自宅用地でもちょっと広すぎるけれど、場合により会社用地にしても良いかなと考えているところだ。


 それから、今のところは、仕事を優先させているけれど、ある程度の段階では、事業を誰かに任せて、後見に回っても良いんだ。

 会長なんて言う役職もありそうだからね。


 夜のベッドの中でメイドの件をアズと相談の結果、マリア嬢を雇うことに決めた。

 取り敢えず、フィリピンへ戻すのにあたり、支度金として2000ドルの小切手を渡すことにしたよ。


 給料は、住み込みで当面月額25万円にする予定だが、こいつはシンガポールあたりのメイドの相場に比べると25%ほど高くなるはずだ。

 暫く様子を見て、報酬もベースアップする予定はあるんだよ。


 ◇◇◇◇


 翌朝早めに起きて来たマリア嬢に正式に雇う旨を告げると、彼女は大層喜んでいたね。

 その上で、支度金や毎月の給与を含めた契約条件を示し、彼女の同意を得たよ。


 朝食を食べたら、アズも一緒に外出だね。

 一応、顧問弁護士の新井さんには、事前に事情を説明してあり、今日は自宅で待機してもらっているんだ。


 で、新井さんに電話をかけ、メイドの雇用をするので契約書の作成についてお願いしたいと連絡をした。

 因みに新井さんは女性弁護士だよ。


 会社の登記その他でもお世話になり、会社の顧問弁護士であるとともに、俺やアズの顧問弁護士でもあるんだ。

 落ち合う場所は、彼女の事務所になった。


 彼女の事務所は、N駅から徒歩十分ほどのところにあるんだ。

 午前11時に落ち合って、契約書の作成が済んだら、彼女を含めて四人で外食の予定だよ。


 11時半開店の和食屋さんなので、予約はしていないけれど、日曜だから多分大丈夫だろう。

 席が空いていなければ、もう一つの和食屋さんかイタリア料理店になるかな。


 新井さんの事務所で正式契約を無事に完了して、彼女は6月20日には再度来日し、我が家のメイドになることが決まったよ。

 彼女の方も、契約書の写し(英語と日本語の両方)を持って帰国し、フィリピン政府に海外で仕事をするための登録をしなければならないらしい。


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