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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第四章 起業

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4―12 結婚と新婚旅行 その五

 ストラスブールでの夕食は、ホテル内のレストラン『Le 1387』を予約していた。

 何せストラスブールは、余り日本人の観光客が訪れていないところだし、到着後の予定も余り決まっていなくて、どちらかと言うと運任せ、風任せのところがあったからね。


 実は、事前に調べた長期予報でも天気がよくわかっていなかったというのもその原因の一つなんだ。

 パリ周辺よりもストラスブール近辺は内陸部の為に予報が余り当てにならないらしい。


 まあ、そんなわけで到着日の今日は取り敢えず、チェックイン前にホテルの近場周辺を歩いて雰囲気だけを堪能、翌日に色々と観光地を巡ることになっているんだ。

 だからチェックイン後は、部屋で少し骨休めだな。


 夕食は午後8時からの予約をしているんだが、Le1387はレストラン&バーなので、アズと語らって食事をしながら、アルコール類でも飲んでナイトライフを楽しもうということになっている。

 これがホテルの外だと俺達がへべれけになっては後々困るけれど、ホテル内なら何とかなるだろうということで、今日は飲んでみるわけだ。


 俺の場合、アルコール耐性が物凄く強い。

 と言うよりも、体内での血中アルコール濃度を完ぺきに制御できるから、多分全く酔わないと思うんだ。


 これまで会社の宴会等でもアルコールはそれなりに飲んでいるけれど、俺はしらけるぐらい素面(しらふ)だね。

 多分、制御しなければ酔うんだろうと思うけれど、学生時代(勿論、20歳を超えてからの話)からそうだったから、その習慣を今更やめられないんだ。


 酔うんじゃなくって、酒飲みの雰囲気を味わうだけのために、お付き合いしている感じ?

 正直なところ、酒が左程美味いと思っているわけでは無いけれど、酒が入ると人によって色々な反応を示すのが面白いし、ある意味で人間関係で潤滑剤の役目もあると認識しているから、過度にさえならなければ、酒飲み自体を否定はしない。


 だが、飲み過ぎはだめだな。

 かく言う俺とアズは、結婚前に二人で飲み会をしたことが無いんだ。


 でもアズはアズの職場仲間と、俺は俺の会社の社員らとそれなりに飲んでいるんだぜ。

 だからと言って、二人でデートしている時に、スナックなどに行った経験は無かったな。


 精々、食事の際に日本酒やワインを少々たしなむ程度で、俺もアズも、お酒がそれほど好きと言うわけでは無く、お付き合いで必要なら飲むという感じなんだ。

 だからデートでわざわざスナックなんぞには行かなかったというだけの話だな。


 Le1387では、季節に合わせた(しゅん)のものを出してくれたようだ。

 例によって、シェフのおまかせコースだよ。


 こちらで色々料理の取り合わせを考えなくて済むのがいいんだ。

 その代わり、値段は少し高めになるのかも?


 今夜は、食前酒、ワインも二種類、食事の後に食後酒と品を替えて出て来たし、食事が終わったら席を変えてバーテンダーのいるカウンターに行き、二人で色々のカクテルを味わってみたよ。

 俺は全然酔わなかったけれど、アズがちょっと酔い気味になったから、俺がアルコールの血中濃度を少し下げてあげた。


 正直な話、人のアルコール血中濃度を(いじ)ったのは初めての経験だったが、実際にやってみてびっくりするほど簡単にできたので正直なところ俺自身が驚いている。

 いずれにしろ、アズの場合は、大目に酒を飲むと笑い上戸に近い陽気になるタイプとわかったな。


 飲み過ぎるとハイテンションになりやすいのかな?

 そんな時に俺が血中濃度を弄ったもんだから、ご本人はあれっという顔をしていたな。


 部屋に戻って、ベッドインした時に、アズが聞いてきた。


「さっきバーで飲んでいた時に何かした?」


「あぁ、まぁ・・・。

 アズがチョット飲み過ぎみたいな兆候が見られたから、血中アルコール濃度を少し下げたんだけど。

 気が付いたのかな?」


「うん、・・・・。

 なんかね。

 ちょっと陽気でハイになっていたところで、冷や水をかけられたように冷静になっちゃうと、やっぱり我ながらおかしいと思うよね。

 これまでこんなこと一度も無かったから・・・。

 酔いが理由もなしに急に冷めるわけも無いし・・・。」


「これまで、自分では、酒に飲まれないよう適度にセーブするために血中アルコール濃度を制御していたんだけれど、自分以外にその調整をやったのは初めてなんだ。

 でも、アズで出来たから、人の血中アルコール濃度をそれなりに制御できることが分かったよ。」


「でもなんか怖い話だね。

 もしかして、アルコールだけじゃなく、他の血液成分なんかも制御できるということなの?」


「いや、流石にそんなことができるかどうかは試したことも無いよ。

 ただ、俺が認識できるものなら分離することはできると思うし、その逆に別のものを加えることも可能だとは思うな。

 前に言ったよね。

 高校時代に二人でS山に登った時にクマさんに出会って、そいつを退治した時には、金属の塊を熊さんの心臓と同化させたことが有るって・・・。」


 俺がそう言うと、アズがこっくりと頷いた。


「その時使った金属の塊は比較的大きいけれど、小さなものでも認識できる物なら、特定の場所に送り込めるだろうね。

 そこが太い血管なんかであれば、血液中に不純物を混入させることも可能だろうと思うよ。

 例のワクチン製造時にも危険な病原体を隔離した状態で、色々実験できたのはその能力のお陰でもある。」


「もしかして、注射器なしで殺人ができちゃうってこと?

 エイ、そんなことしないでよね。」


「少なくともよほどのことが無い限り殺人はしたくないよな。

 そんなことをせずに相手の攻撃を防いだり、抵抗力を奪うことができるはずだから、俺の意思で簡単に殺人をしたりはしないよ。

 アズはそんなことを心配する必要は無い。」


 そんなことを話していたんだが、まさか翌日にそんなことをするような事態が起きるとは思っていなかったよ。

 あ、殺人じゃなく、相手を無力化することだよ。



 翌日は、ホテルで朝食をとって、朝から散歩がてらプティット・フランス(Petite France)と呼ばれる地区まで徒歩7分だ。

 プティット・フランスは、ライン川の支流であるイル川沿いに木枠を多用した古い建築物が立ち並ぶ街なんだ。


 街を歩くだけで何となく中世の雰囲気を感じさせる場所でもある。

 多くの観光客が訪れる場所でもあるんだが、生憎と東洋人は見かけなかったな。


 夜のライトアップもきれいなところらしいので、うまく行けば夜のクルーズもできるかもしれない。

 40分ほどかけてプティット・フランス地区を歩き回ったよ。


 観光地だけあって、狭い路地にも土産物屋さんが通路に商品を並べていたね。

 それとこの地区には自動車を見かけなかったんだけど、同地区の入り口には、「No Eentry」の表示が有ったので一般車両の乗り入れはできないみたいだね。


 中世風の街並みもきれいだったけれど、目を引いたのはハインリヒ塔 (Heinrichsturm)と呼ばれる1229年に建造された中世の軍事防御施設建物だった。

 まぁ、石組みの単なる要塞風の物見(やぐら)なんだけれど、運河を挟んで両脇に立っているんだ。


 こいつはかつて屋根付きの橋の両端に在って、都市を守る防衛拠点だったらしい。

 但し、独房なんかもあって刑務所としても使われていたらしいから、何となくロンドンブリッジを思い起こしちゃった。


 あと、地図の上では役所もこの地区にあるみたいだから行ってみたけれど、どうも単なる観光地だったみたいだ。

 『Protection des mineurs』(直訳すると「未成年者の保護」とあってG*o*leでは市役所と記載されているんだよね。)と地図上には記載されていたんだけれど、何で紛らわしい名前を付けているんだろうね。


 いずれにしろ、プティット・フランスを念入りに観光してから、俺とアズが楽しみにして予約していた運河クルーズだ。

 沢山の人が乗るクルーズもあるんだけれど、俺たちはハネムーンの最中だからね。


 ハイヤーならぬ、プライベート・ボートを借り切ってのクルーズだよ。

 運転とガイドは船長任せで、いろんなところを回るんだ。


 出発地はプティット・フランス地区から200mほども離れたところにあるサン・トマ橋のたもとになっている。

 午前10半の予約なので、10時15分には約束の場所についた。


 予約した船は、既に桟橋で待機していてくれたけれど、まぁ、普通のプレジャーボートだよね。

 但し、後部座席にはお客さん用に立派なソファとテーブルが据えられているし、軽食や飲み物も用意されているんだぜ。


 予定では、桟橋近くにあるサン・トマ教会を見学、それから船でセントウィリアム教会を川面から見学しつつ、ちょっと離れた欧州議会まで船で移動、議場の一部も見学する。

 Tour Elithis Danube(近代的ではあるがちょっと変わった形のビル)とMédiathèque André Malraux(図書館)の脇を通って、Médiathèque André Malraux(水門?ゲート?)を通過。


 途中で木陰からちらっとモスクが見えたからきっとイスラム寺院があるんだろうね。

 アルザス地方の自治体政府事務所、ヴォーバン・ダムを経由して朝から歩き回ったプティット・フランスを川面から見たよ。


 他にも順番は忘れたけれどロアン宮殿やノートルダム寺院ストラスブールのであってバリのじゃない、ストラスブール近代・現代美術館(Strasbourg Museum of Modern and Contemporary Art)それに、グラン・ディルに加えて、ライン宮殿やコンタッド公園のあるノイシュタット(グランディルに隣接する北東部にある新市街)地区も世界遺産になったので、これをイル川沿いに見学したよ。

 最終的に乗った場所に戻ってもらってクルーズツアーはおしまいだ。


 その際に今日の夜間にプティット・フランスの周囲だけをクルーズしてもらえるか聞いたら、船長さんが請け負ってくれた。

 今日は夕方までの予約しか入っていないので、午後8時半から小1時間ほどのツアーということで格安で請け負ってくれたんだ。


 船長さん、フランス語やドイツ語を流ちょうに話す俺達夫婦をとっても気に入ったようだった。

 ということで川面からのツアーは終了したので、改めて、サン・トマ橋の近くのレストランに入って昼食をとり、それからアルザス博物館を訪れて、この地方の昔の生活ぶりが分かる品々を観光したよ。


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