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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第五章 日常と非日常

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5―4 帰国してからの日常? その四

 俺が磁力と重力の話を引き合いに出すと、皆が暫く考え込み、それから再度の議論が始まったが、今度は、何かが振っ切れたようにやや方向性が変わったな。

 これまでの非破壊検査方法に囚われない新たな方向の可能性を模索しだしたんだ。


 但し、その場で結論が出るようなものでは無い。

 一旦、各人が持ち帰り、別な視点で考え直そうということになったのだ。


 それから一時間経たずにミーティングは終了した。

 別れ際に、リーダーの沢田氏からお礼を言われ、その後に細倉さんからも丁重なお礼を言われたな。


 その上で、チームの顧問役を引き受けてはくれまいかと、もう一度お願いされた。

 引き受けるには、ある程度俺自身が方向性を決めないと無理だと思っているので、少し時間が欲しいとこちらからお願いしたよ。


 少なくとも、磁力なり、重力なりで、俺なりの可能性を見い出せないと顧問なんてのは無理だ。

 単純な話、受ければそれなりの責任を感じてしまうし、頼りにされてもどうにもならない時があるからな。


 一応、一月か二月ほどの時間が有れば、少なくとも受けるか受けないかの判断ができるだろうと思う。

 俺自身に目途が立たないなら、受けない方がお互いのためにも良いと思うんだ。


 ◇◇◇◇


 俺の本業の方では、順調に毎日6名の面接が続いているよ。

 向こうの事情で指定した日に来ない人は、それまでの話と言うことで切り捨てるのが原則なんだが、場合により順番を後回しにする場合もある。


 例えば、大事な人が危篤状態であっても面接に来いと云うのは、人道的に見ても拙いよな。

 まぁ、それでも縁が無かったと諦めてもらうのが現実社会なんだろうがね。


 高校入試や大学入試で、急病で高熱を発して受けられなかったので特別に後で受験をさせるというのは制度としてあり無いんだ。

 健康維持も受験戦争には大事なことと云うことだな。


 俺の会社の場合、まだ余裕があるから、面接を後回しにできるというだけの話だな。

 但し、一度目はあっても、二度目は無い。


 そんなことをしていたら何時まで経っても面接が終わらないからな。

 中には、そうして後回しにした面接で、良い人材が見つかることもある。


 今回の場合は、指定日に面接に来られない人が二人もいたよ。

 この二人は、後回しにして9月半ばに面接の機会を与えた。


 因みに、後々の話ではあるんだが、そのうちの一人、川内(かわうち)恵美(えみ)が掘り出し物の人材だったのは僥倖だったな。


 ◇◇◇◇


 一方で、私生活の面では、いずれ子供ができるだろうことと、結構広い家なので、家事を二人で分担しても大変だということが実際にやってみて分かったので、伝手(つて)を頼ってメイドさんを探しているところだよ。

 外人さんでも構わないけれど、その場合は日本語ができることが条件だね。


 俺とアズは英語が話せるけれど、生活するうえで日本語は必要だ。

 あらぬところで良く分からずに、返答したことで誤解を与えたり、大きな間違いをしでかすこともある。


 候補が決まれば是が非でも俺が面接をして人物を確認することかな。

 外人さんでも、雇う前に必ず面接はするよ。


 勿論、黄さん達の情報もあてにはしているんだ。

 中々住み込みの日本人メイドを雇うのは難しそうなので、外人さんでも雇わざるを得ず、俺がフィリピン辺りに行って、メイドさんを探すことも視野に入れていたんだが・・・・。


 黄さん曰く、内閣怪獣対策局の関連で、外務省が動いており、英仏旅行の際に俺達の周囲で起きたことについて色々な洗い出ししているみたいなんだ。

 特に、フランスではC国の残党と言うか、フランス残留の過激派連中が関わる一連の事件は、結構な人死に(ひとしに)が出ているから、どうしても問題視せざるを得ないんだろう。

 それと、英国における爆発事件やロシア工作員と思われる者の連続死、それに北海上空におけるロシア爆撃機の失踪とか、必ずしもその詳細はわからずとも、何らかの外国の組織が動いたと見ているようで、内々に出入国管理局に対して、俺の出国を一時的に止める様にとの極秘指示を出しているみたいだ。


 国際空港で出国手続きをする際に、嫌がらせのようにゲートを通れないようにしてしまうわけだ。

 俺を止めている間に予約していた航空機が出発してしまえば、その時点で解放することになるけれど、航空機のチケットは地下鉄の自動販売機みたいに簡単に入手できるものじゃない。


 おそらく航空機に乗れなかったことで生じる損害は、ハナから保証するつもりぐらいで居るのだろうけれど、仮にビジネスで穴をあけた場合、多額の損害賠償に応ずるのかな?

 黄さん曰く、仮に民事訴訟にしろ、裁判にでもなれば、その間は簡単には旅行にも行けぬだろうと見ているようじゃぞだってさ。


 とんでもない奴らだな。

 俺の行動の自由を奪うつもりかね?


 まぁ、今のところは支障が無いから、無理強いはしないけれどね。

 本気で商売に邪魔をするようなら、俺も喧嘩を覚悟するぜ。


 もちろん正面からケンカはしない。

 証拠が無いようにしながら・・・、そうだな、関連する役所でも荒らしてやろうか。


 一カ月程もほども連荘(れんちゃん)で事務所が荒らされたら、流石に何か気づくことになるだろう。

 監視装置?


 そんなもの、いくらあっても無駄だよ。

 見えないところからこっそりとやるからね。


 仮に監視役の人間が居ても、ちょっとだけお眠り頂けば役には立たないだろう。

 俺の場合、人の能力を上げることもできるが、逆に意識や思考能力を低下させることもできるんだよ。


 実際に動物で実験したんだが、どんなに獰猛な動物でも、二分とかからずに眠らせることができたよ。

 機械の方は電流の抵抗値をマックスにして止めてしまうか、データそのものを消せば、証拠は残らない。


 ん、何だか盗みの講義をしているような気になって来たなぁ。

 若し、どうしてもやらざるを得ないとしたなら、その時に方法はまた考えるよ。


 余分な話になってしまったが、俺の知り合いでフィリピンとの友好協会的な任意団体を作っている人が居て、その人がある意味で俺の斡旋屋なわけだ。

 但し、日本の場合、外国人の就労については色々と制限が多かったんだが、法令が変わって、特定の雇主との契約書面があれば、当該契約期間は日本に滞在することが認められるようになったんだ。


 日本に住んでいても、飽くまで出稼ぎ的な扱いなので国籍は与えないが、住民票は提出することになるようだ。

 その際、住民票を提出するには、外国人用の特別な書式が有って、雇用主が当該外国人の保証人にならにゃいかんみたいだな。


 一時期、研修生として日本に入国、その後期間が切れても不法滞在している外国人が増えたことから、その住居を確認するとともに、日本における当該人物の保証人を定めたわけだ。

 まぁ、幾分面倒ではあるけれど、手続きが少し厄介なだけで普通に雇えるから大丈夫なんだ。


 斡旋手数料?

 そんなもん、払っていたら手が後ろに回るよ。


 職業斡旋を業としてやる場合は、法規制があるからね。

 でも縁故の場合は、その限りじゃないわけだ。


 例えば、会社が社員を募集する行為は問題ないし、その際に自分の知り合いに声をかけることも別に違法じゃない。

 また、その知り合いの縁故で、どこかの娘さんを紹介されても特段の問題はないわけだ。


 またまた、余計な話になったなぁ。

 いずれにしろ、彼から紹介を受けた人物に連絡を取って、日本へ来てもらうことにしたよ。


 但し、この訪問は面接を受けるためであって、就職が確定したものでは無いんだ。

 そのための旅費等必要経費は俺が出すことにしている。


 メイド候補は、5月の下旬には日本へやって来ることになったよ。

 仮に面接でその人に決まれば、契約書を作成した上で、一旦フィリピンへ戻り、彼女の身の回りを整理してもらってから、再度、日本へやって来て貰うことになる。


 ウチは5LDKだから、メイドさんが一人増えても余裕で大丈夫だよ。

 但し、家に他人を入れる以上は、信頼できる人物じゃないとだめだよね。


 だから、もしかすると、こちらも人を選ぶんで、面接は一度や二度じゃすまないかもしれないな。

 まぁ、今すぐに来てもらわねば絶対ダメというわけじゃないから焦らずにじっくりと選ぶことにするよ。


 ◇◇◇◇


 ところで、いよいよ、D国内の調査が始まるらしく、日本側も5人ほどの調査団員を派遣することが決まったようだ。

 調査団は、一旦、厚木航空基地に集まり、そこからまとまって出発するようだ。


 無論、軍用機での移動だぜ。

 既に、米軍の先遣隊が5月初めには出発しており、例の秘密研究施設が有った場所に最も近い●▼空港を確保しているらしい。


 今回、俺の出番は無いよ。

 まさか、噂のモンハンは俺ですって名乗るわけにも行かんでしょう。


 調査団に何かあった場合は、その時に考えるけれど、最悪、見殺しかな。

 だって、俺が助けてあげるような義理は無いもの。


 助けた挙句(あげく)、身バレしてどこかの政府に拘束される危険性を考えたら、とてもじゃないが出ては行けないよな。

 調査団に危険が迫った場合、もしかするとネットで俺が詐称した団体に向けて『助けてやれよ』とかいう無責任な連中が騒ぐかもしれないが、無視だな。


 そんな時には、お前たちが助けに行けよとボヤいているだろうな。

 一番の問題は、向こうの世界からやって来たであろう小動物と病原体だな。


 そもそもが俺が退治して回った時は、各国の軍隊が対処できるであろう小型生物は無視している。

 それに病原体の場合は、感染してから発症までの時間が長い奴が面倒だ。


 知らないうちに、より大勢の人間に感染させる可能性が高いからね。

 一旦広まってしまえば、抑えようがないかもしれないんだ。


 これまで人類の四千年?あるいは五千年以上の歴史の中で多数の感染症が見つかっているんだから、あっちの世界でも同数程度の病原体が有ると考えていた方が良いだろう。

 カザフ出血熱は、その沢山の中の一つだけであって、他にも無数の病原体があれば、・・・。


 うん、調査団が仮にそんな病原体に発症すれば、多分、そのまま全員隔離になるんだろうね。

 帰国させるかどうかも怪しいよな。


 俺はいずれにせよ現地には行かないつもりだが、黄さん達のネットワークで知りえた情報は、引き続き貰いながら注意することにしよう。


 ◇◇◇◇


 さて、今晩の夕食は俺の当番だな。

 朝確認した時には冷蔵庫にそれなりの食材は入っているが、今日はパエリヤと野菜サラダ、それにスープにしようと思っているから、会社から帰宅する際に、最寄りのスーパーによって足りない食材を購入し、家に持ち帰ったよ。


 家に着いたのが午後7時頃だが、アズはまだ戻っていなかった。

 アズも不在中の二週間分の仕事が溜まっているので、ここのところは帰宅が遅いんだな。


 早くて午後7時半、遅いと9時過ぎになることもあるよ。

 俺とアズは新婚さんだからね。


 何時でもラブラブモードだけど、帰りが遅い時には、夜中の男と女のゲームは余りできないこともあるな。

 何事も身体が資本だからね。


 お互いに若いけれど、無理をすれば、いずれ年を取ってからその弊害が生ずるもんだ。

 二人で『命大事に』をモットーに、共白髪(ともしらが)になるまで頑張ろうねと言っているんだぜ。



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