表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
二つのR ~ 守護霊にResistanceとReactionを与えられた  作者: サクラ近衛将監
第四章 起業

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/65

4―4 秦山電子の従業員 その二

 だって、この新型MPUの製造機器って、どこにも売っていない代物なんですから、正確な値段なんてつけられるわけもありません。

 社長に『お値段はどのぐらいになるのでしょう?』と聞くと、『これらの機器類は会社の秘密だし、他所には絶対に売れない品だから、値段なんてつけられないよ。』と言うんです。


 確かに企業秘密は大事ですよね。

 でも、決算についてはどうします?


 仕方がないので、私が最寄りの町工場数軒を訪ねて、最新の工作機械類のお値段を聞いてまいりました。

 同じ機械ではないことはわかっていますけれど、社長が値段はつけられないと意味不明のことを言っていますから、第三者の目で簡易査定して、アバウトですけれど、設置機器については概ね1億2千万円(ちょっと少なすぎたかしら?)と仮定いたしました。


 唯一無二のものならば、値段なんて本来はつけられませんけれど、一応の書式だけ整えて税務署の判定なり査定なりを待つことにします。

 そうなると、事業の正式開始前の初期投資額は6億円強、資産としての製品は原価で言えば、社長の労賃を含めて3500万円弱でしょうか?(うーん、どう考えても本来の筋から言うと、かなりの無理がありそうなのですが・・・。)


 なお、4月から9月までの社長の給与は未払いとしておき、10月分では計算が間に合いませんでしたので、11月分の給与に合わせて処理する予定です。

 因みに、事業所内部の倉庫に保管されている20万個の製品は、全部売れたら90億円にもなるんですよ。


 これがまた、捕らぬ狸の皮算用かと思っていたら、正式開業から1か月も経たないうちに4万個以上が売れてしまいました。

 これだけで18億円の収入になります。


 消費税分は、一時的には手元に入りますから、会社の会計計算上は無視できませんけれど、純益としての18億円は、支出分を差し引いた額でも、既に減価償却分をも含めて解消ですね。

 社長に『余剰収益分は、増資とか投資とかしますか?』と聞いたら、『そんなもん面倒くさいからしないよ。』と言っています。


 社長が続けて言ったのは、『当面運用資金で銀行に預けておくけれど、儲けた分はそれなりに社員に還元するから来年4月からはベースアップで、3割増しぐらいかな?』でした。

 うん?


 3割って、私の月給が35万から45万を超えることになるのかしらん?

 『社長は?』って聞いたら、『俺はその半分の15%増しぐらいかな?』って言っていましたね。


 でも、この見込みはもっと上方修正になりそうですよ。

 だって、開業から四か月後の2月には、在庫の半分以上が()けてしまったので、社長が製造ラインを稼働させましたもん。


 3月末までの販売個数は、おそらく14~15万個ぐらいにはなるんじゃないでしょうかねぇ。

 社長のお誘いに乗って、本当によかったと思います。


 派遣会社の給料は、この会社の半分程度でしたからね。

 おまけに社長さんから、『独身寮代わりに、N駅近くのマンションで2Kぐらいの部屋を少なくとも4軒ぐらい探しておいてくれ。』と言われました。


 社長曰く、4月からは社員を倍増するそうで、『芽衣も良い部屋が有ったら目星をつけておけよ。』と、言われました。

 うーん、確かに、半年で60億円を超えるぐらい稼ぐのであれば、従業員が百人ぐらいでも大丈夫ですよね。


 同僚の児島香蓮さんが発注書の処理や、製品発送で大忙しですから、人手を増やさねば駄目みたいです。

 年商が100億円を超すような会社の(あるじ)であり、営業を一身に請け負っているような社長が、商品の発送までも手伝っているなんて、とてもお客さんには見せられません。


 間違いなくもっと人手が必要ですし、場合によっては、派遣会社への外注やアルバイトを雇うのも良いかもしれませんね。

 あ、でも、中身はとっても高価な代物なんですよね。


 緩衝材とともに、一辺が概ね36センチほどの立方体に近い段ボール箱

(『秦山電子』と『Hatayama Electronic Manufacturing Facility Co., Ltd.』のロゴ入り)

に詰まっている製品が一箱あたりで200個も入っており、5箱で千個の商品ですが、売り掛値で一箱当たり900万円もするんですから、下手なブランドもののバッグよりも高いのです。

 因みに試供品扱いの小箱で10個単位のパッケージもありますし、さらに個人客が出て来た場合に備えて、個別包装分が千個ほどありますけれど、今のところ個別包装分は完全に不良在庫と化しています。


 だって、MPU自体が特殊なのでマザーボードとセットで販売されているのが普通であり、今のところマザーボードも単独では市場には出てないですからね。

 ウチのMPUだけを購入して、自作のPCを造る方法が無いんです。


 あるとすれば、どこかの新規事業者が開発したマザーボードに試験的に搭載する場合ぐらいしかありません。

 社長曰く、HE-CUBE1と互換性のあるHE-CUBE2が出たら、マザーボードが単体で出る可能性もあるそうですけれどね。


 いずれにしろ、一個でも高い商品ですから、やっぱりセキュリティの面から言ってもアルバイトの利用は余りお勧めできませんね。

 発送までも含めて、信用のできる社員で行う必要があります。


 それにしても、2041年の夏のボーナスと冬のボーナスが今から楽しみです。

 2040年の冬のボーナスは、社長の思惑が詰まっている労働協約には、公務員に準じて、半年間は仮採用で少なめのボーナスなんですけれど、2041年の夏のボーナスで月給の3.5倍、冬のボーナスで月給の4倍の額がもらえることになっているんですよ。


 ベースアップ後の給料を仮定してちょっと計算したら、夏のボーナスで159万円、冬だと182万円にもなります。

 その分、社会保険料とかも上がりますから、手取りはそれよりも少なくなりますけれどね。


 私の欲しかったものが色々と買えそうです。

 それに社宅が有れば、実家に頼らなくても十分に生活できますね。


 後、足りないのは、彼氏かな?

 社長は従兄だし、そもそも彼女が居そうなので対象外です。


 従兄じゃなければ、社長に飛びついちゃうところですけれどね

 会社にいる男性陣では、二人が60歳越えの既婚者ですから当然除外だし、残り二人はと言えば、オツムは良さそうなんだけれど、何となくとっつきにくいのよねぇ。


 給料は能力給なのか、初任給で私たちより5万円ほど高いので、今後も高給取りになりそうですから普通の女性から見れば玉の輿(たまのこし)なんですけれど、何と言うか、草食系でおとなしめだけれど、ネクラでもありそうなんです。

 異性とお付き合いするなら、できれば陽キャで楽しい方が良いよね。


 目下のところ、同僚である二人については、付き合う価値のある異性かどうか観察中だけれど、同じく同僚の児島さんも若干引き気味な感じかな?


 ◇◇◇◇


 私は、児島香蓮、23歳、独身です。

 別に誇大広告じゃないけれど、大事なことだからもう一度言いますね。


 23歳、花の独身です。

 大学は卒業したものの、就活に失敗して、浪人もままならず派遣会社に登録して一年余りを無為に過ごしてしまいました。


 でも幸いなことに今の社長に声をかけられて、正社員で雇ってもらうことになりました。

 給与は、初任給で35万円、半年間は仮採用で12月のボーナスは少なめ、でも次回からボーナスは夏で3.5倍、冬で4倍のお約束です。


会社は、A市内にある家からも通える程度に近いので、至極便利です。

通勤手当もしっかりと出ますよ。


 仕事は、一応事務担当ですけれど、経理担当は同期入社の秦山芽衣さん。

 彼女は、社長の従妹らしいけれど、私より一つ下の若い子です。


 私の仕事はと言えば、受注関係の書類作成が主なんですけれど、製品の発送までも含むなんでも屋、まぁ、庶務タン・・・、ン、意味が違うかな?

 他に65歳越えの男性二人と、システム・エンジニア(SE)の男性一人、プログラマーの男女各一名が、わが社の陣容です。


 社長を入れても総勢8名の小さな所帯ですね。

 まぁ、陣容から言うと中小企業って言っても間違いではないかもしれません。


 でも実際に来て見てびっくりです。

 受注が結構な数に上って一月も経たないうちに、段ボールで200個余りを発送する羽目になりました。


 凄いのは、国内の会社だけでなく海外の会社からも受注が有ることなんです。

 従って、英語も必要になりました。


 まぁまぁ、それなりに私も英語はできる方かなとは思っていたのですけれど、社長が外国の客と色々な言語を使い分けてしゃべっているのには脱帽です。

 台湾なんか、中国語でしょう?


 しかも広東語のはずですけれど、ネィティブのように話しています。

 私にはちんぷんかんで話の内容はわかりませんけれど、営業は社長の専属みたいなので、電話で営業の方をと言われると社長につなげるのが仕事の一つです。


 で、社長が獲得した受注を書類にして、発送するまでが私の仕事ですが、これが結構大変なんです。

 時折、社長が手伝ってくれていますけれど、もっと受注が増えたら私一人では足りませんし、外部からの電話応対やメールでの追加注文に対応できる人が欲しいです。


 外部からの電話が集中すると、とても私一人では手が足りません。

 メールでの注文もありますけれど、最近は詐欺も多いので、必ず相手を確認しないといけませんから、電話を併用しているんです。


 一応、守衛兼受付のご老体二人も忙しいときには電話応対もやってくれますが、会社自体への来客が少ないから出来ることであって、会社自体への訪問客が増えたら、こんな風には行かないと思います。

 いずれにせよ実家から通える職場と言うのが便利であり、かつ、社内の雰囲気が和気あいあいとしていてとても快適なんです。


 派遣会社勤務の際は、安アパート住まいでしたし、安月給で贅沢もできませんでしたが、今回は倍近い給与を貰えますから大分気楽ですね。

 ベースアップは、会社全体の業績次第って言われていましたけれど、経理担当の芽衣嬢の話では、来半期は、少なくとも30%の昇級が確実だそうですよ。


 えっと、半年で45万円超までの月給になるの?

 大手の会社でもそんなには出してくれないんじゃないの?


 この会社に雇われて本当に良かった。

 追い出されないよう今の仕事をしっかりと頑張りましょう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ