エンゲージ
満月姫編、遂にクライマックスです〜
ブワッ
まるで突風に襲われた様な衝撃と共に、俺達は闇に囲まれた。
直径20メートルほどの円柱空間。
頭上の満月の光だけが俺達を照らしていた。
その、目前の闇から萌が姿を現した。
微かに恍惚の表情を浮かべている。
「神嶋さん、嬉しい‥」
「希望は聞く‥」
「はい」
萌は上ずった表情だ。
「萌、神嶋さんはエンゲージを受けてくれるそうだ」
悟さんが補足する。
「ただし、この二人も一緒だ」
そのまま涼花と風香の方を示した。
ここでの萌の反応次第では‥実力行使が必要になる。
どこまで通じるかは分からないが‥。
「あら‥」
萌は2人の方をみた。
「嬉しい‥皆で一緒に‥しましょう」
萌は2人を見て微笑んだ。
どうやら最悪の事態は避けられそうだった。
「3人でのエンゲージは特殊だが‥お互いに干渉しなければ、可能なはずだ」
悟さんは考えながら言った。
「つまり?」
涼花がたずねる。
「誓いの言葉に、神嶋君のどんな所が好きか、つまりどんな要素とエンゲージを望むかを加えくれ。他の2人と同じ事は使えない」
「ん、それなら‥」
涼花は納得したようだ。
「萌もそれで良いか?」
頷く萌。
「では、始めるぞ」
悟さんは足元の地面に何やら複雑な文様を描き始める。
俺を中心に、萌、涼花、風香に繋がる、概略三角形の文字の羅列だ。
「悟さん、魔法使いなんですか?」
「見様見真似だよ‥色々調べたんだ」
なるほど、悟さんはこの日のために‥。
「俺はどうすれば‥?」
「そのままそこに立っていてくれ」
そう言うと、3人の方を向き指示を出した。
「3人はそこに立って、呼んだら順番にここに来て誓いの言葉を宣誓、神嶋君に指輪を付けるんだ」
頷く3人。
今になって気が付いたんだが、これは擬似的な結婚式?3人と?
だから涼花と風香はあんなに反応していたのか。
急に恥ずかしさと気まずさが襲ってきた。
勿論、形式的なものに過ぎないとはわかっているが。
ほんの5分前までまさか今夜、3人と重婚することになろうとは思っても居なかった‥。
悟さんが、白い粉を足元にパラパラと落とすと、文様から急激な魔力が立ち上がった。
「始めるぞ」
悟さんは声を掛けた。
「では最初は私が」
言い出したのは風香ちゃんだった。
紙縒のリングを持ち、文様の上を歩いて俺の所まで来る。
「私、新神風香は神嶋護さんの妻になることを誓います。神嶋さんの優しい力、大好きです」
そう言うと俺の指にリングをはめ、キスをする。
ふわり、と見えない力が俺と風香ちゃんを繋いだ。
なるほど、これが‥エンゲージ‥。
風香ちゃんは来た所まで戻って悟さんにたずねた。
「これでどうでしょう?」
「完璧だ、風香ちゃん」
「同じ様にしてくれ」
悟さんはほかの二人に声を掛けた。
「んじゃ、次は私ね」
涼花が同じ様に俺の所まで来る。
「い、今更かも知れないけど‥私アンタとこれからもずっと一緒に居る。離れない。だって、アンタのその思いやる心が大好きだから!」
言うと同時に俺に指輪をはめ、抱きついてきた。
短いが、情熱的なキスを交わす。
「あら」
「きゃっ」
他の2人がその様子に思わず声を漏らした。
終わると涼花は振り返りもせずスタスタと元の場所に戻ってゆく。
「最後は私ね」
萌はそう言うと、ゆったりと俺の方に歩いて来る。
「神嶋さん、私と一緒になって下さい。私は決して神嶋さんを裏切りません。大好きな貴方の見ている世界を私にも見せて」
萌はそう言って俺にリングをつけると抱き寄せてキスをした。
俺と萌の間に霊力の流れが溢れる。
同時に、萌は力が抜けた様に膝から落ちた。
慌てて抱きとめる。
俺達を取り囲んでいた闇の圧力が消えてゆく。
街の喧騒が聞こえてくる。
「悟さん‥」
「とりあえず、一段落だ」
「良かった‥」
おれは溜め息をついて満月を見上げた。
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