[#1~2-House of The Alcyon【6】]
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律歴4060年1月1日。
この日まで、俺とエレリアはこの世界の住人から血を授かってきた。こう丁寧な言葉で紡いでいるが、決行してきた行動を振り返ると俺達は、悪魔としか言いようがない。アラモシアには病院があり、病棟には輸血室が備わっている。俺達は夜中、病棟に侵入し、複数の輸血サンプルを奪った。その際に役立ったのが俺達に搭載されているSSC遺伝子とかいう能力プロトコルだ。シーク機能で、現実世界との乖離を果たした。俺とエレリアはここにいるのに、誰からも認識されない。勿論、監視カメラにもだ。俺達は毎晩毎晩と少しずつ輸血を行い、アルシオンの血筋を最小限に抑える努力をしてきた。目眩もした。意識も朦朧として来た。他人の遺伝子を受信するってこういう事なんだな…と思った。
輸血をしていくと次第に輸血室のサンプルは減っていく。当たり前の話だが、俺達は先のことなんて考えて無かった。自分達の計画遂行にしか、頭を働かせていないのだ。感覚的にはまだ、リコンビナントの余地があると思える。それはエレリアも同様だった。
「お兄ちゃん、殺ろう」
「エレリア…」
「もう、人の血しかないよ。生きてる人の血だよ。もう何十回もやってる理由は、注射してきた血液が、使い物にならないやつだからなんじゃない?」
エレリアの言葉で、俺は決心した。この世界に有難みも無い。ムイネクと街の住人には感謝している。しかし、最優先事項は俺達が安全に暮らすことだ。いつどこでまた、セカンドステージチルドレンと疑われるのか解らない。少しでもSSCの血を絶やすために…。
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だから、人を殺した。
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夜、アラモシアの近くに位置する海浜公園で男集団を発見。5人はいたであろう男グループにエレリアが接近した。
「あの…」
「おん?どうしたー?可愛いの」
「あの…道が判らなくて…」
「迷子になったのか?どこに住んでるんだ?」
「わからないの」
「親は?」
「親はいません…」
「じゃあ…警察に連絡した方が…」
「お兄ちゃんはいるけど」
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背後から現れたニーディールが5人を虐殺。SSC遺伝子攻撃を使用した打撃と打撃から生まれた暴風圧のミックス。エレリアは見ているだけ。俺に、殺しの全てを任せた。別にこんなシチュエーションを組まなくても、普通に殺せたのに。このシナリオを組んだのはエレリアだ。
『せっかく、人を殺せるんだから舞台を作りたいなぁお兄ちゃん!』
全く、恐ろしい女だ。あの男に見せた演技。あの顔。エレリアは、この世界で生きることを楽しんでいるのか…?人を殺すことを快感と認識しているのか…?
アルシオンの血が最低量をマークした。これは“感覚的”と先に称していたが、ここまで他人の血を輸血していると嫌でも、自分の血が無くなっていくのを感じる。だが根幹には未だにアルシオンの血は残っている。それでいい。それでいいんだ。特別な血をリセットさせようとまでは思わない。ただ危険な目に巻き込まれる数量値からは脱却させる。
「お兄ちゃん、、これでいいんだよね」
「ああ、もうこれで十分だろう…」
「何人の血を輸血したんだろうね」
「この5人を含んだら、もう20人以上だろうな」
「5人のこと…どうする?遺体も持ってきたし…」
「埋めよう。俺らにはそれが出来る。現にこうして、5人を“持ってきた”」
「お兄ちゃんの怪力っていうか、なんというか…5人を一気に持ち上げるし、姿を消す能力とかって…どうなってるのよ…」
「俺にも分からない。だが備わってるからには、有効利用させてもらう」
律歴4060年1月1日──。
俺達は目交い、近親相姦の果てを始めた。ただの男女の交接じゃない、特別な刺激が2人の快楽を覚醒させた。
「お兄ちゃん」
「エレリア…」
「私達、、いけないことしてるよね…」
「そんなことはないよ。俺らは愛し合ってる。そうだろ?」
「うん…そうだね。お兄ちゃんのこと、好きだよ」
「一緒に生きるぞ…この世界で」
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律歴4091年4月5日──。
光の収束円環から31年が経過した。
ニーディールとエレリアには六人の子宝に恵まれ、最初に生まれた子供は1月で30歳を迎えた。
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律歴4061年1月6日
第一子・デュルーパー誕生。性別は男。
律歴4062年2月6日
第二子・ヴィアーセント誕生。性別は女。
律歴4064年12月6日
第三子・マディセント誕生。性別は女。
律歴4069年6月6日
第四子・スターセント誕生。性別は女。
律歴4072年11月16日
第五子・ペンラリス誕生。性別は男。
律歴4076年10001011100
第六子・ハピネメル誕生。性別は男。
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みんな、すくすくと安心安全に育ってくれた…。
私としてはそれだけで十分幸せ…。本当にこの子達には普通の生活を送って欲しい。30年前の記憶が今でも、脳裏に焼き付いている。
いや、今になってそれが悪夢として毎晩訪れる。その際にいつも私は子供達に迷惑になってしまうぐらいの声を発してしまう…。本当にダメな母親だよ。そんな母親を支えてくれるのが、私の可愛くて逞しい子供たち。
「ママ?大丈夫?」
「お母さん、大丈夫だから。今日も一緒に寝るよ」
「ママ、こっち見て。大丈夫だから。私がいるから」
ヴィアーセント、マディセント、スターセント…。
私は…情けないよ…。娘からいつまで心配させてしまうんだろうね…。本当は親が子供の将来について…とかを心配するんだろうに…。私は…、、、私は…、、どうしたら…いいの…。
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「ハピネメル…!!帰って来て……」
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「ママ!」「お母さん!」「ママ!」
第六子、ハピネメル・アルシオン。
ニーディールの選択は間違っている。
私からハピネメルを離別させた。
ニーディール…。どうしてなの…。
なんでなの…、、、
私の大事な大事な子供なのに…。
成長が他の子より遅いから?
私からハピネメルを取り上げないで…。
私から希望を奪わないで…。
私から絶望を生ませないで…。




