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二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第四章 起業

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4―6 渡り鳥とD国の調査予定

 俺もD国には、モンスター退治の遠征以来一度も行っていないんだが、例のD国由来の異変と核爆発によって。周辺の植物相や動物相が大幅に変わった可能性もあるんだよね。

 バタフライ効果というわけじゃないけれど、突然変異を起こしたカザフ出血熱やX-1病原体のように、異界や強大な放射能が原因となってどんな変化が起きるかについては全く予測できないんだ。


 日本に来る渡り鳥には、夏鳥と冬鳥があるんだが、一般によく知られているのは冬鳥だよな。

 冬場に厳寒を迎えるシベリア等の大陸北部から、カモ、がん、ハクチョウなどが日本へ渡って来るんだが、この際にD国を経由してやって来るものも結構多いんだ。


 一方で夏鳥というのは、初夏に大量に発生する餌を求めて遠距離を移動して来るヤツだ。

 夏鳥で有名なところでは、ホトトギスかな。


 日本からは、東南アジア、インドを経て、アフリカ東部までの3万キロ近くの距離を5か月から半年ほどもかけて移動するようだ。

 単純に言うと盛夏の8月頃には日本を離れて、遠路はるばるアフリカ東部海岸モザンビークあたりへ向かい、12月若しくは1月頃には、アフリカ東部海岸を発って、日本へ向かうんだ。


 ホトトギスについては、同じことがD国でも観測されていたんだが、仮に空間亀裂という異変の発生と核爆発によって、ホトトギスの居場所が無くなった場合、ホトトギスはどうするかだよな。

 例の時空亀裂が発生したのは3月下旬のことで、夏鳥が渡って来るには早い時期だった。


 仮に現場付近に冬鳥が残っていたら核爆発の影響等で死んだものも多数いたのだろうと思う。

 その後になって、ホトトギスが南方から渡って来たとして、植物相や動物相が変化した状態で、果たしてホトトギスの餌が有ったかどうかなんだ。


 餌が無ければ、繁殖のためにも別の場所に移動するしかないんだよね。

 海を渡って日本へ来るか、大陸奥地へ行くかだけれど、大陸へ向かったらモンスターが居すわっていたわけだから、生存競争が厳しかったのじゃないかと思うよ。


 日本へ渡って来たヤツは、きっと生き残れた可能性が大だろう。

 ホトトギスは数年から10年ほども寿命が有るらしい。


 そのままずっと日本に居続けたら良かったかもしれないが、おそらく日本では越冬できないんだろうね。

 夏を過ぎると餌も少なくなるから、渡り鳥の習性で、やはりアフリカ大陸へ戻ることになる。


 じゃぁ、翌年はどうするのか?

 これまでの習性で行けば、インド、東南アジアを経てやはりD国へと行くのじゃないだろか?


 ホトトギスの場合、餌は主として毛虫なんだ。

 そいつが大量に発生する初夏の5月か6月頃には渡って来るんだけれど、餌がD国に無ければ、再度日本へ来ることになるんだろう。


 仮に、D国を経由することがルートとして定常化してしまうと、必ずD国を経由する一群が存在することになる。

 こいつが危険因子になる可能性が有るんだよな。


 まぁ、実のところは、冬鳥でも同じなんだけれどね。

 放射能の影響等で河川湖沼(かせんこしょう)の餌が無くなれば、冬鳥だって日本へ移動せざるを得なかっただろう。


 こっちも、ルートでD国経由が定常化すると、冬鳥か夏鳥かに関わらず、渡り鳥は、常時、D国から何らかの病原体を運んでくる恐れがあるわけだ。

 鳥インフルエンザの防疫では、渡り鳥の影響が随分と騒がれた時期もあったんだけれど、今のところ異界由来の病原体については一部の政府機関や医療機関が警戒しているだけなんだ。


 まぁね、疑いはあっても実証されたわけじゃないから、カザフ出血熱の例もあるんで下手に公表するのは為政者としては手控えるよね。

 地震津波と同じようなもので、余程確度が高くないと公表はできないんだ。


 いまだに地震予知なんぞはできないから、どうしても注意喚起にとどまっているし、この件に関しては今のところ注意すら出されていないんだ。

 さて、俺はどうするかだが・・・・。


 何ができるかについて、アズと一緒に、じっくりと考えてはみようとは思っている。


 ◇◇◇◇


 一方で、米国政府とロシア政府は、互いにけん制しあいながらももD国への調査隊派遣についてかなり前向きであるようだ。

 黄さんのネットワークで確認したところ、米ロとも衛星監視により、時空亀裂が発生したのは観察してある程度推測をしているみたいなんだ。


 当然に新技術の確認と軍事利用が可能かどうかを考えているようだし、互いに出し抜くことを根底には持っている。

 色々すったもんだの挙句、D国が自由主義国圏内であったために、米国主導で調査隊が編成され、ロシアの調査隊も共同で参加することになったようだ。


 因みに、日本政府もこの調査隊に学識経験者を参加させることになっているらしい。

 D国の調査実施について、その計画遂行が遅れたのは、調査対象域で放射能の残留濃度が部分的に高い地点が有ったことから、精密な測定をドローンで繰り返していたためのようだ。


 そうして、ついに、2042年5月中旬に調査を行う旨の政府広報が有ったよ。

 D国内に残っている廃墟と化した研究施設については、関連施設も機器もそのまま残っているわけだが、それをどう調査するかについても一応の検討はしたようだね。


 三年以上も放置されているので、あちらこちら不具合箇所もあるだろうけれど、電源を入れたら再稼働する可能性もわずかに残ってはいるんだぜ。

 この国際合同調査が行われる前に、俺が出張って全部まとめて壊してしまうという方法もなくは無かったんだが、D国内に当時の研究資料が至るところに残存しているような場合には、破壊活動そのものが時間稼ぎにしかならないような気がするんだ。


 俺が出張れば当然に俺の身に危険もあり得る。

 もう一つ、避けなければならない危険因子として、米ロがドローン等により現場付近にかなり精緻な監視体制を築いていることから、身バレも発生しやすいんだ。


 むしろ、関連施設や機器をそのまま残しておいた方が、同様の失敗を繰り返さないための警鐘になると考えて、俺は敢えて放置することにしたよ。

 何せ異界との通路になる亀裂が発生したおかげで、ユーラシア大陸の五分の二以上がモンスターに侵食され、20億人を超える犠牲者を産んだんだ。


 米国にしろ、ロシアにしろ、為政者は馬鹿ではないんだろうから、同じ(てつ)は踏まないだろうと思うぜ。

 残留放射能については、広島・長崎に投下された原爆の影響について、概ね原爆投下から2か月後に観測されたデータと1年後に計測されたデータの比較から、概ね1年後にはほぼ自然観測値程度まで放射線量が減少していたとの調査報告が有って、降雨等による放射能の減少が思いのほか大きいと推測されていたんだ。


 但し、日本とD国では降水量に若干の違いが有る。

 D国の場合は、概ね日本の三分の二程度の年間降水量で梅雨の時期に集中しているからね。


 このため、広島や長崎などに比べると残留放射能の逓減率は少ない可能性もある。

 実際に米国やロシアによるドローン等による定点観測では、異変発生の三か月後に比べると、現在では少なくとも八分の一程度にまで残留放射能は低下していることが分かっているんだが、部分的に汚染された土壌や沼などがあることも判明しており、何も対策をせずに踏み込むには問題があるようだ。


 このため、国際調査隊は、放射線を阻むように装甲に覆われた特殊軍用車両(AMPV)で輸送され、調査隊員が当該車両から出る場合は酸素ボンベを背負い、なおかつクラスⅣに準じる程度の防護服をつけて短時間の調査をする計画のようだ。

 個別の調査可能時間が短いことから、5回に分けて調査隊を派遣し、その都度、映像等を記録に残すようにするみたいだね。


 調査隊の任務は二つ。

 一つは異界との亀裂が発生した原因を可能ならば確認することと、もう一つは、その後の亀裂発生地点周辺の植物相と動物相の調査確認である。


 このため、現地ではサンプルも採取予定にしている。

 国際調査隊の人員は、延べ12カ国から総勢で200名を超える大所帯になるようだが、そのうちの半数は軍人のようだな。


 まぁ、特殊車両を運転するのには慣れた者を使うのが当然として、どうも武力行使が必要な場合も想定して、特殊装備の戦車も同行するようだぜ。

 元々、モンスターの出現場所と想定されているわけだから当然に危険地域であることは間違いない。


 衛星監視やドローンの活用で大型モンスターが居ないことはわかっていても、他にどんなものがいるかは良くわかっていないんだ。

 従って、護衛の兵士はどうしても必要と言うことだろう。


 いずれにしろ、今回の一件で、例の発電所や関連の研究施設周辺には結構な数の監視装置が有るらしいということが分かったので、俺が秘密裏に動くことはかなり難しいな。

 黒づくめの目出し帽で映像に映ったら、またまた俺の監視がきつくなるだろう。


 取り敢えず大事にならない限り、俺は動かないつもりだ。

 うーん、仮に動かざるを得ないとすれば・・・・。


 何か俺の能力を活用して、そうした監視網が有って見つからないようにはできないものかなぁ。

 暇なときは、そんな方法を色々と思案しているところだよ。


 ◇◇◇◇


 えっと、新規事業は今のところ順調に推移しているよ。

 この10月には創立一周年を迎えたので社内でお祝いもした。


 取引相手を巻き込んで盛大に祝っても良いんだけれど、そいつは三周年ぐらいにしようと決めているんだ。

 そうして最も重要なことは、創立記念日の翌日に、俺からアズに正式にプロポーズしたことだ。


 勿論、アズは「喜んでお受けします。」といって、了承してくれた。

 近々、小林家にも二人で行って、ご両親に嫁に下さいとお願いするつもりだよ。


 その後で秦山家にもきちんと紹介することになる。


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