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目が覚めると、目の前が真っ暗だった。


...ん?......なぜ暗い。


ぼんやりした頭で思考する。


...そうか、俺は寝ていたのか。


暗いということはもう夜なんだろう。前にも空き家でこんなことがあった気がする。


俺は、自分の膝の上に置いてある89式を手で握り感触を確かめる。


銃は手にあるので、これである程度は安心した。


暗くては何も見えないので、上に付いている室内灯を手探りで探してスイッチを押す。


急に明るくなったので、目がチカチカするがすぐに慣れた。


俺は車の運転席に座っているので、車の中にいることが視覚的に確認できた。


やはり、考え事をしたまま眠ってしまったんだな。


周りに誰かいないか見回したが、感染者も人間もいない。


誰も、この車庫に入り込んでいないことに安心して肩の力が抜けた。


車庫の小さな窓に目を向けると、太陽の光は入ってきておらず、ただ真っ暗なだけだった。

腕時計で時間を確認しても、夜中の時刻が表示されていた。


「マジで夜なのか」

口に出してしまう。


結構な時間を寝ていたようだ。


俺は数分ぼーっとしていたが、喉が渇いてきてので助手席に置いてあるバックに手を伸ばし、お茶のペットボトルを取り出す。


蓋を開けて、中身を飲み水分補給する。


ん?なんか量が少ないような気が...これ飲みさしじゃね?奈那のじゃないか。


......もう、いないんだった。


......。


なぜか良く分からないが、奈那のことを考えると怒りが湧いてきた。


なぜこの俺が、あの小娘ごときで気分が浮き沈みしなければならんのだ?


ただの雑用係のくせに俺の精神衛生に影響を与えるだと。盗人猛々しい、身の程を弁えろ、奴隷の分際で......。


などと心の中で罵倒する。


しかし、奈那がいなくなった分、俺独りであれもこれもするのはめんどくさい。


どこかに、奈那みたいな俺に都合のいい奴が落ちていないかな。


落ちてないわな。



俺は、頭を切り替えて現実的な思考をする。


この家から移動することは確実なので、何時でも出れるように今のうちに準備しておく。

今は夜だし、明るくなったら移動するか。


そう考えながら俺は、チンピラの死体から回収してきたボディバッグに手を伸ばす。


中を開けると、銃弾が16発入ったパケが出てきた。


......なぜパケ?


まぁいいか。見た感じマカロフ用の拳銃弾みたいなのでマガジンに装填しておく。ちなみに、予備のマガジンは1つもなかった。


他には、紙箱に入った12ゲージのショットシェルが80発くらいあった。


全体的に弾が少ないような気がする。チンピラのポケットを漁っていないので、もしかしたら中に入っていたのかもしれないが戻る気はない。

気軽に撃ちまくれる量ではないので慎重に使っていく。


散弾銃本体は、上下二連が2丁、自動散弾銃が1丁回収した。


若干汚れているように見えるので、簡易的なクリーニングをしてから使うつもりだ。


個人的な偏見だが自動銃は故障のイメージがあるので、シンプルなイメージがある上下二連を使っていこうと思う。

素人なので使いこなすことは難しいだろうが、何とかしてやっていく。


コンビニの戦闘で、89式の5.56㎜弾を60発以上消費してしまった。

まだ350発以上あるが、使いどころを考えて撃たなければ、あっという間に無くなってしまうだろう。


手榴弾もあと2つしかないので、よほどのことがない限り温存する。


なので、これからは感染者との戦闘をなるべく避けて消費を抑えるようにする。



俺は頭を左に向けて、助手席に置いてある銃を見る。


「ふふっっ」

笑ってしまった。


俺は運がいい、他の人と比べてかなり運がいいだろう。

銃の所持が、そこそこ厳しい日本で自動小銃と無反動砲を持っている奴なんて極少数だろう。


故障している物も含めれば、俺は7丁の銃と無反動砲1基持っている。

弾薬が少ないことが難点だがな。


「ふははっ」

笑いが止まらんな。



だが、俺は油断しない。

銃を持ったからといって、自分が強くなる訳じゃない。

上手く使いこなせるかどうかは全くの別問題だからな。何より、銃を扱う本職の人間には敵わないだろう。


俺はまだ死にたくないから、積極的に銃を持って戦うつもりはない。




銃火器は確認し終わったので、次は食料などを整理して、家の中にある物資を車に運ぶことにする。


俺はマカロフをベルトに差して、車のドアを開け車庫の中に出る。


...念のため89式も持っていくか。


助手席に置いてある89式を手に取り、肩からスリングで吊るして、車庫のドアを開ける。


外に出ると強い風が吹いていてた。

目にゴミが入りそうになり一度立ち止まったとき、うっすらと奇声が聞こえた。


「っ!」

は?感染者?


俺は89式を構えて周囲を警戒するが、見える範囲では感染者はいない。


どういうことだ?



...まさか、奇声が風に乗って聞こえたのか?

ということは、家の近くに感染者がいるのかもしれない。しかし、今聞こえた奇声は1体ではなく、かなりの集団のように聞こえる。


俺は、もう一度立ち止まり耳を澄ます。


何となくだがコンビニ方面から聞こたような気がする。


これは、まずいのでは?


今すぐにこの家を離れるか、それとも朝まで待って明るくなってから移動するか。


今は夜中で、真っ暗な中を移動するのは危険だと思うが。しかし、奇声が近づいて来ているように聞こえる。



俺はどうするか10秒ほど思考した結果、今すぐ移動することにした。


夜中に移動するのは、真っ暗で視界が悪く危険だが、感染者が近くにいるのであれば、俺は絶対に眠れないだろう。

それに、この家にはもう守る物がない。


俺は急いで家の中に行き、物資を手に持ち車に載せる。

物資の量が、そこまで多くはないのですぐに終わった。


車庫のシャッターを開けて、すぐに車に乗り込み発進させる。


サイドミラーを見ると、何かが走ってきているように見えたが、すぐに暗闇に消えた。











今どこにいるのか全く分からない。

真っ暗闇の中、車を走らせているので、かなり精神的によろしくない。


いつどこから感染者が飛び出してくるのか、警戒しなくてはいけないので、精神がごりごりすり減っていく。


地形を把握するため、一度車を止めて車内から周りを見回す。


暗くてあまりよく見えないが、畑や田んぼばかりだな。特に見るものはなさそうなので、休めそうなところを探すか。



「...ぉ..ぃ....ぃ」


今のは何だ?何か聞こえたような。


俺は運転席に座った状態で、89式を持ちセレクターをタから3にしておく。


「おーい、頼む」


今度ははっきり聞こえた。男の声で頼むと聞こえたぞ。


俺は後ろを振り向き様子を探る。


くそっ後部から運転席側に来たな。


車内では、89式は取り回しが悪いので助手席に置いておき、マカロフを腰から引き抜き右手に持つ。


「頼む、乗せてくれ」

男は運転席の窓越しで話しかけてきた。


俺はいつでも撃てるように銃口を向けて、左手にライトを持ち、話しかけてきた人物を照らす。


そこには、眼鏡をかけた30代くらいの男性と、抱き抱えられている小学生くらいの男の子がいた。




へぇ、これはこれで使えそうだな。

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