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ファインド・アイズ (探し屋と女子高生)  作者: てんまる99
満月姫編

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闇の狂騒曲

満月の夜、遂に萌と対峙することになった主人公は‥

頭上には淡く輝く満月。

周囲を闇に円筒状に隔絶された空間。


俺はそこで立ち尽くしていた。

甘く痺れた感覚で身体が動かせない。


目前の萌ほ嬉しそうに微笑みながら俺に囁いた。

「上島さん、沢山***しましょう。萌の✕✕がいっぱいになるくらい〇〇〇〇をして▲▲▲▲下さい‥」

‥萌の言葉の一部が聞き取れない。

いや、認識出来ない。


これは言葉の形をした束縛呪文バインドワードだ。

萌は言葉に魔力を乗せ、直接俺の意識に概念を送り込んでくる‥。

余りに強力な魔力に言語中枢が飽和して言葉として把握出来ない。


普段の萌からは想像出来ない様な淫猥なイメージに俺は翻弄された。


「萌‥な‥どう‥」

俺の言葉に萌は小悪魔的に微笑んだ。

「だって‥上島さんの事、欲しいだもん‥」

普段とは違う、甘えた様な態度。

これは‥誰だ?


「萌じゃない‥のか」

「萌だよぅ。なんでそんな事‥」


萌が言いかけた時。


「上島君、目を閉じろ!」

その声とともに、俺と萌の目前に銀製の小さな十字架が投じられた。

チャリン、と落ちた十字架はみるみる眩い光を放ち、俺は思わず目を伏せた。


「こっちだ!」

目を閉じたまま、俺は手を引かれ数メートル歩いた。

すると、先程までの硬直が消え、身体が自由になる。


俺の手を引いたのは悟さんだった。


「悟さん?!」

「ああ、無事か?」

「な、何とか‥あれは一体‥」


と、そこへ涼花と風香も合流してくる。

「譲!」

「上島さん、大丈夫ですか?」

「ああ。しかし‥」


「悟さん、これは一体?」

涼花が訊ねる。

どうも二人は悟さんが呼んだようだ。

風香が答えた。

「あれは、夜叉やしゃ‥でしょうか。凄まじい魔力です‥」


「その程度の物じゃない‥今の萌は‥闇の眷属ナイトウォーカーなんだ」

悟さんは苦々しげに言った。


「今の、と言う事は普段は違う、と?」

「もちろんだ。君だって知っているだろう」

「事情を知っているんですね」

「知っているが、今は時間がない‥簡単に言えば、萌はナイトウォーカーとの二重人格と考えてくれ」

「二重人格‥元の萌には戻せないんですか?」

「朝が来れば戻る‥今まではそうだった。が、それまではもたないだろう‥あれは時間稼ぎにしか成らない」

「それじゃ‥」

「方法はある‥これはもう少し親しく成ってから、上島君にお願いしようと思っていたんだ‥」

そう言って悟さんは懐から一組ペアの指輪を取り出した。


銀色で繊細な装飾が施してある。

更に二つの指輪の間に不思議な気の流れの様な物が‥。


「これは‥不思議な物ですね」

「分かるかい? この指輪同士には気の繋がりが出来る、魔道具なんだ」

「これを‥?」

「ああ、萌と君が着けて、ある儀式をすれば、いい」

「しかし、今の萌がそれを了解しますかね? 」


俺の言葉を聞いた悟さんは、

「あーー、その」

珍しく言葉を濁した。


「?」

「いや、実はこれは萌の希望でもある」

「え~と、どちらの?」

「両方だ」

「え‥?」

裏の人格の萌とは今日が初対面なはずだが‥。


「二重人格と言っても、認識や感情は共有している」

「な、なるほど‥でもそれならもっと早く言ってくれれば‥」

「それは‥」

悟さんは言葉を濁した。


「呪術的契約には何らかのリスク、若しくは束縛がある、のですよね」

ここまで聞いていた風香ちゃんがたずねた。


「そうだ。本来この指輪は夫婦間で使うもので‥親密な男女でないと‥」

「え?」

「ちょっと?」

風香ちゃんと涼花が同時に反論の声をあげた。


「勿論、あくまで魔法契約としての話で、法律的な物では無いが‥」

2人の様子に気圧された悟さんは申し訳なさそうに続けた。

「そういう訳だから、涼花ちゃんや風香ちゃんにも話してからと思っていたんだが‥」

「もう時間は無さそうですね‥」

じわじわと闇の圧力が高まってくるのを俺は感じた。


「私もやる」

涼花は即決だった。

「涼花? 意味分かってるか?」

「萌さんを元に戻すには必要な事なんでしょ? でも‥」

「でも?」

「目前の魚が取られるのを黙って見てるほど、お人好しじゃないの、私」


「しかし、指輪とか‥」

「魔導具じゃないけど‥ペアリングなら持ってる。多分サイズも大丈夫」

最後の方はぼしょぼしょと成りながら涼花は言った。

「え、なんでそんなものを??」

「そ、そんなのどうでもいいでしょっ!? どうするの? やるの? OKなの?」

‥それじゃ一択なんだが。

「涼花が良いのなら‥」

俺は答えた。


「わ、私も‥」

風香ちゃんがおずおずと手を挙げた。

「風香ちゃんまで?」

「は、はい‥少し興味も‥有ります」

「でも、指輪とかは‥?」

「これで」

風香ちゃんは式神の紙で作ったこよりの様な物を出した。

「魔力の暴走を抑える式が込められています。これがあれば万が一‥」

「なるほど、上島君が闇の眷属ナイトウォーカー化するのを防げる、と」

「はい」

‥なるほど、それが魔法契約のリスク、と言うことか。


どしんっ!


物理的な圧力を伴った、闇の障壁が辺りを取り囲んだ。

その重圧に思わずたじろぐ。


「花婿なんだから、気合入れなさいよ!」

涼花に背中を叩かれた。

本当にそれだけで、重圧が軽くなる。


「ふふっ」

その様子を見て風香ちゃんは笑みを浮かべた。

「どうした?」

「いえ、やっぱりお似合いだなって」

「そ、それは‥」

「私もお願いしますね、旦那様」

「え?」

「一度、言ってみたかったんです」

もう一度、風香ちゃんは微笑んだ。


下手をすれば命も危ないと言うのに、俺より女性陣の方がよっぽど余裕ある。


「気合入れていくか!」

俺は向かって来る闇に一歩を踏み出した。


モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。

また、連載形式でアップしますので読み逃し無いよう、お気に入り登録も宜しくです。

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