表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/30

24 移動


左にあるカゴ台車の影から、奇声を上げながら感染者が飛び出してきた。

俺は89式を構えて、近づいてくる感染者に単発で2回発砲する。


店内に銃声が響き渡り、音が反響する。耳栓していて良かったと心の底から思った。


銃弾が頭と胸に命中して感染者は倒れたが、もう1体の感染者が奥から走ってくるのが見えた。

俺はリアサイトの中心に狙いをつけて撃とうとしたが、突然銃声がして感染者は倒れた。


どうやら俺の右斜め前にいた令一郎が、散弾銃を2連射して感染者を倒してくれたらしい。


令一郎は俺に振り返りドヤ顔をする。


普通にうざい。無視したら面倒なことになると思うので適当に頷いておく。


まだ奇声が聞こえるので周囲を見回すと、右側の段ボールの影から床を這って、造次さんに近づいてくる感染者が見えた。

89式を構えようとしたが、俺がいる左側からは令一郎が邪魔で撃てない。


「おいっ令一郎、右から来てる奴を撃て!」


俺は令一郎にそう叫ぶが、不思議そうな顔して俺を見ている。


なぜ動かない!聞こえてないのか?

...もしかして、銃声で耳がやられた?俺は頭でそう考え、目の前の感染者を倒すために行動に移す。


右足で令一郎の背中を蹴り飛ばして射線を確保する。令一郎は「ぐえっ」と言って倒れたが今は気にしない。


床を這って迫り来る感染者の頭に89式を単発で発砲。感染者の頭に5.56㎜弾が命中し、地面に中身が撒き散らされた。


すぐ近くに倒れ込んでいた造次さんにも、中身が掛かったかもしれない。


命が助かれば別にいいだろと思い、他の感染者が来ないか周囲を警戒する。


...来ないな。


地面に倒れている感染者達を見て、こいつらだけか?と頭で考える。


耳を澄まして周囲の音を聞いて見るが、俺の心臓のバクバクした音と令一郎が散弾銃をリロードする音しか聞こえない。


しかし、パレットや台車などの死角に感染者がいるかもしれないので、いないことを目視で確認してから物資があるか調査しよう。


俺は自分の考えを話すために2人に近づく。








「大量にあって良かった、これで数週間は大丈夫そうだね」

造次さんは調味料の入った段ボールを車の後部座席に載せながら俺に話しかけてきた。


「ええ、そうですね。...これで当分はもちそうです」

俺は反対側の座席に、ケース売りのカップ麺を載せながら返答する。


俺は自分の車に物資を載せる作業を終わったので、今は令一郎の車に載せる作業を手伝っている。


家にこの物資を持ち帰れば、俺にも還元されるはずだから、わざわざ手伝っているんだ。

そう思いながら、先ほど湧いてきた疑問を深く考えてみる。


なぜ大量の物資が手付かずで、バックヤードに残っていたのかは分からない。


推測してみるが、このスーパーに調達しに来た他の生存者は、バックヤードに感染者がいることに気づいて戦闘を回避したのかもしれない。


バックヤードの中には4体の感染者がいたので、銃を使わず屋内で倒すのは結構厳しいと思う。それで、店内の物資を優先して調達したから、陳列棚がスカスカで空だったんだろう。


すべて俺の推測でしかないので、当たっているのか外れているのか分からない。

結果だけで言えば、物資が大量に手に入ったので、なぜ残っていたのかはどうでもいいか。


俺は少し肩の力が抜けた状態で駐車場を見回す。

先ほどの戦闘で銃を使ってしまったので、感染者が集まってくるかと思ったが全くこない。

この町にいる感染者は少ないのか?

もしそうなら、楽に物資を調達できるかもしれないな。



「持ってきたぞー、これで最後だと思う」

令一郎の声が聞こえたところに頭を向けると、両手でエナジードリンクのケースを抱えた姿が見えた。


造次さんは目的の物資をすべて車に積み終わったあと、1つだけなら好きな物を持ってきてもいいと言っていたので、令一郎はエナジードリンクを選んだのだろう。


令一郎はエナジードリンクが好きなのか...まぁ、人それぞれだからな。


俺はそんな令一郎を見ながら、先ほど起きたことを思い出す。


感染者との戦闘が終わったあと、なぜ急に背中を蹴ったのか問い詰められたが、射線が被り造次さんを襲うとしている感染者を倒すためと説明したら納得してくれた。


そうだよな、納得しなければお前の父親は死んでいたんだから。俺のおかげでお前の父親は生きているんだから、感謝するのは当然のこと...なんだが令一郎は俺に一言もお礼を言ってきていない。

少し残念に思うが、お礼を言ってもらうためにやった訳ではないのでどうでもいいか。


令一郎を蹴ったことに関しては、今後問題にはならないだろう。


それと俺が物資を車に載せているときに、造次さんが先ほどの感染者との戦闘について、あることを言ってきた。

自分が年長者なのに、感染者に驚いて倒れたことを自分で不甲斐ない、すまないとか俺に言ってきた。


俺も感染者に襲われた当初はあんな感じだったし、特に恥ずべき事ではない。

感染者が俺達に近づいてきたとき、先頭にいた造次さんを襲おうとしたので、囮としては役に立ったと言える。

その他、令一郎が散弾銃で感染者を撃っていることについて、造次さんはあまりいい気持ちではない的なことを言ってきた。


俺からしたら、そんな話興味ないので適当に相づちを打っておいた。



「これ以上は車に積めないから、ガソリンスタンドに行こうか」

造次さんがそう提案してきて、特に異論はないので俺は頷いて答えた。


俺は車に乗り込みエンジンを掛けて、造次さんが運転する車についていく。



運転席から周辺を見回すと、この辺りは小規模な住宅街が建ち並んでいるのが見えた。

ところどころに小さめの畑みたいなのがあって...


ん?...今通りすぎた家の2階で、カーテンが動いたように見えたが...気のせいか。

こんな田舎だし、家に籠って生き残っている奴もいるだろ。


俺はそう考えて車を止めずに、造次さんが運転する軽自動車についていく。


車に乗る前に聞いたが、ガソリンスタンドはスーパーから600mほどの距離にあるらしい。


そこそこ距離があると思うが、車ならすぐ着くはずだ。


俺は、もうすぐ着くかもしれないと思い、辺りを見回してどこにあるのか探す。


ん?


俺は偶然サイドミラーを見て、何か人の影みたいなものが見えたがすぐに消えた。


感染者か?

見間違いか?


人間だったら面倒なことになるなと考えながらガソリンスタンドを目指した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ