表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/30

14 崩


目の前で、奈那がうつ伏せで転がっている。

もう、この家で奈那としていない場所はないだろう。


「おい、体を拭け」


「ぁ...はぁいっ」

奈那は立ち上がり、横に置いてあるタオルとペットボトルの水で俺の体を拭きはじめる。



これからどうするか。


隣の家で物資を調達してから2日たった。その間、家に引きこもっていたわけではない。

水が無かったので、近隣の民家を漁り飲料や物資を調達したが、必要な量が手に入らない。


水がない、水が、体を拭くのに結構な量を使うのですぐに無くなる。

奈那と行為をやめるのは論外だ。発散先が無くなってしまう。それに、奈那も最近自分から腰を振ってくるので嫌ではないと思う。



もう、近隣の民家からは物資を漁り尽くした。

しかし、遠くまで行くのは面倒だし、動けば動くだけエネルギーを消耗するだろう。


今の家から、引っ越すという選択肢もあるが、どこに引っ越せばいいのか分からない。

今すぐ引っ越すのは、緊急時でも無い限り実行しない。荷物を運ぶのが面倒だから。


もうしばらくの間この家で過ごして、良さそうな借りの家が見つかれば引っ越すことにする。



市街地にいる、感染者の集団の大部分は、まだ移動していないだろう。

もう数ヶ月ほど待てば、移動すると思うので忍耐強く待つことにする。


俺は、自分の家に無事に帰ることが最優先なので、無理して危険なところに行く必要はない。

だが、このままじっとしていれば、飢えるだけなので外に行くのは確定だ。



どこに行こうか。


まだ、奈那と初めて会ったあのコンビニに再度調達しに行っていない。


この家から200mほどのところにあるが、あそこは立地的に人が来やすい位置にある。生存者がいたら、高い確率で鉢合わせすると思うが。


別のことを考える。


自衛隊のトラックに戻って何か回収するか?

行ったとしても銃は1.2丁あるかないかだ。7.62㎜の弾薬ならたくさんあったが、誰かに回収された後なのでは?


自衛隊のトラックは住宅街の交差点にあったが、その道沿いにはドラッグストアがある。

奈那の言っていた、チンピラ集団がいる可能性が高いので、自衛隊のトラックに行くのはなしだ。


やはり、コンビニか?

家から一番近い店はコンビニしかない。誰かいるかもしれないが、さっさと回収して帰ってこればいい。


不安要素だらけだが行くしかない。


奈那も一緒に調達しに行くが、戦力としては期待せず、荷物持ちや雑用として連れていく。

家に置いていくのはダメだ。家に誰か襲撃しに来たら、奈那はすぐ死ぬだろう。俺と一緒なら、奈那も安心だし俺も安心。


奈那は今のところ従順だが、他の友好的な生存者と接触したとき、どのような反応をするのか読めない。


俺を裏切るかもしれない、その時は......やるだけだ。





俺は装備を確認しながら、隣にいる奈那に呼び掛ける。

「奈那準備しろ」


「...分かりました」

奈那は行きたくないのか、元気のない声で返事をした。


大丈夫だろう、さっさと物資を調達して帰ってこればいいんだから。


奈那には、銃剣1本と手榴弾1個持たせてある。必要に応じて、ゴルフクラブを貸す予定で銃はまだ持たせない。


物資を大量に調達する予定なので、徒歩ではなく車で行くことにする。車は、ここ最近動かしていないので燃料はまだ半分ある。故障していなければいいんだが。


俺も奈那も準備できたので車に乗り込みコンビニに向かう。家からたった200mしかないので車で行けばすぐに着く。

今まで行かなかった理由として、人と会うかもしれないから行かなかった、ただこれだけ。面倒事は避けるべき。





車を運転していると、奈那が妙に静かなんだが緊張しているのか?

この間、襲われたことがよほど怖かったのか?


そんなことを考えていたら、右側にコンビニが見えてきた。

見た感じ誰もいなそうなので、俺はハンドルを右に切り、入り口近くに車を停める。



車内から店内を見ると、見える範囲では人間も感染者もいない。


車から降りる前に、89式のセレクターをタから3にしておく。手榴弾は、いつでも取り出せるように前ポケットに2つ入ってる。

素人の俺が使いこなすのは難しいが、せっかくあるのだから活用する。


「よし、行くぞ」

「はぃ」

奈那は小声で返事した。


車から降りてコンビニ周辺を警戒。


...周りを見ても感染者の死体とゴミしかない。

周辺には誰もいないが、念のため車に鍵を掛けておくか。


俺は先頭に立ち、奈那を後ろにして着剣済みの89式を構えながら店内に入る。

店内は真っ暗だ。

89式に付けてきたライトを点灯させ視界を良くする。


通路に銃を向けて感染者がいるか警戒するが...いない。

...耳を澄ましても音は聞こえない。


肩に力が入っていたのが少し抜ける。


警戒しすぎか。


ん?

陳列棚をライトで照らすと違和感を感じた。

...商品が減っている、これは誰か来たな。


まだ、誰かが店内にいるかもしれないので、銃をいつでも撃てるように構えながら確認していく。








「奈那、俺の近くで作業してくれ」


「...分かりました」

誰もいなかったが、商品が減っていたので誰かが調達しに来ている。

遭遇する前にさっさと物資を調達して家に帰ろう。


店内は後回しで、先にバックヤードの物資を回収する。店内よりも量的に物資の量が多かったからたくさん入手できるはず。

空いている段ボールなどに物資を入れて回収する。








ふぅ、リュックにはもう入りきらないし、店にある買い物カゴにも入れたがもう入らんな。


これは一度車まで運んでおくか。


「奈那、一度車まで運ぶぞ」

奈那は小さく頷いた。


俺は背中にリュックを背負い、右手に89式、左手に買い物カゴを持ち車に向かう。


荷物がかなり重いので、体を痛めないようゆっくりと歩く。


バックヤードから店内に戻って入り口を目指すが...。


入り口付近には、ガラの悪そうな男二人の姿が見え、その手には散弾銃を持っていた。


手前にいた男と目があった。


まずっ

俺は買い物カゴを放り捨て、後ろにいた奈那を引っ張り陳列棚に隠れる。


「おいっ今の奴!さっさと出てこい!」





「...ぅ......」


?...う?...。


奈那が何か言っている。

俺は顔を後ろに向けて見ると、





「う、動かないで!」

奈那は俺に銃剣を向けてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ