[#136-スカナヴィア血戦者との契約締結【1】]
[#136-スカナヴィア血戦者との契約締結]
暗澹な雰囲気をぶち壊す、空気の読めない声色が大聖堂内へと轟く。最早、原世界異能者たちは呆れている様子を見せるさえも面倒臭くなる。
「我々に感謝をしていますか?」
「⋯⋯⋯ああ、もちろんですよ。あなたたちが何なのか、何を持ってして、ヘリオローザに力を与えたのか⋯全部が全部、わけの分からない事だらけですが⋯取り敢えずは、感謝をしています」
サンファイアが先早に、礼を言う。後の二人が感謝の言葉を伝えない辺り、代表者としてサンファイアを差し出したようだ。一切、三人は目を合わせていない。三人の中で行われるマインドスペースチャットだって開いていない。
当現象は異能者に限らず、通常人類の間でも稀に起きる事だ。
「行く宛てが無いのなら、ここに匿っても宜しいのですけれど」
「本当ですか?それはとても嬉しいです。だよね?姉さん!」
式セルジュークは血戦者の中で最も話の出来る人間だ。正確に人間⋯と断定していい存在なのかは定かでは無いが、今のところ“VキューブS”なる異能を発現可能な時点で、原世界召喚者と同じ位置に立つ異能者である事は充分にアリエル事だ。
「そうねサンファイア。アスタリス、もうこれは決まった事よ。あなた一人じゃ原世界に行けない。それに、あなた一人だけで、どこにも行かせない」
「あー!!もうわかったから!分かったって!二人がかりで来んじゃねぇ!俺だってお前らとは離れねぇって」
「アスタリス、そう言ってるけど『離れたくない』⋯の間違いじゃないの??」
「黙れお前」
三人の仲が再確認出来た時間が流れる。こういった会話は原世界でもあまり味わった事のないものだった。
そんな三人の空間に割って入るような事をせず、傍観者としての立ち位置を貫くヘリオローザ。
「ご家族の皆さん?」
「────」
「────」
「────」
ヘリオローザからの呼び掛けに呼応する三人。特に何も声で反応する事はせず、視線を向けるだけで応えた。
「愛を確かめ合った所、悪いんだけど⋯どうやらまだ救世主の皆さんが言いたい事、あるみたいよ?」
ヘリオローザが血戦者へ意識を差し向ける。
「はい。我々が責任をもって、原世界の召喚者を匿う事を約束致します。皆様は追われる立場となりました。きっとこの先、戮世界テクフルでの自由行動には、かなりの制限が掛けられます。生活には多くの支障を来す場面がございますが、それはもう仕方の無い事です。なので我々スカナヴィアの血戦者が全力でサポート・フォローを致します」
「そんな献身的な対応までして頂けるのですか?」
「お前はどうしてそこまでコイツらに丁寧な口調で対応してんだよ」
サンファイアの言葉遣いに、違和感を覚えてならないアスタリス。アスタリスは否が応でも、現状の意識理念を変えないつもりだ。如何にもアスタリスらしいと言えばそうなのだが、これから匿ってもらう人間の立場としては、彼の感情は不適当と言えよう。




