14-1
目を開けるとカーテンの間から光が入り込み、酷く眩しかった。
「···············?」
頭が思い。体も重い。光が差し込んでいる、ということは今は朝か昼か?これはまだ夢か?
私は誰だっけ。
どうにも頭が回らない。とりあえずシャワーを浴びなくては。
てくてくと歩き慣れたヴァンゲンハイム邸のシャワー室に向かい、重い体を引きずり無理矢理シャワーを浴びた。
熱い湯に打たれながら、立っているのも億劫で、へたり込みながら体にソープをつける。
「私、ローザだっけ?いや違う······ローザの最期は観てたから·······エレオノーラ?」
座ったまま髪を洗って歯磨きも済ませ外に出た。
アレクシス様はどこかしら······
私の愛するあの人·······
愛する?誰を?アレクシス様を?私が?
アレクシス様が、私の好きな人·······?
────私、私は··········
自問自答しながら脱衣所でタオルで体を拭いていると、ふと自分の胸元に目が行った。
「ユニコーンの角·······」
長いチェーンの先にはアイスブルーの小さな石が嵌まった爪が、ユニコーンの角を掴んでいた。
アイスブルーは······彼の美しい髪の色·······
濡れた髪のまま隣のランドリー室によろめく体で、まとめてあった男性用の衣服を荒らして見つけた。
長い、白いワイシャツ。顔を擦り付けて大きく吸い込むと懐かしい彼の匂いがした。
「ハインリヒ様·······!!」
シャツに腕を通して自分の体ごと抱き締めた。ポロポロと涙が頬を伝い、その場で踞る。涙が止まらず、ひっくひっくと体を揺らし私は泣いた。
思い出した。私はティアナ────
私の好きな人は······私が恋した人は······
突然、バタバタと足音が聞こえ、ランドリー室のドアがバンと音を立てて開かれた。
「······!ティアナ·····!」
「·····っ········ハインリヒ様·······」
小さく声を出した瞬間、長い腕が私を引っ張り上げ、逞しく広い胸板が私を抱き止めた。
濡れたままの髪を掻き上げ、背中も頭もその大きな手で支えられると吸い込む匂いは紛れもなくハインリヒ様だけのもの。
「良かった······!席を立った間に居なくなっていたから·······ああ、良かった!やっと目が覚めたんだな·····!どれだけ心配したか」
「え?······シャワーに来ただけで······」
「お前、3日も寝ていたんだぞ?どんなに声をかけても、揺すっても全然起きなくて······っ······もうこのまま、目を開けないのかと·····!」
顔を私の肩に埋めた彼は力強くて、温かくて、シャツ越しに感じる熱が、鼓動が現実を教えてくれた。
「良かった······!体調はどうだ?取り敢えず水分を取らなくては······食事はとれるか?スープなら腹にいれられるか?」
「········私、寝てたんですか?·······3日も?何で·········」
「取り敢えず場所を移そう······ってお前、またシャツの下······胸······」
「え?あ、パンツは履いてますけど」
ハインリヒ様はあさっての方向を見な顔を真っ赤にして私を抱き抱えた。




