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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第四章 起業

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4―17 結婚と新婚旅行 その十

 ホテルにまでMI5が来るとは思わなかったんだけれど、身バレするとは考えなかったのかねぇ。

 少なくとも、合鍵で俺達の部屋に侵入して、密かに誘拐しようとする手立ては失敗したんだけれど、果たしてあいつらがおとなしくしているかどうかだよねぇ。

 

 そうして、また、MI5の動きをMI6及びその上部がどう見ているかなんだ。

 少なくとも閣僚級の人間が介在していないとこんな危ない話は渡れないはずと思うのだけどねぇ。


 黄さん達の情報では、MI5を動かしたのは必ずしも閣僚では無いんだけれど、英国に昔からある秘密組織が絡んでいるらしい。

 その名もフリーメイソン。


 何だか半信半疑の情報ではあるけれど、黄さん達がこんなところで嘘をつく理由はない。

 その情報によれば、フリーメイソンの組織は、英国と米国にそれぞれあって、連携はしているようだね。


 フリーメイソンは合議制であり、評議会にかけられて決められたことは英米政府をも動かすような力があるという。

 黄さん達のお陰でそのメンバーも既に分かっているぜ。


 今回のMI5の動きは、MI5を担当する上級評議委員が指令を出したようなんだが、必ずしも評議会によって承認されたものでは無いらしい。

 しかしながら、4人ものMI5のエージェントが、深夜に交通事故で重傷を負ったともなれば、流石にその秘密行動が評議委員会にもバレてしまったようで、その扱いについて目下評議会で審議らしい。

 

 この評議会で、誘拐作戦が追認でもされると、俺と英国政府の間で全面戦争になりかねないからね。

 でも、翌日の朝食時には、緊急評議会の結果が黄さんから知らされた。


 評議会は、俺と言う疑わしき人物の捕獲作戦には否定的立場をとることを決めたのだ。

 仮に、モンスターハンターの疑いをかけられている人物が本物だった場合、英国政府で抑えきれるのかと言う話になって混迷したようだね。


 陸海軍の戦力をもってしても抑えきれないだろうというのが軍事部門の評議員の意見であり、次いで外交部門の評議員が、仮にこのHatayamaなる青年とその妻を拉致したとして、日本政府も注視している人物を政府がらみで捕縛したならば、日英の外交関係にも多大な影響を及ぼす恐れがあると発言したのだった。

 諜報部門の評議員とモンスター関連の特殊部門の評議員が、Hatayamaを確保することのメリットを一応述べたのだが、最終的にリスクが大きいとして却下されたのだった。


 このことにより、英国の諜報組織及び防諜組織が俺の身柄確保のために動くことは基本的になくなったな。

 勿論、MI5なりMI6なりの小部隊が勝手な判断で動くことはあり得るんだが、失敗すれば、彼らは職を失うことになるだろうね。


 しかも彼らは、フランス国内におけるC国残党の二つの襲撃未遂事件と、ロンドンのグラフィティトンネルにおけるひったくり事案、それに今回のMI5エージェントによるホテル襲撃の顛末を後日情報として知っている。

 彼らの目から見ても、いずれもかなり不自然な失敗と見えているから、何らかの見えない力が働いているのではと疑心暗鬼にもなっているんだ。


 とどのつまり、これ以後、彼らが自分の将来をかけて仕掛けてくるようなことは無かったな。

 無論、上からの指令であれば、事後のフォローはしてくれるはずだから、無理難題の命令にも従うが、そうでなければリスクが大き過ぎると判断したんだ。


 英米人は信仰に厚い人が多いから、「神の御業」なり「精霊の力」を漠然と信じている者が多い。

 そのために、ある意味で訳の分からない現象には畏怖を抱いていることになる。


 今回の場合、そのことが俺に有利に働いたようだな。

 目の前を行進する王宮の衛兵が騎馬で移動する様子をレストランで眺めながら、俺はそんなことを考えていた。


 この衛兵達の交代式は、バッキンガム宮殿で行われるらしいが、ロンドン最終日のウィンザー城見学の際に多分見られるんじゃないかと思うんだ。

 一応、予約は入れているんだけれど、王族のスケジュール如何で見学が中止になることもあるらしい。


 その時は諦めるしかないよね。

 今日の予定は、まずは大英博物館に行って、色々見学し、午後2時半からはウエストエンドに行ってヴィクトリア・パレス・シアターでミュージカル「ハミルトン」の観劇だ。


 上演時間が2時間45分から2時間50分となっているから、概ね三時間だよね。

 観劇の後は、リッツホテルに移動だけれど、観劇の前後に時間が有れば、ピカデリーにあるフォートナム&メイソン、若しくは高級スーパーとして知られるマークス&スペンサーを覗いてみるつもりなんだ。


 良いものが有れば、英国土産を買って、日本に送ることにする。

 日本での受け取りが若干厄介なんだけれど、まぁ、何とかなるでしょう。


 高価なものは、色々と通関手続きが必要らしいね。

 その辺は通関業者に任せるしかない。


 今日は、最初からブラックタイの衣装でお出かけ。

 大英博物館はラフな服装でも良いけれど、ミュージカルとディナーは正装だからね。


 着替える時間が無かったりすると困る。

 ホテルからはタクシーで移動なんだけれど、ロンドンの道路も混むから、概ね30分は見ておかねばならないんだ。


 ホテルから歩くと、約2.1マイルもあるから50分近くかかるんだ。

 タクシーで走行中にバッキンガム宮殿のすぐ近くを通りかかったよ。


 ある意味で日本の皇居よりも近いよね。

 皇居は城郭の中に在って、一応見学もできるけれど、見学できる範囲は、天皇ご一家の住まいには遠い場所だし、普段使われる道路からは見えない場所にあるよね。


 バッキンガム宮殿の見学も、プライベートスペースはもちろんオフリミットだけれども、少なくとも外観は道路からでも自由に眺められるところが違うのかな。


 ◇◇◇◇


 大英博物館は、人類の歴史、芸術、文化を専門とする国立の施設なんだけれど、大英帝国時代に収集された世界中のコレクションが展示されている。

 その規模は世界一なんだって。


 こいつは見るだけでも大変で、全部を見て回るのは無理だから、歴史と芸術に特化して予め展示リストから見たいものを選択して回ることにしている。

 俺が歴史部門の選択役で、アズが芸術部門の選択役だった。


 何しろ展示面積だけで5万7千平米もあるんだって。

 仮に10平米辺り5分間で見て回るとしたら、全部見るのに寝ずに頑張っても20日ほどかかる計算になるよね。


 歴史だって、芸術だって、古今東西のものが揃っているものだから、本当に選ぶのが大変だったな。

 大英博物館には午前10時過ぎに入って、概ね二時間を過ごしたよ。


 印象に残ったもの?

 うーん、いっぱいあり過ぎるな。


 とにかくエジプト、ギリシャ,中東の歴史的遺産をそのまま持ってきちゃっているわけだから、ここでしか見られないものが沢山あるんだ。

 勿論、南アジア、東南アジア、極東もあるし、日本の遺産もあるんだよね。


 日本セクションなんて場所もあって、縄文土器から浮世絵まで展示してあるんだぜ。

 俺の場合、特に、中東と西欧の品は普段映像以外では見られないだけに、実際にすぐ近くで見て、肌で歴史を感じ取ったような気がしたな。


 生憎とモンスター退治に出かけていた時は観光旅行ができる状態じゃなったからね。


 ◇◇◇◇


 大英博物館を出て近くの予約をしているレストランに入った。

 ここは和食をアレンジした海産物の地中海料理で有名なところらしいんだ。


 昼から沢山は食べられないけれど、おなかと相談しながらメニューを頼み、アズと二人で分け合いながら食べたよ。

 うん、なかなか美味しかったと思う。


 このレストランから、ミュージカルが公演されるVictoria Palace Theatreまでは1.8マイルほどあるので、やっぱり車で移動なんだよね。

 店を出たのが午後一時過ぎなので、若干時間はあるんだけれど、土産物選びをしていたら上演時間に遅れそうなんで諦めた。


 公演が終わるのが午後5時過ぎなので、その足で、フォートナム&メイソンに行くことにした。

 フォートナム&メイソンは、その日の営業が18時までなので時間的には厳しいんだけれど、大急ぎで回るしかないよね。


 食事が終わったなら、スーパーのマークス&スペンサーにも寄ってみようとアズと話しているんだ。

 結局のところあまり時間が無くって、フォートナム&メイソンで購入したのは、カシミヤ製品でアズと俺の二人分と、家族への土産用に結構な数を購入したので店員さんがびっくりしていたね。


 別に日本で買えないわけじゃないけれど、食料じゃなく後まで残るロンドン土産と言うだけの話だよ。

 午後6時の閉店間際まで店内を物色?いやウィンドウショッピングだね。


 日本では閉店前に「蛍の光」なんかが流れて、事前にお知らせをするけれど、フォートナム&メイソンではスタッフが間もなく閉店をアナウンスするだけ。

 処変われば品変わるで、別の店では静かな音楽をかけるところもあるらしいぜ。


 次いでアズが楽しみにしていたミュージカル「ハミルトン」の観劇だ。

 ハミルトンと言うのは米国の建国の父の一人でもあるアレクサンダー・ハミルトンのことで、彼の生涯をミュージカルにしたものだ。


 実は、ハミルトンは政敵との決闘で死ぬんだけれど、その場面までも再現しているんだぜ。

 このミュージカルは、アメリカのブロードウェイが2015年に初演して、ロンドンが少し遅れて2017年に公演をしているが、どちらもロングランだね。


 前にも言ったような気がするけれど、若干舞台と観衆の雰囲気が違うのがミソと聞いているけれど、取り敢えずは英国のハミルトンを観て聴いて楽しもうじゃないか。

 ハミルトンの生い立ちから始まる第一幕では、主に独立戦争のためにワシントンの副官として働くハミルトンであり、ワシントンが初代大統領になった時、財務長官になったところまでを描いている。


 第二幕は、主として政治家としてのハミルトンの活動だが、ワシントンの後に第二代大統領となったジョン・アダムズから財務長官を解任されるが、戦友でもあるジェファーソン(第三代大統領)の大統領選挙出馬のために政治活動を継続する。

 その最中に政敵から決闘を申し入れられ、これを受けて死亡することになるんだ。


 簡単なストーリーはこんなものなんだが、テンポが速い上に、ロマンスもあれば不倫までもが演じられ、とにかく出演者が多いね。

 メインキャストだけでも10名を超えるし、歴史的に俺が知っている名前もバンバン出て来るんだ。


 歌は、うまいんだろうけれど、俺には左程の区別はつかんな。

 こっちの方面はアズに任せるしかないんだ。


 むしろ、俺としては、目を輝かせて舞台に見入っているアズの顔を見ている方が楽しいぜ。

 ハミルトンを終えて、俺達は車で移動して、リッツホテルへと向かう。


 劇場を出たのが午後6時少し前と若干時間的には少し早いんだが、そうかといって、午後7時からのディナーを予約しているから、どこかに寄る時間はなさそうだ。

 しかたがないのでホテルのロビーで紅茶を飲みながら、時間を潰すのも一興だろうと云うことになった。







 大変で~す。大事なことが抜け落ちていました。

 チェックしていたら、ロンドンのウェストエンドで公演されているミュージカルは、日曜日がお休みなんですね。

 因みにストーリーの上では、日曜日にミュージカルを見ることになっています。

 すでに話の中で何度か予告もしていますので、今更、変更もできません。

 従って、このまましれっと話を進めちゃいました。

 飽くまで、仮想のお話と言うことで勘弁してください。


  By サクラ近衛将監

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