第6範囲
4日たった頃遠距離から包囲していた部隊から連絡が入る。
「アリエッタ姫、西上空から大型機です、あれが爆撃機でしょうか?」
「大きいわね、輸送機も大きかったけど、爆撃機は3倍?4倍ぐらいあるかしら?」
「もうすぐきますよ、都市に向かってます」
「そうよ、都市を狙うみたいだからね」
「そうですか、何機いるんでしょうか?」
「見える限りだと20機はいるわね」
「腹付近が開きましたよ」
「あー怖いわ、いったい何が始まるのかしら」
「都市上空に入りました。」
「あらら、沢山おちましたわ、何かしら?」
「あれは爆弾です、沢山どころではないですよ」
「あれがすべて爆弾?あれが爆発するのかしら?」
「そうでしょう、ほら、爆発してるじゃないですか」
「恐ろしいわ、あんなに爆弾が・・・」
「数えて見た所一機500発ぐらいでしょうか?」
「あんな数を数えたのね、すごいわね」
「ざっくり見ただけなんで正確かどうかはわかりませんが」
「都市はどうなってるのかしら?」
「都市が光りだしました」
「何?いったい何が起こっているの?」
「都市が消えました!」
「見たらわかるわよあの巨大都市が消えたとかありえないんですけど」
「丸ごと移転したようです」
「都市が移転とか聞いたことないわよ」
「私も初めてこの目で見ました」
「陛下になんてお伝えすればいいのかしら・・・」
「爆撃機に乗ってる方が先に伝えてるでしょう」
「そうね、あまり気にしても仕方がないわね、だってもうないもの・・・」
「ラッツ皇帝陛下に繋いで頂戴」
「畏まりました。少々お待ちください」
「アリエッタ姫どうした?爆撃機は役にたったか?」
「それが爆弾を投下している最中に光って都市がなくなってしまいましたの」
「なに?どうなっている?」
「都市が移転してしまったようです」
「都市が移転・・・あり得ない話ではないようだな」
「何か情報をつかんでらっしゃるのかしら?」
「アリエッタ姫が捕まえたレーザーを撃つ魔法使いがいただろ」
「えぇ、もう帝都に送りましたわ」
「そいつが移転で逃げるから無意味だと言っていたんだ」
「そうなんですの、都市には人でぱんぱんになっていましたのよ」
「近くの都市の住人をすべて受け入れて移転したんだろうな」
「なるほど、それで無人の都市がいくつもあったんですわね」
「そうだろうな、爆撃される前に逃げようと思っていたが魔力充填が間に合ってなかったんだろうな」
「4日間相手から一切攻撃は無かったのですわ」
「魔力充填に力を注いでいたんだろう」
「よくわかりましたわ、いきなり移転したから驚いてしまって・・・」
「わからんでもない、近くに補給基地を作って一旦休暇を取れ」
「わかりましたわ。これで北部は第5範囲まで占領完了ですわ」
「よくやった、仮設でいいから飛行場をつくっておけよ、大型輸送機で帰還すればいい」
「わかりましたわ、場所は広いですから簡単ですわ」
3か月後
「各地の元帥に同時に繋いでくれ」
「畏まりました。少々お待ちください」
「今日は同時通話だ、皆と繋がっている発言に気をつけるように」
「それで第5範囲の話だが全箇所色々問題はあったが制圧ご苦労みんな大型輸送機を手配した、それに乗って帰還してくれ、帰ったら論功行賞がある、今将軍の者は兵士長を各3名ずつ選んでおくように、南部から中部への蒸気機関車の通路はすでに確保したか?南部元帥どうだ?」
「はっ!蒸気機関車のレールの敷設すでに完了しております。また中央部、南部の第6範囲への入口もTNT爆薬によって山脈を破壊しており、戦車の通り道も確保済みです。」
「そうか、わかった。北部の山脈は分厚すぎる為戦車は輸送できん、またエンジン車を空輸して運ぶように、以上だ」
1週間後
元帥と将軍達は帝都に戻ってきた。
この頃の帝都には電車が走り、エンジン車や自転車ですら電動化されていた。
「毎度戻ってくるたびに驚かされるな、今回の目玉は電車か?」
「自転車が電動化されてるのも面白い」
「なんだあれは?」
「飛行機か?浮かんでいるだけに見えるが」
「さてなんだろうな。」
「まもなく帝都宮殿前です」
「もうつくのか、前に戻ってきた時は30分ぐらいかかったと思うが」
「高速道路が整備されましたので、格段に速くなっています。」
「なるほどな、やはりこういう所はドワーフの力が凄いんだろうか」
「おーもうついたな、これは楽だわ」
「ラッツ皇帝陛下は間もなく到着されます、こちらでお待ちください。」
「皆の者待たせたな。ちょっとシロさんと子供の事で話をしていてな、俺ももう39歳もうすぐ40歳だ。そろそろ子供の事を考える時期になった。皆もずっと戦争でご苦労様。大元帥も3方面の指揮ご苦労だった。なかなか上手く行ったと聞いているがやってみてどうだった?」
「新兵器が多すぎて頭がうまくついていきませんでしたな、もうそろそろ引退かもしれませんな」
「そうか、まあもう80代だろ、誰も早すぎるなど言わん、十分だろう、今夜は大元帥の引退式も含めてパーティーをしようではないか。あと昇格式もだな、大元帥の位置が空く、今の元帥達の年齢がみな60代か70代だろう、それも含めてそろそろ引退もいいんじゃないかなと思っている。」
「北部元帥です、せめて第6範囲までは指揮を執りたかったですが・・・」
「まあそれは大元帥になった者は継続してできるが、元帥の者も引退だな、十分戦っただろう、ゆっくりと老後を過ごしてくれ。」
「わかりました。」
「うむ、それで北部軍からだな、元帥を大元帥とする。帝都に残って3方面の指揮を執ってくれ、北部、中央部、南部、将軍のうち1名だけ元帥にあげる、もっとも功績を残した者だ、また兵士長を将軍に2名ずつ任命してくれ、各々に任せる。北部のアリエッタ姫は推薦ももらっている事だし特別に元帥にあげる事にする。なので北部は元帥は2名体制だ、指揮系統が混乱せぬようよく訓練するように。」
「陛下!そういえば戦車を運べる輸送機はまだできないんでしょうか?」
「うむ建材建造中だ。少数だが運べる機体はできている。これからは戦車もいろんな場所で活躍するだろう、それに合わせて輸送機も開発建造中だ。今の所5機しかおらん、戦車を一度に運べるのは5台までという事だな、一機につき戦車1台しか運べん」
「そうですか、それは時間がかかりそうですな」
「戦車も改造を加えるたびに重量が増えていてな、今は軽量化も含めて性能向上を行っている。」
「中央部元帥です、第6範囲はそれほど危ない地域なのでしょうか?」
「諜報員によると銃器と魔法のハイブリットだという事だ。」
「そんなに銃器が広まっていると攻めるのは大変でしょう。魔法もさらにあると・・・」
「大丈夫だ、全軍には物理結界のペンダントと魔法結界の指輪を装備してもらう。」
「なるほど、それは頼もしいですな」
「初期に作った奴より耐久度も結界展開速度もあがっていて、使い勝手がいいはずだぞ」
「そういう改良も行われたんですか、研究所は大変ですね。」
「いや今は魔法学校が主にやっている。結界関連は魔法学校だ、最近生徒も増えて開発が順調だな」
「そうでしたか戦争ばかり行っていると内政がよくわからなくて困りますなぁ」
「それは仕方ないだろう、内政よりも戦場を選んだそなた達の願いをかなえているではないか」
「確かに、戦争なき時代ではありませんでしたな」
「今、第6範囲を攻める準備をしている、だが第6範囲を落としたら他に攻める場所がなくなってしまうではないか、それではいかんと思ってな、海軍に新しき大陸を探させている。」
「新しい大陸があるのですか?」
「まだ見つかっておらん、だが星を一周したこともないのもまた事実」
「なるほど、どこかにはあるかもしれないという事ですかな」
「これほど巨大な大陸ではないかもしれないがどこかにあるだろう、北部の都市が移転したんだ、皆の者もしっておろう、移転するという事はどこかに大陸があるという事だ、必ず見つける」
「確かに、そうですな、どこかに大陸がないと移転できませんからな」
「現在海軍の増強にも努めておる、この星を一周するだけの燃料をつめる船をな、新しいエネルギー開発も進んでいる、バッテリーもだ、これらが開発されれば一気に燃料不足などというのからはおさらばできる。」
「また変わるんですな、生きてる間に見てみたいもんです」
「見れるさ、もう近々の話しだからな。」
「さてそろそろパーティーの時間だな、皆の戦勝祝いパーティーだ。」
「今回は宮廷料理長のご飯が食べれるのですかな?」
「あぁもちろんだ。新しい食材も入って来てるからな、うまい飯が食えるぞ」
「そういえばアリエッタ姫はどうした?」
「あぁいやそれは・・・・」
「まさかまだ現地にいると?」
「はい、全員帰ってしまっては何かあった時に困ると言って聞きませんでな」
「兵士長が残っているではないか、何が問題なんだ」
「そう言っても聞きませんで」
「なるほど、ありえる事だな」
「アリエッタ姫に繋いでくれ」
「畏まりました。少々お待ちください」
「あなた、第6地域にはいつ攻め込むんですか?」
「もうすぐだが、第6地域占領まで現地にいるつもりか?」
「そうですわ、今回も戻りたかったんですけれど、現場が混乱してしまわないように残りましたの」
「兵士長に任せればよかったではないか」
「ほとんどの仕事は兵士長に任しておりますわ」
「それと今回の論功行賞でアリエッタ姫を元帥に昇格させたぞ」
「まぁ!それはすごい事ですわ」
「そうだろ?戻ってきておいた方がいいんじゃないか?」
「いえ、このまま現場にいますわ」
「そうか、第6範囲攻撃開始は一か月後だ、アリエッタ姫は子供も作らんといけないんだぞ?」
「そうね、それもあるわね、急ぎますわ」
「うむ、そうしてくれ、くれぐれも気を付けてな」
「わかりましたわ、無事に帰還しますわよ」
1か月後
元帥や将軍達は新型ヘリコプターで帰路についた。
新型ヘリコプターの燃料は水素だ、エネルギー研究所が新燃料として水から作り出している。
エネルギー研究所が言うには列車や戦車、自動車、飛行機、船舶までも水素を燃料として使用できるとしている。
現在各種エンジンの改良中だ、もう元になるエンジン自体はできているらしい、さらに燃費をよくするために改良中なのだとか・・・船舶で海水から水素を取り出せれば永久機関ができると話していた。
沿岸地域でも海水から水素を取り出せれば永久機関ができるだろう、これは技術革新などではない、技術革命である。
海軍学校では潜水艦を開発中だが潜水空母も開発中との事だった。
そんなに潜水させてどうするのか?と批判もでてきている。
だが完成すれば使い勝手はいいんだろうな、とは思うので研究は続けさせている。
「この通話は全将兵が聞いている発言は控えるように、ついにこの時が来た、第6範囲の戦闘準備が整った。各軍各々は怪我をせぬよう物理結界、魔法結界の配布を行った、結界に頼りすぎないようにしろ、しっかり成果をあげて帰ってこい!全軍攻撃開始!以上だ。」
「北部軍、先頭は戦車で行く、各部隊輸送車に乗り急いで都市に向かう、各部隊準備に入れ!」
「アリエッタ姫、戦車にお乗りください、すぐ向かいましょう。」
「えぇわかったわ、しかし揺れるのよねー、輸送車の方がいいわ」
「輸送車より安全ですから、それに都市まで道が伸びています。そんなに乗り心地悪くないはずですよ」
「そうかしら?それならいいわね。」
「先頭車被弾!敵兵の攻撃です、魔法攻撃もきてます!各車応戦せよ!」
「アリエッタ姫!敵兵です。危険ですから中へ入ってください」
「ここからじゃ見えないわよ、かなり遠くなんじゃないかしら?」
「先頭車で被弾ですからここから10キロぐらい先ですが、ここも危険ですよ」
「仕方ないわねー、あら?今銃弾が頭の上を通過したような気がするわ」
「敵兵発見、小銃攻撃せよ」
「ここも敵陣の中なのね」
「歩兵が輸送車から出てきています。歩兵に任せましょう」
「歩兵が魔法攻撃によって攻撃されてます。」
「主砲転回、敵兵に向け主砲発射!」
「小銃も撃て!奴ら物理結界を展開してないぞ」
「歩兵も撃たんか!見えとらんのか?」
「しっかりしなさい、親衛隊!浮遊魔法を使用し敵兵を攻撃しなさい」
「ほら、こうやって指揮するのよ、どんどん敵兵が減ってきたわ」
「さすがですアリエッタ姫!どんどん減ってきました、主砲でやられたら欠片も残らないでしょう」
「どんどん撃ちなさい、まだまだ先は長いのよ!」
「周辺に敵兵いません、全滅させたようです、先頭地域でも戦闘が終わってきているようです。」
「時間稼ぎね、先頭車両に繋ぎなさい!」
「アリエッタ姫!どうなさいましたか?」
「先頭車早く動きなさい!後ろが閊えてるのよ」
「現在戦闘中でして、周辺に敵兵が多く、進めません!」
「何のための戦車なのかしら?進みながら攻撃しなさい!」
「わかりました。進軍します!後続車、続けー!」
「やっと進み始めたわね、これで少しは早く都市につけそうね」
「アリエッタ姫!偵察員からの情報です。」
「どうしたの?早く言いなさい。」
「城門を閉じて人がいる気配がないとの事です」
「なに?どういう事なのよ?また移転かしら?」
「そうかもしれません、先頭車に伝えて突撃させましょう」
「そうね、TNT爆薬も積んでるでしょうし、城門ぐらいなんてことないわよね」
「他の地点も急がせた方がいいのでは?もしかしてさっきの攻撃は時間稼ぎだったのかもしれません」
「そうね、みんないなくなっちゃうかもしれないわね」
「中央軍と南部軍にも連絡しといて、全員移転したかもしれないってね」
「わかりました!」
その後北部では都市につくたびに城門突撃を敢行したがどこの都市にも人は残っておらず、しまいには王都の城門は開かれたまま人だけいなくなっていた。
「中央軍、先頭は輸送車で行く、各部隊輸送車に乗り急いで都市に向かえ、各部隊準備に入れ!」
中央軍は輸送車で先頭を走らせ戦車を後方に下げた。その分速度は速く、戦車との差は開いていく。
しかし都市についたときに浮遊魔法で中に入らせた部隊から中に誰もいないと連絡をうけ、急ぎ捜索したがどこにも人はいなかった。
その後も都市を落としていくが一切抵抗がなく、城門は浮遊魔法を使い内側から開けさせ城内などを捜索したが人はいなかった。
「南部軍、輸送機に乗り一気に都市制圧に向かう、パラシュートをつけ各部隊準備せよ!」
南部軍は1番早いパラシュート降下を選んだ。
各都市に到着毎にパラシュート降下していったが、人っ子一人王都までの都市にいなかった。
各軍隊無線で連絡を取り合っていたが1番早かった南部軍ですら人っ子一人いないのだ、唯一抵抗していた部隊がいた北部軍が1番移転が遅れていたのかもしれない。
第6範囲制圧までたった四日しかかからなかったのにどこも人がいない。これはどうしようもない。
のちに調査隊が組織され各家各城くまなく捜索され、城の地下に移転陣が発見され、魔法学校に調査を頼み解明されたが発動はしなかった。
のちに魔法学校で発展型移転陣が開発され帝都の厳重なセキュリティールームから全国各地に即時移動できる移転陣が設置された。
半年後
「各々お疲れ様?と言っていいのだろうか?半年の旅になったがご苦労様?なのか?悩ましい」
「ラッツ皇帝陛下何を悩んでいるんですか?」
「いや、各部隊これを機に一回帝都に呼び集めるんだが、なんて声をかけようと思ってな」
「無人だったから無駄足だったわけですよね?」
「まあ無駄足というより移転陣が手に入ったからそれはそれで成果はあったんだがな」
「そうですよね、移転陣でみんなすぐ移動できるようになりましたし、成果はあったかと」
「だよな、まあ普通にお疲れ様でいいか?」
「そうですね、一旦はこれで終戦ですからね、最後はあっけなかったですが。」
「そうだな、銃と魔法の都市だったんだろ?ロマン溢れる奇想天外な武器や魔法があったかもしれないのに。」
「北部軍が敵兵と戦闘になってましたが戦車には勝てませんでしたよ」
「戦車には物理結界も魔法結界も張られているからな、それに装甲も分厚いからTNT爆薬をくっつけても耐える代物だ、それを攻撃したからって無駄になるに決まってる。」
「それはそうでしょうけど、あれは確実に時間稼ぎでしたよ、多分先頭車両が止まらず都市に突っ込んでいたら人はいたでしょうね。」
「だが残っている人は少数だっただろう、それがあの時間稼ぎ程度で移転できる人数しか残ってなかったのかもな」
「そうですね、しかしみんないったいどこへ移転して行ったのでしょうか?」
「それがわからんな、奴ら船も碌に造船していなかったようだし、外洋に出て行ってた様子がない。」
「資料によると、魚釣りをする小舟程度ですからね。」
「うむ、空の上にでも行ったか?それか水の中か?どっちにしてもすごく大変そうだな。」
「そうですわね、どっちもすごく大変そうです。」




