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[#133-樋嘴者と血戦者【1】]

[#133-樋嘴者と血戦者]



カナン城 最上階皇室 地上173メートル───。



「⋯それで、教皇は⋯⋯ここで⋯⋯アウト!」

「ああ!お姉様つよい!

「えっへーん、どんなもんだい!って感じですね」

「ソーゴももっとつおくなりたい!」

「剣戟軍の仕事が減っているのに、どうして気にしないの?」彼女は眉をひそめて言った。

「そうじゃなくて……お姉様、ソーゴがこのままで本当にいいの?」彼は真剣な眼差しで問いかけた。


夕暮れの城壁の上、二人は静かに向き合った。彼女は強く、自立した女性だったが、彼の言葉には心が揺れた。

「ソーゴは変わらなければならない。私たちの未来のために。」彼女は決意を込めて言った。


彼はその言葉に少し微笑み、そっと彼女の手を握った。

「お姉様がいるなら、どんな困難も乗り越えられる。」


二人の絆は、剣よりも強く、深く結ばれていった。

「ええ、教皇は現状維持で大丈夫です。他への心配も不必要です」

「ふーん⋯⋯まぁ、、なったらいいンけど⋯⋯じゃあもっとやろ!コレ!────なんだったけ?」

「アトリビュートです」

「ああ、そうだったそうだった⋯、、なんだってこの人たちの存在わすれちゃうんだろうなぁー」


「⋯⋯⋯⋯ンウドォエ⋯⋯ンブォ⋯⋯ッ⋯⋯。ヴァンハァンん⋯⋯」

「このにおい、お姉様、どうにかしてくれませんか?」

「蛆虫の匂いで非常におキツイですね⋯⋯他のになさいます?」

「ううん。ソーゴはこの人、すごいきにいってから変えんでもいいんだけどもん⋯⋯⋯においはきついけど⋯⋯くちゃい⋯⋯でもね、」

「も、、う、、、コ、、コロ、、コロ、シテ、、、く、、れ、、」

「そう!そう!コレコレコレ!コレなんだ!ソーゴよりもハタチ以上老いてるというのに、どうしてここまでなさけないことばをのべることができる?」

「⋯⋯⋯コロせ、、、、、、しに、、た、イ⋯⋯」

「蛆虫が口の中にでもいるのか、戯けが」

「お姉様、そんなやばんなこと言っちゃいけないよ」

「失礼を。⋯⋯もう変えましょうか、まだまだ奴隷は沢山います」

「うーーーーーん⋯まあそだね。そうしよムカ、よし、他のひと、奴隷つれてきてー」


大陸政府直属の高級部隊・異端審問執行官が四人皇室へ入室する。

「失せろ。後は俺がやる」

「失礼しました」

異端審問執行官の入室を拒否したゲルマニカ。


「お兄様⋯いつの間に⋯⋯⋯」

「教皇はもっと警戒心を持った方がいい。じゃなきゃ、痛い目を見ることになりますよ」

「その必要は無い。シルウィア皇室が教皇を守護すればいい事だ」

「お前はそんなんだから、樋嘴者としての異能を体現するのに、遅延が生じるのだ。いついかなる時も、自身の身体に宿される意識を表出せねばなるまい。意識表示だけで終わって、後々にシルウィアの名を穢すのは、貴様だ。レアネス」

「長々しい文体の連なりだったから、中盤から聞いてなかった。悪いけどもう一回最初っから言ってもらえるかしら、ゲルマニカ」


レアネスとゲルマニカが牽制し合う。攻撃意思表示を取ったが、場所が場所なのでアビリティスキルの外部放出は行わない。


「ここではやめてもらえるー?⋯ほら、奴隷ちゃんが泣いてるよ」

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」

先程まで、教皇が玩具として利用していた奴隷は二十代後半の男。肌は白く、男としての威厳たる体毛も濃くない。顔も整った形であり通常の人間種なら、社会的成功を収めていたに違いない。いやもしかしたら、ここに連行される前まで、全てにおいて成功していたのかもしれない。

地位も、名誉も、金も、女も。

だが、全部失われた。

理由は、SSC遺伝子。アトリビュートだからである。


剣戟軍テルモピュライと七唇律聖教が四大陸を警備している中、アトリビュート捕獲も作戦遂行項目として、常に頭の中にインプット。

これまでにアトリビュートを捕獲した数は、二百を優に超える。


奴隷として連行されたアトリビュートが辿る道は主に四つ。


【一つ:奴隷商】

奴隷として高級貴族たちに売られる。テクフル諸侯、七唇律聖教、それに準ずる大陸政府機関の高位貴族の従者或いは、侍女として仕える。アトリビュートが奴隷⋯という事もあり、蛮行が執行されるパターンも充分にある。虐殺王の血を受け継ぐ存在だから。奴隷労働。人間はこの世の中で最も万能な私兵として成り立つものである


【二つ:奴隷行進】

大陸政府機関が企画運営するイベントで、手伝いをする。主には、大荷物の積載荷重として利用。奴隷労働。


【三つ:シルウィア皇室】

一つ目の奴隷商と同等の内容ではあるが、シルウィア皇室はまた別の扱い話。七唇律聖教最高位“シルウィア皇室”にて従事する事になった奴隷に待つのは、悪夢のみ。日々非道な蛮行を繰り返され、暴行により死んだ者もいる。


【四つ:シキサイシア献上品】

乳蜜祭にて開催される“シキサイシア”。そのメインイベントである“献上の儀”。それがシキサイシアである。かつて戮世界テクフルは原世界からのシェアードフィールズ現象“汚染物質蔓延”により、混沌が続いていた。今でもその悪影響が完全停止した訳じゃないが、大陸神グランド・ベリートへの捧げものとして、生贄を差し出した。それが超越者アトリビュート。アトリビュートを生贄に差し出す事で、シェアードフィールズ現象の悪波長共鳴は極端に激減。だが生贄は等間隔で継続していかねば、効果は持続しない。だから七唇律聖教は、ワンシーズン毎に十数以上の超越者捜索を遂行する。超越者捜索にて七唇律聖教は天根集合知ノウア・ブルームを行使する事が大陸政府より許可されているので、戦闘事態になる事はしばしば。

発見された超越者は当然、抵抗してくるので七唇律聖教はその度に最大照射を誇る天根集合知ノウア・ブルーム指数が約束される。

その戦闘事態に、平民が巻き込まれても声を上げる事は出来ない。大陸政府は搜索行為に関連する七唇律聖教と剣戟軍テルモピュライは治外法権と看做しているからだ。

ミュラエとウェルニを含む七唇律聖教シスターズと教信者が、紛い物の被害にあってしまった偽りの儀式、“旧式ヒュリルディスペンサー”は、シキサイシアの手法を取り入れた形だ。“暴喰”と呼ばれる魔女システムは、一端の傑物ではあるが。


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