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[#133-樋嘴者と血戦者【3】]


「なんで俺がこんな事やってんだよ⋯⋯あのクソガキの使いとはな⋯⋯俺は教信者じゃねぇんだぞ⋯⋯」


カナン城を階下するゲルマニカ。カナン城城砦広場では戦いが繰り広げられている中、剣戟軍テルモピュライと異端審問執行官、それに教皇がアトリビュート奴隷に流し込んだ天使化素粒子で大天使執政官アークエンジェルとなった者たち。

尖兵は500を超える。奴隷帝国都市ガウフォンにて行われていた乳蜜祭は中止となり、街周辺は厳戒態勢となった。本大陸以外からも応援部隊が遂に到着。


「ゲルマニカ太子」

「なんだ」

カナン城一階へと到着したゲルマニカ。階下手段は、天根集合知ノウア・ブルームによる“水中遊泳対応流線形態”を使用。鋼鉄・コンクリート等、あらゆる材質を完全無効化し、透き通す。更に流線形態という言葉の通り、人体に変化を与え、伸縮を可能とする。

一階へと降り立ったと共に、ゲルマニカは瞬時に形態変化。元の人間の姿を見せた。一階には、戦闘準備を控えている剣戟軍テルモピュライと異端審問執行官、奴隷アトリビュートがいる。

「ウプサラの壁が崩壊寸前です。黒色粒子と白色粒子にの脈動にレッドアラートが発生中」

ゲルマニカにウプサラの壁の現状を伝える。

「教皇が補強しない理由が判るか?」

「いえ⋯⋯分かりません」

「それが全てだ」

「ンオッ!⋯⋯⋯ブォ⋯⋯」


───────

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

───────


一階に居る全ての尖兵がゲルマニカの取った行動を見ていた。ゲルマニカは一人の剣戟軍兵士を殺した。それも全くの攻撃方法が視認出来ずに。本当に手を加えたのか⋯ただ単に超高速で加えたのか⋯⋯。

殺害の手段はどうあれ、ゲルマニカの前には人間の血飛沫が上げられた。胴体の胸部下部分。本箇所に突っ張り棒が入る程度の風穴が開かれ、一瞬で人が死んだ。

穴からは大量の血飛沫と共に、内臓の肉片が露出した。ちょうどその部分は、膵臓と肝臓が配置されている箇所。

使用武器は不明。尖兵の後ろから突かれた武器によって、風穴が開かれ、内臓が外部へ押し出された⋯という形。なんともグロテスクで見るに堪えない光景。

奴隷アトリビュートは我を見失っている状態。教皇からの催眠術に酷似したサイコパワーを掛けられているので、感情なんてものは存在しない。

だから、反応は皆無。

しかし、人としての理解・思考を健在させている剣戟軍テルモピュライと異端審問執行官の面々は⋯⋯⋯シルウィア皇室の力を今ここで改めて思い知ったようなものである。


「ゲルマニカ太子⋯」

「掃除はしておけ。十分後、腐臭がエントランスに漂っていれば、お前を殺す」

「直ちに⋯」

尖兵が清掃一式を纏った奴隷を招集する。大天使執政官アークエンジェルとなった奴隷には、頭上に光輪が生成されている。普通、光輪はその名のごとく、光沢感のある光によって生み出されている為、回転が継続される度に光の輝きが持続力を促進させる。

だが大天使執政官アークエンジェルの場合、人工的な光輪が頭上に出現。よって光の輝きと解釈出来るような光沢感は存在しない。マット調な作り。



「ゲルマニカ太子」

「もう到着していたのか?それとも早く来過ぎて暇で暇で仕方無かったか?」

ゲルマニカの前に現れたのは、大陸政府直轄部隊七唇律聖教と、テクフル諸侯の面々。ブラーフィ大陸にて繰り広げられている争いの為、ラティナパルルガ大陸、ユレイノルド大陸、トゥーラティ大陸から参上した異能者たちだ。

そのイカれた面々が集う中で、最初に口火を切ったのは、セリューディア・アイツリー。皆が戦闘服として七唇律聖教は、修道服を戦闘様相としており、テクフル諸侯は、赤のコートジャケットを身に纏っている。


「俺はここまでの人物を集める気では無かったが?」

「失礼、ゲルマニカ太子の命ではございません」

「国王か⋯戮世界テクフルはいつから“国”と呼ばれるようになった、戯け共が」

「エレティアナ総統府家系が“魔女座零年戦争ゲールゼロ・アポカリプス”時に、勝利を収めてからだと?」

「口に気をつけるんだな、シャープール・バルプロス。シルウィア皇室への反逆は両腕断刀では済まない」

「貴方がたは、いつまであの幼帝に力を尽くすのですか?」

プレミュス・エレティアナ。

ユレイノルド大陸南方区域“メージャングリーンサイト”を統べる女公爵。“シキサイシア奴隷解放攻防戦”と称された、アトリビュート及び原世界召喚者によって引き起こされた争いで、各大陸から招集された有力戦士混成軍団のリーダーだ。

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