第4範囲
「元帥が戻ってきた?」
「はい、今朝の便に乗っていたようですぐ家に帰ったそうです」
「まあアリエッタ嬢と話しがあったんだろうな」
「電話を掛けましたが電話もでられませんでしたね」
「そうか、もうそろそろ来る頃かもしれんな」
「こちらへですか?」
「あぁ近所だしすぐ来れるだろう」
「言ってた来たみたいですよ」
「やっぱりな、すぐ通せ」
「皇帝陛下!娘の我が儘を聞いていただきありがとうございます。」
「俺が決めた事だ、クロスボウで的に当てればなんでも1つ願いを聞こうと言ってしまった。」
「本当に娘でよかったので?おてんばですよ?力強いですよ?武術にも秀でていますし、各種武器の取り扱いが非常に上手です。」
「褒めているのか?」
「えぇこれと言っていい事がないといいますか・・・」
「そうか?元気はつらつでよさそうなアリエッタ嬢ではないか」
「陛下がそうおっしゃるのでしたらそうですな!元気ないい子です」
「だろう?私は問題ないと思っているよ、何しろ元帥と家族になれるのだから」
「なるほど・・・それはそうですな!ガッハッハッハ娘をよろしく頼みますぞ」
2か月後
「本日はご多用の中、私たちの披露宴にご列席いただきまして本当にありがとうございます。
先程、宮殿にて無事式を挙げ、晴れて夫婦となりました。
今まで二人を見守って下さった皆様には、感謝の気持ちでいっぱいです。
本日は日頃お世話になっている皆様をお招きし、豪華絢爛、宮廷料理長の料理の宴席を設けさせていただきました。
どうぞなごやかに、楽しいひと時をお過ごし頂ければ幸いです。
本日はよろしくお願いいたします。」
俺達二人の前にまた長い行列ができる、食事をとっている方からは、なんだこれ?うますぎる!など色々声が聞こえてくるので俺も食べたい、気になるではないか宮廷料理長の渾身の料理などそう食べれる物でもない。
酒もだしているがあまり酔いつぶれたりする者はおらずなごやかに進んでいる。
やっと列が途切れた、自分の席につく、うまそうな料理が並んでいる、薄っぺらい塩味がするジャガイモのような物が特に人気だ。俺の目の前にもある。
一口食べてみるとサクサクしかない。
サクサクなのだ。
これほど食感がサクサクなのは生まれて初めて食べた。
他にも鳥の丸焼きのような中にライスが詰まっているのも少し食べたがうまい!これほどうまいとは、宮廷料理長もなかなかやるではないか。
「ラッツ皇帝陛下!本日はおめでとうございます。」
「あぁ海軍長官だったか、海軍の編成はどうなっている?」
「現在10隻体制となりましたので航海訓練の真っただ中でございます」
「もう最新式の船を受け取ったのか?」
「後部にスクリューがあり重油で動く船ですね、これが最新式だと伺っております!」
「そうそれだ、速度も燃費も今までの物と比べ物にならないと聞いている。」
「訓練でもそれははっきりわかります。」
「大砲の訓練もしているか?」
「はい、訓練用砲弾は撃ちまくっております。標的艦が木っ端みじんになるほどに命中精度は高いです。」
「そうかそうか、頑張っているな、訓練が終わり次第海賊退治に向かってもらいたい、奴ら小さい島などをいくつも占領していてな、補給船が狙われたりしておる、一人残らず捕まえて下級奴隷にしてくれる。」
「わかりました!一人残らず捕まえて海の安全を守ります。」
「うむ、よろしく頼むぞ」
「皇帝陛下、本日のご結婚おめでとうござます。」
「あぁ元帥、そんな他人行儀な話かたじゃなくてもいいぞ、もう親族なんだからな」
「それはそうですな、ガッハッハッハ、ちょっと聞きましたが南部の森にある都市はエルフの都市の可能性があると?」
「そうだ、シロさんが手紙を書いてくれて精鋭奴隷10名に届けに行かせた。」
「そうですか、あの森魔獣がすごく強くてですな、兵士も大変だったようで、最近の若いのは訓練村を1年卒業の方を選びたがる者が多くてその分体力や魔物の狩り方が未熟のようですな。」
「ふむ、2年のプランも用意するか、銃士隊の早期増強の為に1年プランを作ったがやはり時間が足りなかったようだな」
「3年で卒業してきた者は使い物になりますな、何を頼んでもそつなくこなす優秀な者ばかりですな」
「そうかそうか、まあ士官になる者は3年で卒業した者だな」
「そうなるでしょうな、やはり魔物との戦闘経験をもっと積ませないと使い物になりませんな」
「使いに出した精鋭奴隷10名は名前の通り精鋭だ、魔物ごときに遅れはとらんはずだ、無事手紙も届けてくれるだろう」
「そういえば中央戦線はどうだ?兵士長でやっていけてるか?」
「そうですな、まあ及第点と言った所でしょうな、戦時中ですが、特例で将軍にあげてもよいぐらいですな」
「そうなると他にも将軍に上げねばなるまい、第3範囲攻略ももうすぐだ、それが終わってからにしよう」
「そうですな、その方が悪目立ちせずに済みますな」
「足の引っ張り合いは良くないからな、しかし元帥、第4範囲は広いぞ、しかもだんだん寒くなってくる、攻略が難しくなるだろうから準備しておけよ」
「研究所のほうに防弾防塵防刃保温機能付きのベストを注文しており、完成すればすぐ量産して送ってくれるそうですぞ」
「そうか、そんな物を頼んでいたんだな、それがあれば大分兵士の負担が減るしいい事だろうな」
「話が長くなりましたな、これで本日の所は失礼しますぞ、後ろもまた並び始めたようですし」
「うむ、元帥、また連絡する。」
その後も食べ物がなくなったからだろうか?アリエッタ姫にも挨拶しに来るし列が途切れることがなかった。
「あなた、私も北部前線に行ってみたいですわ」
「ほう、なぜ北部なのかね?第4範囲は寒くなって来て大変だぞ」
「北部はまだ国も沢山残っていて武功をあげてみたいですの、それに第3範囲までは蒸気機関車が走っているんでしょう?」
「多分まだ建設途中だが前線までは開通してるだろうな」
「でしたら私も参加してみたいわ」
「ふむ、護衛100名付きなら許そう」
「新型機関銃も持って行っていいかしら?」
「あぁいいとも、武器庫にある武器は何でも持って行っていいぞ」
「あら、ありがとうございます。」
披露宴も終わり、会場も静かになった。
アリエッタ姫も武功を上げたいといっていたがそんなにいい物だろうか?思い出作りなのかな?戦場が思い出になるかどうかはアリエッタ嬢次第か。
「中央の兵士長につないでくれ」
「はい、少々お待ちください。」
「お電話変わりました!」
「おう兵士長頑張ってるかね?」
「皇帝陛下!はい、以前お電話してからもう7か所国を落とし、快進撃を続けております。」
「機関銃は届いたか?」
「はい10丁届きましたので最前線に設置し使ってみた所、盾兵など紙屑同様の威力で一気になぎ倒してしまいました。」
「そうかそうか、そんなに威力があるか、今は狙って撃って砲身が熱くならないように調整しながら撃っております。」
「もう使い方も覚えたか」
「はい、平原での戦いは圧倒的に優勢なのですが、どうしても森の中とか丘があると機関銃は使い勝手が良くないですね。今も対陣しているのですが、相手は丘の向こう側に陣取っていて、火縄銃の射程距離に陣取っているので丘の上をまだ取れてないんですよ。」
「なるほど、それはそうかもな、だが丘さえとってしまえば一気に殲滅できるだろう?盾兵を前にだしてなんとか陣地を確保して強行せよ」
「わかりました。さっそく実行します。」
「あーそれと、南の森の都市の事だが、南の将軍に伝えておいてくれ、シロからの手紙を届けに行くように精鋭奴隷10名で行かせたと、後1週間ぐらいで到着すると思う。」
「わかりました。伝えておきます。」
1か月後
シロさんからの手紙が森の都市へ届いたようだ。
南の都市からの反応はまだない、精鋭奴隷10名は森の出入り口でキャンプを張っている、いつでも連絡が来てもいいように無線機もあるのですぐ連絡がつくはずだ。
元帥も中央軍へ戻った、戻る時に機関銃10丁も一緒に持って帰った、少ししか帝国島にいなかったが元帥的には戦場の方が体に合っているらしい。
第3範囲にも蒸気機関車のレールが引かれ現在南部を回っている最中だそうだ。
現在言語学校には第2範囲の住人が訪れていて定員いっぱいだ。訓練村も定員いっぱいで順番待ちになっている。
農機具も発展した。荒地でも機械で耕せばすぐに農地になるという魔法の力も使っているらしいが、最初は肥料なども一緒に混ぜ込んで耕しているらしい。もう人が耕すことが無くなったのはいい事だ。
農家の需要も増えたがまだ人気職で倍率は高い、第一範囲のほとんどは農地に変えてしまった。
農地も増え大規模化している、後は農機具の開発さえしてしまえばさらに効率はあがるはずだ。
バナナやマンゴーの品種改良も一段落終わり、かなり甘く美味しく日持ちする品種に改良された。
1年後には出荷されるようになるだろう。
農機具研究所でも作ろうか、もっと専門的に発展してほしい。
やはり作るしかないな研究所の負担も減るはずだ。
海賊退治用に用意した海軍だが小規模の海賊は退治してしまったらしく、今大型の海賊船団殲滅攻撃を行っているとの事だ。
海賊船には大砲など用意されてないだろうし近接戦闘のみなんじゃないのか?持っていてもロングボウぐらいだ、一方的に遠距離から攻撃できる海軍は圧倒的優位だろう。
3か月後
「お電話です」
「うむ、繋いでくれ」
「皇帝陛下、お待たせしました。中央軍第3範囲すべての都市と城塞都市の制圧完了しました。」
「元帥が戻ってから早かったな」
「私が戻った時にはほぼ制圧は完了しており、城塞都市を残すだけになっておりました。」
「そうか、兵士長は優秀だったんだな」
「はい、優秀でした。これで第1から第3範囲までで70か国落としたんで約半分ですな」
「この大陸は小国に分かれて小競り合いをずっとしていたんだろう、あまり集団戦闘に長けていない感じがする。」
「中央部は大国がいくつもありましたが、盾の優秀さは実感しましたな、中央の国の中では一番いい盾を使っていたと思われます。」
「うむ、模倣するのは簡単だったが1から作るには頑張ったんだろうな、捕らえた王はいたか?」
「はい、都市を落とした時に籠城していたので捕らえるのは簡単でした、降参してくれればもっと楽なんですがな」
「第3範囲の敵の兵士数、住人人数はどのぐらいいた?」
「ざっと生きていて無事な者の数ですが兵士で870万人住人で3600万人ほどいました。」
「ふむ、第2範囲の開発も進めないといけないな、もちろんだが全員に奴隷印は刻印したんだよな?」
「もちろんです、兵士の中には奴隷印を刻印できる者が多数おりますので、奴隷印なしでは都市へ出入りが出来なくなっていますし、山岳地帯に避難したであろう者も巡回警備で多数捕らえております。」
「うむ、一旦将校は一度帝都に戻ってもらう必要がある、残る者の中から兵士長を将軍1名につき3名ずつ選出しておいてくれ、今まで戦っていた兵士長は全員帰還だ。」
「わかりました。伝達しておきます。わしは戻らんでもよかろう?」
「いやいや元帥にも戻ってきてもらって論功行賞に出てもらわんと困る」
「電話で参加す・・・・わかりました。戻りましょう。」
「そういえば元帥は北部軍に娘のアリエッタ嬢が参加してるのは知ってるか?」
「なんと!まあ北部でしたら安全でしょう。気候も落ち着いておりますし、若干寒いのが問題でしょうがわしが研究所に伝えた装備さえあれば問題はないでしょうな。」
「あぁあのベストだな、あれは難易度が高いそうだがもう試作品はいくつかできているらしい、現場に送って検証中みたいだぞ」
「ほう、早いもんですな、もう試作品を作ってきているとは、また思いついたものを作ってもらうとしましょうかの」
「そういえばエルフの森に配置した精鋭奴隷部隊10名はどうなった?何か進捗はないのか?」
「あー忘れておりました。エルフの都市に送った手紙の返事が精鋭奴隷部隊に渡されそれをもって帝都に帰還中との事です。」
「コンタクトが取れたか!よくやった、元帥、大元帥になるのはどうかな?」
「そんな階級ありましたかな?はて最近忘れっぽくて困るわい」
「今作ったんだ、そんな階級はないが元帥ならもう十分だろう」
「そうですか、まぁ今回の第3範囲までの論功行賞で元帥も増えますからな統括する立場が必要でしょうな、わしもそんな生い先長くないわけでなっても問題ないとの事ですかな」
「それはそうだが、元帥には帝都から現場指揮をしてほしくてな、電話という手段があるのだから、問題なかろう、現場の指揮官も育たんし育成の道に進むという事だ。」
「そう言われれば悪くないですな、わかりました。それでは帰還準備に入りますので、また帝都で」
「気を付けて帰って来てくれ、帰りは高速船だぞ、今までの3倍の速度で帰って来れるはずだ」
2か月後
「さてみんな集まったか、論功行賞を行う」
「まず北部軍将軍は元帥に昇格だ、兵士長2名は将軍に昇格1名はそのまま兵士長でいてもらう、次に中央軍だが元帥を大元帥に昇格、兵士長3名を将軍に昇格だ、南部軍は将軍を元帥に昇格、兵士長1名を将軍に昇格、兵士長2名はそのまま兵士長のままだ、異論は認めん。」
「「「「ありがとうございます」」」」
「それによって給金や補佐も今後増えてくるだろう、賢く使うように、大元帥には帝都へ残ってもらい残りの将達で第6範囲まで攻めてもらう。これがこの範囲だ、北部軍はこのまま前進し少し範囲は広くなるが制圧してほしい。中央軍は山脈と山脈の間広大なエリアだがここを担当してもらう。南部軍は第4範囲ではエルフの森でエルフの集落が点在しているとの情報だ、そこで第5範囲から担当してもらう、それまでは第3範囲の開拓と建築を頼みたい、以上だ何か意見はあるか?」
「北部軍元帥です、このままの人員だけだと制圧は難しくなると思いますが増員はされますでしょうか?」
「もちろんだ、各軍100万人規模で増員する予定だ、収納魔法持ちも1万人は参加させる、それだけ準備はしてきた。また新型の防弾防塵防刃保温ベストだが、全員に配れる予定だ、南部軍は最後になる、最優先は北部軍だ、一番最初に寒くなるからな」
「南部軍元帥です、新型機関銃の配備数はどの程度でしょうか?」
「各軍2万丁を予定している、この先の第4範囲はもっとも人口の多い地域だ、敵兵の数も増えるだろう、各々十分注意して進軍するように、それと隠し鉱山や秘密鉱山など山岳地帯が各地に点在している一部豪族が長年支配してきた鉱山などもあるだろう、それらを1つ残らず接収せよ、帝国の財産だ、彼らの思うがままにさせるわけにはいかん、南部の石油産出地域は認められた人間しか出入りできないように通達する、また軍による周知も徹底せよ、汚職をして下級奴隷になりたくなければしっかり警備を厳重に行うように、以上だ」
「他に意見がある者はおらんか?」
「中央軍大元帥じゃ、帝都の警備にあたっていた兵士長の階級をあげてやってもよいのではないかな?」
「ふむ、帝都島で犯罪はほぼ起こっておらん、酔っ払いが騒ぐ程度だ、それも警備を厳しくしている兵士長のおかげか、よし帝都兵士長を帝都警備隊長に任ずる。兵士長より上の役職だ。」
「中央軍将軍です、新型の船は今どこまで配備が進んでいるんでしょうか?」
「うむ、帰ってくるときに乗ったであろう、あの船だが、今は半数程度だが今後2年で全体と置き換わる、今古くなっていっている蒸気船は貨物船として使用する予定だ、引退した船も貨物船へと改造が始まっている。第一範囲に良好な港が複数見つかった、その場所に10か所の大型ドックを建設中だ、今後ますます造船は必要になってくるだろう、それを見越したものだ。」
「南部軍将軍です、エルフの都市との交流はどうなっているのでしょうか?」
「今シロさんが直接交渉に出向いてくれている、一応交渉内容はまだ秘密だが森を迂回し海で一気に第5範囲に出る予定だ、森を通過するのは将兵の負担が大きくなる為だ。それに建設作業員が足りん、南部軍には第5範囲に入るまで開拓と建設だ。」
「そうですね、森の中の手前付近を彷徨いましたが、魔物の強さが3000m級の頂上にいるかの如くでしたので森を迂回には賛成ですね」
「それと第一範囲にある言語学校と訓練村だけでは足りないと判断した為、第3範囲北部により大きな言語学校都市と訓練都市を建設する予定人数は両方500万人だ以上だ。他になければ終了する。」
「では各々、各担当地域に戻り、第4範囲攻撃開始まで準備しておくように。」




