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[#134-β空間回廊!!法線ベクター反転を拒絶する魔女【4】]


式セルジュークのVキューブSが発現中の空間転移に通ずる門。超重力エネルギーが収束する中心は、亜空間質量の通常バージョンから十五倍もの数値を誇る許容で対応可能。異能者も多数、亜空間内に取り込む事が可能なのだが、ネックとなってしまうのは魔女の存在。


「ダメダメ!ミュラエは連れて行かなきゃ!戮世界テクフルの人間が一人でも居た方が後々楽になるって!」

「はい。攻撃態勢を解きなさいミュラエ。このままではあなたまで失う事となる」

「ウェルニがこのまま残置されるようなら、私もそうなるしか無い。私たちは姉妹なの。唯一の家族なの!両親を目の前で惨殺された、憐れな悲劇を経験してるその一人なの!⋯⋯絶対に、孤独になんてさせちゃダメ⋯⋯それに⋯」


「君も、孤独になるのが怖いんでしょうよ?」


「ヘリオローザ⋯⋯、、ねぇ!フラウドレス」

「⋯⋯」

ヘリオローザの突拍子の無い発言に怒りを滲ませ、それの母体であるフラウドレスに焦点を移し変える。

「ミュラエ、諦めて」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

「サンファイアとアスタリスを失う事は避けたい」

「じゃあ戦おうよ!!今までみたいに戦って!⋯⋯戦って!この壁の向こうにいるヤツらなんてぶっ殺そうよ!そうすりゃあ良いんでしょ?!」

「ぶっ殺して?後の事はどうする気?私ら、一生追われる身確定みたいな処分確定なのは確かだけど、今からでも、あの亜空間の門へ入れば⋯」

「逃走経路はァ、コッチで確保してる」

ヘリオローザに被さる形で、式ハドリアヌスが述べた。


ウプサラの壁。上から下に亀裂が生じていたが、亀裂は遂に段階をアップ。外側から内部を視認出来てしまう程の、大きな切れ込みがウプサラの壁各所から発生。その切れ込みから察するに、外縁側からの負荷活動は実行していない事が判明。

言わば、ウプサラの壁は自然現象によって崩壊しかけているのだ。

「式セルジューク」

「はい。教皇ソディウス・ド・ゴメインドはやはり⋯ウプサラの壁に注力出来る余白を削いだようです」

「つまり、あのガキを打ち負かすのは可能ってこと?」

「薔薇の暴悪、そうと決まった訳ではありません。教皇は七唇律聖教の最高権力者。並大抵の力ではビクともしません」

そんなヤツが自身のスキルを“削いだ”とはいったいなんなのか。疑問点の浮かぶ題材であるが、方をつけなきゃならないテーマが他に⋯⋯


────────

「ンっ⋯⋯」

────────


「はぁァア⋯⋯ウゼェンだよこの期に及んで」

ミュラエの処遇をどうするべきか。フラウドレスは考えていた。思考を巡らせていた。

彼女は恩義を大切にする人間だ。フラウドレスが目を覚ました時、傍に居てくれたのはセラヌーン姉妹。そして、目を覚ます前からずっと、気にかけてくれていたのもこの二人。

ラキュエイヌだから⋯。

そんな理由だけで、彼女たちはフラウドレスを守ってくれた。それだから、本事案は非常に苦悩させるものとして、処理しなければならない。

安易に方をつけてはならないのだ。

だが、時間が無い。

刻一刻と、悪魔の進行は留まる所を知らない。幸運な事で、教皇の能力は恒久的な問題なのかは現段階では特定出来兼ねるが、ウプサラの壁との繋がりが遮断された。

常にエネルギー供給を施さない限り、ウプサラの壁は自然消滅する事も判った。そうとなれば、最悪のエンドまでの時間は充分に確保がされ、原世界戮世界連合軍にも勝機⋯とまではいかないものの、逃げ延びるチャンスはある。


⋯⋯⋯⋯

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯それなのに。

ヘリオローザは呆気なく、なんの力も込めず、ストン⋯と手刀を繰り出す。しかもそこにはヘリオローザとしてのアビリティスキルなんぞ、一切含有されていない。完全無欠のヘリオローザ単体として物理攻撃であったのだ。

ミュラエが当該気絶攻撃に、反応出来なかったのは単にヘリオローザの行動が素早かったから。


⋯⋯⋯⋯⋯私は、そう、思いたい。

「ヘリオローザ⋯⋯⋯」

「なに?サンファイアとアスタリスがどうなってもいいの?今聴こえてんだよ?二人にも!『俺らの命よりもさっき会った女の心配すんのかあ』ってなってるよ!」

「ヘリオローザ⋯あなたって人は⋯本当に⋯⋯⋯」

掛ける言葉が見つからなかった。

絶対に、私は間違っている。これを許してはいけない。彼女は大罪を犯したのだ。

それなのに、私は⋯私からは⋯何も、大した事を言えず⋯⋯まるで共謀者のような構図が完成してしまう。

違う⋯これは、私の望んでいた結末じゃない。

みんなで、ここから出るのが当たり前だ。こんなのイレギュラーな出来事。たった一人が、量質を超えた存在を宿しているだけで、危険地帯になる場所へ残置しなければならなくなるなど、思っているはずも無かった。

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