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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第五章 日常と非日常

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5―2 帰国してからの日常? その二

 年代測定の計測機器に関しては、少なくとも時(・)の(・)制(・)御(・)は試すのも怖いから、この際放棄している。

 どうしようもない絶対的な危機に陥(おちい)った場合で、余裕があったなら試してみるくらいの話で最後の手段だな。


 そもそもができない可能性がものすごく高いと思うんだ。

 仮にそれができたなら、神の領域かも知れないな。


 ところで、アズと一緒に住む我が家に自衛隊さんや、怪獣対策課の人が尋ねて来ることは無くなったな。

 どうやら例の近藤課長も近々ご栄転で、別の省庁に移動になるとの噂があるようだ。


 彼女が居なくなるとの噂が有っても、怪獣対策課は存続しているよ。

 但し、組織の名前を変えるみたいだな。


 米国の緊急事態管理庁(FEMA)に対応する組織として、日本にも防災庁が発足したのは2026年のことだけれど、他の組織に対する勧告だけで指揮命令権はない。

 災害時における調整役と考えた方が良いのかもね。


 ところで、防災庁の勧告は守らねばならないことにはなっているんだけれど、個別の事案では、担当省庁との間で認識の違いが出てきたりして、なかなか勧告通りには行かないような事態も起こり得たんだ。

 米国の場合では、FEMAが調整を行うけれど、個別事案においてはそれぞれの担当省庁が責任をもって対応することになっている。


 そんな中で、例のモンスターの出現に際しては、防災庁で対応するのはおかしいのじゃないかという意見が出たんだ。

 まぁ、怪獣災害と言う言葉がもしかすると有るのかもしれないが、対応できるのは国防省の軍事力だけであり、警察消防その他の組織は、住民避難等に尽力するだけの話になる。


 特に、日本の場合は島国であることから、そもそも陸生のモンスターが海を渡って来るとは考えにくく、実際に日本に侵攻して来たのは空を飛ぶ怪獣だけだった。

 そのような怪獣に対応するには、戦争に使う武器の使用がメインになる。


 まぁ、それも亜竜(ワイバーン)止まりであって、真竜が出て来ると自衛隊の武器でも対応できなかったんだよな。

 いずれにしろ、種々の異論はあったものの、最終的に防災庁ではなく、モンスター対応の調整機能を有する所管部局として怪獣対策課が発足したわけである。


 但し、俺の終息宣言以来、日本には怪獣が来ていないんだよね。

 むしろ、怪獣が持ち込んだかもしれない病原体の問題で大騒ぎになるくらいの話であるが、残念ながら、感染症については、怪獣対策課の要員では専門外になってしまって、厚生労働省からノウハウを教えて貰わないとにっちもさっちも行かない状態だったようだ。


 それでも、何とか、他の内閣組織や厚生労働省と一緒になって、各種研究機関や民間も巻き込んで感染症の防止に努めたようだな。

 最終的に俺の開発したカザフ出血熱に対する特効薬がWHOから配布されるに及んで、取り敢えず日本にカザフ出血熱の感染者が出ることは未然に防止できたわけだが、怪獣対策課は本来モンスターの侵攻に備えるためのものだったはずが、若干方向性が変わってしまい、名称が似つかわしくないということになったようだ。


 現在、省庁横断的に名称と所掌事務を再検討中であり、素案がこの6月ごろには出来上がる見込みらしい。

 怪獣対策課の名称変更(若しくは廃止?)に伴って、組織も異なることになるだろうから、またメンバーも変わるんだろうね。


 もしかすると、その関連で俺のところへ時々来ていた自衛隊の人もメンツも変わるのかな?

 黄さんの情報では、組織変更は10月頃を見込んでいるようだ。


 因みに米国では、感染症対策の主導は保健福祉省(HHS)や疾病対策予防センター(CDC)が担っているが、日本の場合は、総合調整役の内閣感染症危機管理統括庁と、科学的知見を提供する国立健康危機管理研究機構(JIHS)の2機関が中核を担っているようだ。

 まぁ、その感染症対策の関連で在学中のアズも巻き込まれ、秘密保持の義務を負ったようだけれどね。


 いずれにせよご無沙汰していた知己の人達へメールや電話で連絡をしたよ。

 その際、H精密測定工業の細岡氏から一度会社の方へ来てもらえないだろうかとの要請が有った。


 会社の例の無機質の物質の年代測定に関する研究チームを紹介するとともに、その方向性についての相談に乗ってほしいとのことだった。

 うーん、どうしても俺を巻き込みたい感じなのね。


 まぁ、それなりに細岡さんにはお世話になったわけなのだから、顧問は保留のままで会議への出席は了承した。

 当該会合は、4月10日木曜日14時からの予定になったよ。


 細岡さんにはささやかな英国土産もあるし、ちょうどよい機会なんだ。


 ◇◇◇◇


 会社の業績の方は順調に伸びているねぇ。

 本命のHE-CUBEだけじゃなく、ウチの社員が開発したアプリが売れ始めているんだ。


 これまでとは異次元の高次ビットで稼働するプログラム(OS)を開発中に副次産物として編み出されたアプリなんだけれど、このアプリ、実は32ビットのOSでも使える便利なアプリなんだ。

 ネットからワンコインでダウンロードできる格安のアプリだけれど、PCやスマホの不具合を瞬時にチェックしてくれる代物で、アンチウィルス・ソフトじゃないんだけれど、色々とPCやスマホの不具合で困っている人に明確な指針を与えてくれるので、バカ受けしたようだ。


 そうしてついにメーカーもこのソフトを初期搭載アプリとして内部に導入・搭載する企業が多くなって、ウチにかなりの使用料が入って来るんだ。

 メーカーの場合、導入数が多いからね、大量購入の場合の6割引きで一個当たり200円だけれど、数が半端ないんだ。


 国内のスマホだけでも年間約3000万台が売れているらしい。

 これが全世界となれば、十億台単位(使用されているスマホが70億台前後)になるようだから、利益もそれなりに大きいんだ。


 この関連でウチのプログラマー達はますます意気軒高だよ。

 夏のボーナス時期には、関係者に報奨金も出す予定だよ。


 因みに開発したアプリは、会社の特許として登録されるけれど、作成者である三宅(みやけ)凛(りん)と大岩(おおいわ)慎吾(しんご)の二人には、このアプリに関わる純利益のうち5%を配分することにしている。

 この額は結構大きいんだぜ。


 仮に1千万個売れたとして、500円じゃなく200円としても、総額で20億円程度の収入額になる。

 これから諸経費を引いた純利益は18億円を下らないからね。


 その5%ってのは、約9千万円になる。

 二人で分けても一人当たり4500万円だ。


 もしかすると、一時収入と見做されるかもしれないから税金が大変な額になるかもしれないが、それでも2DKの新築マンションぐらいなら買えるんじゃなかろうか?

 因みに、黄さんの情報ではこの二人、恋人に近い間柄のようだ。


 俺の会社では、仕事に影響の出ない限り、社内恋愛も可としている。

 まぁ、あんまりべたべたしているようなら注意もするけれどね。


 周囲の連中も二人の仲を認めているようだぜ。

 今年の秋口には結婚するかもな。


 何せ二人は若いのにかなりの高給取りだ。

 今後とも二馬力で働くなら、家計的にも問題はないだろう。


 肝心のHE-CUBEの売れ行きは、四半期ごとの暫定決算で2割増しの増益になっている。

 いずれはこの上昇率も鈍化するだろうけれど、それまでに二面若しくは三面の基盤と接続して、本来の性能を発揮させたいものだ。


 そうなれば、恐らくパソコン業界を席巻(せっけん)することになるだろうな。

 推測ではあるんだが、大規模なスパコンに匹敵する計算能力を発揮するはずだ。


 考えても見てくれ50mプールの半分ほどを占めるラック群の中に押し込まれ、がんがんと冷却された集積回路の群れと、わずかに掌に乗っかる程度のMPUがほぼ同じ性能というのは、誰が見ても驚愕(きょうがく)することになるだろう。

 無論、独自のAIも開発することにしている。


 まぁ、目途としては二年後あたりを目指しているんだが、そのためには、もう少しSE/プログラマー部門を強化しても良いかな?

 それと、同時にマザーボードの設計・開発だな。


 こいつは俺が請け負うことにしているんだ。

 何せプログラマーもSEも理論は知っていても流石にMPUの製造とかマザーボードの製作に携わっている奴は居ない。


 どっかから引き抜いて来ることも考えたけれど、秘密を守りつつこの業界で優位に立つ為にはブラックボックス化が最も有効なんだ。

 因みにHE-CUBEの秘密を暴こうと、I社とA社それに少数の電子機器会社が相変わらず頑張っているみたいだけれど、内部を覗(のぞ)けないので困っているみたいだね。


 中にはX線を当てて内部を覗こうとした者も居たみたいだが、残念でした。

 鉛よりも密度の高い薄板を三重に被せているので、接点からの一部回路を除き、全体を透視するのは無理なんだ。


 それに一定以上の放射線を浴びると内部が自壊する仕掛けもある。

 それが発動すると内部が千度近くの高温で焼かれ、回路は自壊することになる。


 俺が仕掛けた陥穽(かんせい)のために、HE-CUBEの秘密を暴こうとする技術者が何度も泣いているようだな。

 まぁ、俺は黄さんから話を着ているだけで、その関連で苦情を受けた事も無いし、実際に見たわけでもない。


 ◇◇◇◇


 4月10日木曜日の午後、俺はK市内のH精密測定工業本社を訪ねた。

 細岡氏と面会し、英国土産を渡して談笑した後、会議室に案内された。


 会議室には6名の男女が待っており、細岡さんから紹介を受け俺も挨拶をしたよ。

 研究グループのリーダーが沢田(さわだ)正樹(まさき)さん(アラフォーかな?)。


 サブリーダーが小日向(こひなた)宏(ひろし)さん(うーん、アラフォーかもしれないがもっと若いカモ)。

 チーム員の小田川(おだがわ)由美(ゆみ)さん(若いけれどアラサーかもしれない?)。


 同じくチーム員の山辺(やまべ)敬之(のりゆき)さん(アラサーかな、でも二十代だと思う)。

 チーム員の高坂(こうさか)美佳(みか)さん(この人は多分俺と同年代だね)。


 チーム員の長谷屋(はせや)昇(のぼる)さん(多分、大卒で一年経過位?)。

 男性四人に女性二人のチームのようだね。


 やろうと思えば鑑定をかけられるけれど、ウチの社員ではないからね。

 鑑定はかけていないし、能力のほども未知数だ。


 で、未だ、俺が顧問を引き受けたわけでは無いんだが、顧問を引き受けるかどうかの判断をしてもらう為にこの進捗報告の会議に俺を呼んだらしい。

 その旨の説明が、改めて細岡さんからなされて、会議が始まった。



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