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[#131-脈劇のラーベザイデ 〜シンギュラリティポイント減衰活動報告〜【3】]


ミュラエがフラウドレスの動きを止めにかかる。ウプサラの壁へ掌を当てようとしていた時の事だ。彼女の前に城塞のように聳えるウプサラの壁。その壁を形成する構造物質には、可視状態にある大量の黒色粒子と白色粒子の群体があった。

それも、フラウドレスの掌接触面に相当する面には、超多量の黒色粒子と白色粒子。周辺の壁へと視線を向けるが、二つの物質は大した蠢きを見せてはいない。

フラウドレスの掌接触面だけは異常な稼動性を見せている。餌を与えられた鯉のように、ウプサラの壁から物理的な意味での浮き彫りを果たしてしまうかのごとく、黒と白の暴走が止まらない。


『ハヤク、ハヤク、触レロ!触レロ!ハヤク!ハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤクハヤク触レロ!』


フラウドレスの接触を受け入れる気は満々。次第に各方面から黒と白の暴走列車が到着する。“終着駅”として設定されたラキュエイヌ一族の末裔が、接触を果たそうとする中で、ミュラエは動きを停止させようと試みた。そこに力は加えられていない。

何故なら勝てようはずの無い者だから。

フラウドレスへの抵抗は、黒色粒子と白色粒子から種生命の存続を可能な限り削ぎに行く、“憐れな思考”に対しての行為だ。


だが、フラウドレスはミュラエからの抵抗を拒絶する。


「優しいのね。きっとサンファイアはあなたを好いているわ」

「⋯⋯⋯フラウドレス」「ラキュエイヌ⋯⋯⋯⋯」


ウプサラの壁に掌が接触。周辺には、超多量の二色物質。三人の近域外に相当するウプサラの壁から、黒色粒子と白色粒子が損失・移動した事により、色素に変化が生じている。脆弱化傾向の表れである変色現象は、セラヌーン姉妹に期待と不安を募らせる。

教皇ソディウス・ド・ゴメインドのウプサラ魔法が弱まる⋯という事は、再度の魔力追加を約束する。そうなると本行為は繰り返さなければならない。

フラウドレスにその体力が完備されているのか判断に困るセラヌーン姉妹。


「教皇が修復作業にかかる。これ以上、力を加えても意味が⋯⋯」

ミュラエの提言。それを受け付けようともしないフラウドレス。彼女の冷たい無反応な反応から触発されたのか、ウプサラの壁を構成する黒色粒子と白色粒子の蠢きにとある変化が訪れる。


行動の激化が始まった。壁から滲み出てくる粒子も存在する事態だ。いや、寧ろそれを目的にしているのかもしれない。

フラウドレスの面前には黒色粒子と白色粒子。交通渋滞でも起こしているような状態であった。フラウドレスに近付こうと、努力を試みる後方・遠方に居た粒子は中々彼女の元へ辿り着けない。じゃあそのフラウドレスの掌では無く、身体自体に接触してしまえばいい⋯⋯。


そう考えに至った粒子は、壁からの退散を開始。ウプサラ壁は徐々に脆弱化の一途を遂げていく。だって、それを作っていた存在が居なくなるから。

物質はウプサラの壁から退散すると、戮世界の重力・磁力・自然摂理力を環境適応の流れで吸入。

“ラーベザイデ”として進化を遂げた。


ウプサラソルシエール、ウプサラソルシエール不完全中間統合形態 プロト・アミレイ。それに準ずる事のない、ウプサラソルシエール幼生体。

通常の鴉と体長はほぼほぼ同等ではあるが、姿形は鴉とカイコガの融合そのもの。黒と白の混色度は、個体によって異なる。羽根模様も同様で、ダルメシアンの斑点模様が流線のような描きを果たしていた。

黒のキャンパス、白のキャンパス。黒色粒子と白色粒子のゲノム指数の優劣は、キャンパスカラーで特定可能。その上に描写される、流線は個体それぞれ。


ラーベザイデへの進化事象。フラウドレスは一切気にする様子も無く、彼等の干渉を受け入れる。

二人がラーベザイデへの注意を引いていると、掌付近では既に粒子とフラウドレスの接触が始まっていた。

するとその接触面は融解していき、穴が開いていく。穴の出来上がった箇所からは、産まれたばかりの赤子が泣き喚く声が聞こえて来た。穴の向こうから聞こえているのか、穴付近⋯フラウドレスの元から発音現象が起こっているのか⋯その判断がつかない程、不可解な反響音であった。


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