表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
201/227

[#130-哭刻の枷主・ヴェルミスラーヴェト【4】]


虚空。

虚無。

名も無き摂理に抗わず、不動の地位のままに、時空を、虚構と現実を、プラスとマイナスを、調律・調和していく。


幻夢郷ドリームランドに地平線の概念は存在しない。地平線と思ってみていた“果て”は、擬装スィアーチュ。その場に所在を置いて、“果て”を視認出来る者など存在しないのだ。


次元裂溝ゲートが発生した訳。

「フラウドレスさん、行っちゃったね」

「⋯⋯⋯⋯⋯これで、良かったのか⋯⋯⋯」

「フラウドレスさんは、原世界の住人だ。ここにいちゃ、人体への過負荷は急速して、身体が溶融しちゃう」

「盈虚ユメクイの炉心が蠢く中、次元裂溝ゲートは開かれた⋯これもまた、多次元生物のお陰だ」

「バルディラス・エリュテイアは?」

「“黄昏の残光”が、ラヴら幻夢人の望みなど叶えるものか⋯」

「でも、オービタルアサルト=ラビウムは、原世界の使者と一緒に居た。こちらに注力するなんて余裕、無いんじゃないかな⋯それに⋯この次元裂溝ゲート⋯⋯⋯血みたいな色してる。さっき、フラウドレスが第14総局を殺した時に流させた、血、みたい」


血液の旋回。平板化された血液が縦方向となり、歯車が回るように作動している。血液は“縁側”。その内側も黒い空白。旋回する血液が、等間隔で内側へ流れ込む。流れ込んだ瞬間、中心地から元空間にて発されている“声”、“匂い”、“色”が齎された。


“色”の齎しが最も、視覚的に言えば分かり易いものと言えるだろう。“声”も“匂い”も、判断が難しい⋯と言うか、そもそも知らない生き物から発出されているものなので、“感動”が無いのだ。


「見たことの無い次元裂溝ゲートだよ────」

「だがこれしか今は無い。元空間へ転移出来る唯一の方法だ」

「フラウドレスさん⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」


二人、次元裂溝ゲートを見つめる。その中心地では、フラウドレスが突入した唯一の形跡である、黒薔薇が滞空していた。時間が経つにつれ、黒薔薇は次元裂溝ゲートから剥がされていき、二人の元へ、ヒラヒラと空を舞いながら落下。

落下軌道に干渉した空気は、死んでいった。生物が命を絶やさず生き続けるために必要不可欠な“空気”を、黒薔薇は否定したのだ。

地上への接触。外気への批判を逆撫でするかのように、地面への悪影響は一向に表れない。

一度は躊躇ったが、パシメリアは黒薔薇へ右手を差し出そうと試みる。

黒薔薇を拾い上げた。

他者が、ルケニアの残り香の象徴的なオブジェクトであるモノを。


「─────、───────────..............───.......────......」

「行ったね。アークのキーマン。私と同じ、ディストピアへ」

「故郷じゃない。彼女は再び、“L'Originel”へと向かった」

「へぇー、戮世界かー。」

「─────.......──────..───...........───」

「オーパーツへの接触、許していいの?」

「パシメリアが望んだ事だ。彼女へ、好意を抱いたからな」

「将来は第7総局で彼女のマリオネット・ワーカーでも?」

「パシメリアが嘶夢驅に入る頃には、きっと新たなシナリオが第7総局によって書き紡がれている筈だ。第13総局で、フラウドレスを勝手に役者登録してるかもしれない」

「ンハハ、それはおもしろいね、これからが楽しみだよ。それじゃ。⋯⋯⋯あ、これもうじき閉じるから早目に退散しなねー」


女が消える。

数多の楽譜が開かれるような空間転移エフェクトを発現しながら、消失した。


「シラユリの巫女、シジュカ・タマズサ。同郷の種生命⋯か」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ