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ヴァンゲンハイム家の魔術師  作者:
第13章 贄の魔女 【3】
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13ー4 二代目『贄の魔女』ローザ 4

 


「犯罪対策ですか?」

「そうだ。ここ最近は、魔術を使うものの犯罪が急激に増えている」


 ニクラス様に付くようになって7年が経つ頃、王国の城の建設も昨年完了し、ニクラス様は王都に大きな結界魔法陣を張ることに成功した。


 ニクラス様は凄く頭が良くて、今までバラバラだった魔法使いや魔術師の管理をするため、魔術庁という国家機関を作らせ、魔法や魔術を扱う人間を国に登録義務を儲けた。


 次世代の魔術師を輩出するため師弟制度をつくり、庁舎内にも弟子の教育機関を儲け、国が予算を出してバックアップ出来るよう改革をいくつも行った。


 お陰で、魔法使いが絶滅寸前なこの国では魔術師が代わりを担い、国がどんどん栄えている。


 魔術に関する国王の許可がどんどん降りる背景には、ニクラス様の尽力もそうだが、国王への神のお告げがあったことも決め手だったようだ。


 そもそもこの国は、建国後5年は前王朝の魔法使い達との争いにより沢山の魔法使いが命を落としていた。


 5年目の最後の大戦の際、突然『白い神』と言われる存在が降り立ち、前王朝派の魔法使いを一瞬で消したらしい。嘘か信か、亡骸さえ残らなかったという伝説だ。


 そこからこの国の復興は奇跡的なスピードで行われ、魔術主導の体制はどんどん栄えていったのは、白い神のお告げが国王にあるからだと言われている。


 元々民衆から高い支持で王となった国王様の一族は、神の一族と噂され、他国からも一目置かれるようになったのだ。



 王都の強固な結界魔法陣の中には、最近魔術庁内部にだけ巨大な転移門が建設された。お陰で魔術師を王都に集めて、そこから地方に業務に向かわせることが出来るようになった。


 王都の守りは益々強固なものとなったが、代わりに王都内部での魔術による犯罪は増える一方だ。


「私は、逆に安全になりましたよ。王都にいると結界魔法陣のお陰で魔物を気にせず暮らせるようになりましたから」


「そうだな。ローザは田舎では大変な思いをしてたんだもんな。そもそも結界魔法陣の話も、国王が神のお告げで俺に設置の命を下したんだよ。今更ながら、国王の政治判断には頭が下がるよ」


「お告げをした、噂の白い神様は凄いですね。やっぱりニクラス様は高貴な血筋なんですよ。神の一族だもん」


 膝の上にすり寄る白猫を撫でながら私は言った。


「魔術師の犯罪を止める手立てか······」

「本物の魔術師だけじゃなく、魔術を齧っただけの人の犯罪も増えたんですよね」

「そうだな。魔法と違って、少しの魔力と教本の勉強だけで使えるようになるからな。師弟制度を利用せず覚えて魔術庁に届け出をしない者もいる。刑務所は今、犯罪者で溢れかえっている。出所してもまた、同じように魔術犯罪に手を染める。犯罪の規模はどんどん大きくなる。頭が痛いよ」

「······犯罪を抑止するために、犯罪を取り締まる何か象徴的な存在がいればいいのですが」

「象徴?」


 白猫を抱いたまま、夕陽が差し込む大きな窓の側にいってカーテンを閉めた。白猫は私の肩に乗り、赤い目を細めて私の頬をペロリと舐めた。


「『悪いことをすると魔物に食べられちゃよ』って小さい頃大人が子供に言い聞かせるでしょう?魔術師にそれをするんです。犯罪をすると、恐ろしい存在が来るよと脅す存在をつくるんです。ただ、脅す相手は子供じゃない。本気の魔術犯罪には本気で取り組まないと取り締まる側が痛い目を見ます」


「何か、案があるのか?」


「あるには有りますが······象徴を演じる者は傷つくかも知れません。それでも、犯罪者をなるべく殺さず、二度と魔術犯罪をさせず、王都中に存在を噂させ、民の平穏を守れる可能性はあります」


「ローザの案を、教えてくれ」


「やるなら、私が象徴を務めます。私は元々、沢山の人から嫌われているから、今更誰かに嫌われても痛くはないので」


「何を······するつもりだ?」


「あなたにも嫌われてしまうかも知れません。ニクラス様。私の秘密を明かす必要があるから」


「ローザ······?」


白猫は、私の肩に乗ったまま、じっとニクラス様を見つめていた。


「私が悪魔と友達だと言ったら、あなたは私を信じますか?」



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