大学へ 2枚目
この街に住むのには、ある一つの条件を満たさなければならない。
『超能力を使用した研究開発や文化的価値を生み出し、国に還元すること』
ただ、この一点のみである。この街の住人は全員何かしらの能力を有し、シェアハウスの管理人白雪さんをはじめ、店の店員、タクシーの運転手、学校の先生、小学生でさえも、それぞれの役についていて、そこでしかできない能力を発揮し、日々研究を重ねているのである。
この街に住むのには、学力もさることながら、精神的な安定性も求められる。それなのに成果が出せなければ、この街に滞在し続けることはできない。即、追放である。
厳しい環境だ。
この条件に耐えられなければ、滞在する資格がないのだ。だから、この街の住人は、普通を装っているが、どことなく、みな遠くを見ている。俺が倒れても平然としている。葵さんもトクサも白雪さんも心配をしてくれたが、なんだか薄い感じがした。それがいいとか悪いとかではなく、こういった不思議なことが起こるのは日常茶飯事で、多分、彼らはこの街に初めて訪れた俺に対しての精一杯のフォローをしてくれただけなのだと、あとからふと思った。そういう俺も、彼らと同じように、どこか遠くを眺めているような感じなのだが。
そういうことを頭の片隅におきつつ、トクサとたわいもない話をしていると、大学の正門の前までたどり着いた。なだらかだったとはいえ、長い坂であった。
「それじゃ、また家で」
正門でトクサと分かれ、俺はこれからお世話になる研究室へと向かった。




