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ヴァンゲンハイム家の魔術師  作者:
第15章 最後の審判
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15-2

 


 夏が過ぎる頃、今年は例年より早めに模擬試験が行われた。


 今年はレナルドが受験を控えていることもあり皆での旅行の話は無くなった。サミュエル様にも夏前から新しい恋人が出来、日々睦まじく過ごされているらしくレナルドが自身の師匠がやっと幸せを掴んでくれたことを嬉しそうに私達に語ってくれた。



 模擬試験の結果発表の張り出しを見ると、私は相変わらず底辺をさ迷う結果となり、ララも私とあまり代わり映えはしなかったか、レナルドはなんと上位に食い込んでいた。


「凄いじゃないレナルド!」

「流石、3人の中で唯一の魔術師候補!」


 私とララが誉めちぎるとレナルドは腰に手を当てふんぞり返りながらめ、少し頬を染めていた。


「フン。俺も師匠みたく一発で合格してみせるよ」

「じゃあ、早めにお祝いの靴下買わないとね」

「ピンクにする?スカイブルーにする?」

「両方いらん」


 この日は、勉強からほんの少し開放されたレナルドと3人で購買のお菓子を食べながら笑った。


 そのすぐ後で文書が流れ、公示がされた。


『鈴蘭』と呼ばれる反政府組織の首謀者が逮捕され、その人物が魔術庁で長年弟子会講師を勤めたグラーツさんであったとが判り、魔術庁はグラーツさんを懲戒解雇とし、警察庁で逮捕されたと。


 合わせて、『鈴蘭』に関与した人物として、各省庁の職員が細かく記載され、その全員が懲戒解雇となり、全省庁連名で大臣のサインが入った用紙が張り出された。


 中には見知った職員の名前もあった。


 これだけ多くの人が関与していたなんて。


 その後、警察庁が公開した逮捕者リストは民間人も含めかなりの人数であった。


 王都はこのかつてない醜聞に揺れていた。各省庁への批判、王家への批判は高まり、王家は、魔術師や魔術を使用した者を公式に裁き、国家安定の為、新たに魔術裁判所を設置することを公表した。『鈴蘭』の一連の犯行は、この魔術裁判所で裁かれる最初の事件の案件となる。


 ほんの少し目を伏せて考えた。


 事件と逮捕者の公表、魔術裁判所の発表、おそらく全て時期を見計らって出されたものだ。多分アレクシス様が仕組んだものだろう。


 魔術裁判所の詳細が正式に発表され、張り出された公示には、大法廷の裁判官には、10年以上魔術師の経験を持つ司法試験合格者が裁判長となり、一般の裁判官2人、魔術師が2人の5人による裁判になることが記載されていて、なんと大法廷の裁判長にはアレクシス様の名前が書かれていた。


「アレクシス様って司法試験まで合格されていらっしゃるんですか?優秀すぎやしませんか」

「そもそもうちは勉強好きな一族なんだ。試験の為だけの勉強くらい、師匠には片手間でも出来るよ」

「私は全力出しても出来ませんが」



 ララはついにアルレット様に、弟子を辞める相談を切り出したと言う。アルレット様は黙って話を聞いてから優しくララの頭を撫でてくれ、どんな夢でも応援すると言って下さったそうだ。そして自身の実家の商社が抱える化粧品会社への就職を斡旋すると約束してくれたと。


 皆、少しずつ前に歩み始めていた。


 魔術庁に集い、日々顔を合わせていた大切な仲間達は未来に向けてそれぞれの方向を見始めていた。




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