[#131-脈劇のラーベザイデ 〜シンギュラリティポイント減衰活動報告〜【1】]
[#131-脈劇のラーベザイデ 〜シンギュラリティポイント減衰活動報告〜]
「⋯く⋯⋯⋯クソ⋯⋯クソ⋯⋯クソ⋯⋯クソクソクソクソ!!」
『ウェルニ』
「私は⋯⋯⋯!!私は⋯⋯⋯!!クソ!!⋯⋯⋯クソ!!!」
『ウェルニ、貴女だけがそう苦しむことは無い』
「私がいけないの⋯⋯私が身勝手な選択をしてるから⋯⋯⋯⋯⋯」
セラヌーン姉妹で取り残されたカナン城周辺。再三に渡って繰り広げられたセブンス二人とヘリオローザによる盈虚ユメクイ戦。被害は甚大なもの⋯と思われていたが、その全てをウプサラの壁が防御。
一切の被害が奴隷帝国都市ガウフォンへ、渡ることは無かった。しかしウプサラの壁にダメージ量が無かったか⋯?と問われたら、そうでも無い。
事象としてウプサラの壁は、一度ではなく二度三度と、亀裂を生じさせる事態にまで発展している。
緊急オペとして発生元である教皇ソディウス・ド・ゴメインドが、カナン城最上階に設置されている皇室から、周辺戦域のウプサラの壁を増幅。
その際、セラヌーン姉妹がとある悲劇に見舞われてしまう。
ウプサラの壁が多層で生成された為か、複数箇所に小規模なウプサラの虚想空間が出現。
これは、暴喰の魔女の力を持つ者が発現可能なウプサラによる対象掌握兵器。
神組織肉解の儀式“ヒュリルディスペンサー”にて、セラヌーン両名が、七唇律聖教に仕組まれた罠としても登場しているものだ。
数多発生したウプサラの虚想空間が、互い互いの力を誘発させ、増殖。その度に、ウプサラは力を高めていき、響き合いの元、空間が裂傷していくほどのエネルギーとして内包。
それがセラヌーン以外のカナン城周辺戦闘領域に参戦している面々へ知られていないのは、新生ウプサラの壁が新たな“隔て”を生成していたから。
その“新生ウプサラの壁”も、虚想空間生成への誘発材料としては充分なもの。
セラヌーン姉妹は虚想空間の発生により、更なる世界の分断に遭遇してしまった。
そんな中で、ミュラエは虚想空間からの偶発的な過負荷を受け、体力の損耗が激しい事態に。そして⋯⋯⋯セラヌーン姉妹以外にも、一人だけ、生死の確認が不十分な存在として守護している者がいる。
「⋯⋯⋯⋯⋯⋯ラキュエイヌの人」
目蓋は閉じたまま。だが血色は未だに生きている人間のように、しっかりと整っていた。
「生きている⋯⋯⋯ラキュエイヌは生きてる」
ウェルニは信じた。彼女の強さを信じた。
「───────、、、、──あ⋯⋯⋯」
瀕死の末、ミュラエは何とかレピドゥスからの暴喰で隔離された空間へと緊急退行。その場は奇しくも、自分たちが現在恨みの眼差しを向けざる得ない“虚想空間”。
教皇ソディウス・ド・ゴメインドによるウプサラの虚想空間。
ウェルニ兼レピドゥスによるウプサラの虚想空間。
一種のティーガーデンアビリティと言っても、発言元が異なれば全くの同種性は皆無。
「お姉ちゃん!!」
レピドゥスの暴喰で神秘のヴェールに包み込まれたミュラエは、半身不随状態であるが、危機的状況は乗り越えた。“暴喰の魔女”による“暴喰”は、緊急脱出装置としての効果も得られる。その際に、暴喰対象の肉体を敢えて“暴喰”し、他の肉体とコネクションさせる。
つまりは、かつてレピドゥスが本来の所業である“暴喰”を実行した結果の肉体と、現在のミュラエを構成する肉体⋯二種類の生命を培う肉体をドッキングさせたのだ。




