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ほんとうのはじまり

 「...というわけなんです。

  つたない説明になってしまいましたがおわかりになりましたか?」


 「ええ、何となく理解したわ。

  わたしの整理のためとしても、もう一度確認していいかしら?」


 「お願いします。

  私の説明でお伝えできたか心配ですので。」


 「そうね、結論から言うとローズ様は国政が”苦手”というよりは”嫌い”ということね。」


 先ほどミラによって語られたローズ様の話しは、まあ何と言うか驚くべきものだった。

 2人してローズ様は国政を学ぶべきだと言っていたから苦手なのかなと思っていたのだが、どうやらそうではないらしい。


 ミラの話をまとめると、要するにローズ様は国政が嫌い。


 原因はまず社交界が嫌いということらしい。

 表向きは笑顔なのに何を考えて話してるかわからない、だそう。

 わたしもそう思う。うん。

 2つめの原因は、別にお兄様に任せればいいじゃないという逃げ場があること。

 確かにローズ様は女だしね。


 結果、「あんな人たちを覚える気にならない、そんな人たちがどんなことしてたってどうでもいいもの。お兄様がどうにかしてくれるわ。」というグレた王女になってしまったらしい。

 つまりいつもお茶会や舞踏会で見ている王女様は完璧につくった姿。

 それだけは小さいころから完璧に教えられたらしい。


 しかしある問題があった。

 ローズ様も今年で15歳を迎える。

 頻繁に社交界へでることになるということだ。

 今ままでのようにはいかない。 


 そこでわたしが呼ばれた。

 なぜわたしだったのかは教えてもらえなかったけど。


 「わたしの役目はローズ様の国政嫌いを克服していただき、一国の王女としてそれにふさわしい心持ち  と知識を身につけていただく、ということであってるかしら。」


  「はい、そのとおりです。

   ですのでどんなふうにやってくれちゃっても大丈夫です。」

 きゅうに口調が変わったミラ。

 なんだか向かいに立っている彼女の背後に怖いものが見える気がする。


 「...迷惑かもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。」

 ミラの隣に無表情で立っていたエマも本日二度目の言葉を発した。

 何気に失礼な内容だけどね。


 そんなことを思っていると、目の前で紅茶を飲んでいたローズ様が静かにカップをテーブルの上においた。

 さっきまでうっすらと微笑んでいた唇が、今は少しとがっている。


 「2人ともほんとにひどいんだから...」

 これは本音よね、きっと。

 

 そして今度はわたしのほうへと顔を向ける。

 その表情(かお)は悪戯っぽく微笑んでいた。


 「これでも、メアリはこの役目をひきうけてくれるかしら?

  私が言うのも変だけどとても面倒だと思うの。」


 つまりそう簡単に社交界嫌いがなおるわけがないってことね。

 まあミラも本人の前で言っちゃってるからなぁ。


 それでもわたしにやめる気はない。

 もともと自分がやりたくて引き受けたことだし家への貢献にもなる。

 辞退すればまたつまらない日常が戻ってくるだけだ。

 

 そして、話しを聞いてその思いは強まった。

 

 ローズ様は数年前のわたしに似ていた。

 今思えば確かにあの時のわたしはグレていた。

 でも、わたしでも今こうしてここにいるのだからローズ様にも楽しいことはたくさんあるってことを知ってもらいたい。

 わたしが、教えてもらったように。


 だからやめたいなんて思わない。


 「もちろんお引き受けいたします。

  わたしでも少しはお役に立てるかと思いますので。

  どうぞ、よろしくお願いします。」

 だからあなたもがんばってくださいね、という思いもこめて挑むような笑顔でそう言った。




 ここからわたしのほんとうの王城生活がはじまった。


 


 

文はたぶんそのうちいろいろ編集していくと思います。


ありがとうございました。

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