11 堕?
胸糞注意
「だ、だずげでぇぇぇ!」
奈那が叫んでいる。
うるさいな、感染者が来たらどうする。
俺は、食事を中断して立ち上がり、壁に立てかけてある89式とライトを持って、外の様子を見に行った。
すると、そこには奈那が門扉を掴んで、力任せに開けようとしていた。
お前の力では壊れんよ。
「あ、あけ...あ、開けてくださ...か、感染者が来て...」
俺は、奈那をライトで照らして周囲も照らす。
何も見えないが、うっすらと奇声が聞こえ、何かが走ってくるような音がする。
門扉の鍵を外して扉を開けたら、すぐに奈那が敷地に入ってきてへたり込んだ。
家の敷地には入れてやる、だが家の中には入れない。従順になるまでな。
「怪我は?」
銃を向けながら奈那に聞く。
「こ、転んで膝を」
ライトを照らして見る。
膝から血が出ている。
どうやら、本当に転んで膝を怪我しているようだ。見た感じ、噛まれたり引っ掻かれたりした傷ではない。
身体全体を照らしても、膝以外は怪我をしていなそうだ。
奈那は、家の中に入りたいと思ったのか立ち上がり、玄関に行こうとしたので、横から怪我をしない威力で腹を蹴った。
「ぐぇっ」
暗闇の中では、ライトの光は目立つので車庫の中に入ることにする。
奈那を引っ張りながら、車庫の横にあるドアを開けて中に入る。
中は、車2台が停まっているので少し狭いが、外でライトを点けて目立つよりはいいだろう。
俺は車の鍵を開けて、中にある救急品袋や水のペットボトルなどを持ってきて、傷を手当てしてやる。
タダで、治療してやるわけではない。必ず対価は払ってもらう。
手当てしている時に、奈那が不安な表情をしながら聞いてきた。
「...お、...怒らないんですか?」
「ん?...いやいや、怒っているよ。何で逃げたんだ?」
「そ、それは......」
奈那は言い淀む。
俺は奈那が話すまで待つことにした。
すると、奈那は静かに話し始めた。
「......怖かったんです」
「怖かった?」
「...はい......その...いきなり体を触られて...襲われたので」
奈那の話をざっくり言うと、
俺が昨日急に襲ったのが怖くなり、あまり深く考えずに、ここから離れたいと思い逃げたそうだ。
理由については分かった、まぁありきたりだな。
「それで何で戻ってきたんだ?」
俺は冷たい視線を向けながら聞く。
「...襲われたからです」
奈那は、体を震わせながらぽつぽつと話し出した。
この家から逃げ出した直後に感染者に襲われ、なんとか走って逃げたそうだ。その次が、生き残っている人間に襲われたらしい。
場所は、ドラッグストアが見える近くの道で、この家から2kmくらいしか離れていない。
風貌は、髪を青色に染めたやつとその取り巻きの連中。全員ガラは悪く、人数は5人くらいで年齢は若く見えたそうだ。
青髪は、優しく声をかけてきたそうだが、仲間の2人が急に早歩きで近づいてきて、刃物を突きつけて下品なことを言ったらしい。
奈那は、ダッシュで来た道を戻ったそうだ。
よく逃げれたなと思う。
俺みたいに回避スキル高いのか?
奈那はその連中よりは、俺のほうがマシだと判断して戻ってきたそうだ。どこかに行きたくても、感染者が存在するので遠くには行けない。
その他、重要な情報を奈那は喋った。
青髪の腰の辺りに、拳銃みたいなものがあったと言っている。夕方だったので、薄暗くてよく見えなかったと。
ホルスターか何かに入っていたのではないかと推測する。
取り巻きの連中は刃物や鈍器らしい。
青髪は、仲間にならないかと奈那に言ってきたそうだが、取り巻きが邪魔をしたと。
俺の家に、逃げてきた跡をつけられてなければいいんだがな。夜だから視界が悪いので、大丈夫だと思うが警戒はしておく。
突然、外から奇声が聞こえ、門扉や鋳物フェンスが叩かれる音がした。
「っ!」
奈那がビクッとした。
俺もびっくりしたわ、表情には出さないがな。
俺は89式を構えながら、車庫の横のドアを開けて外に出る。
一瞬だけ、左手にライトを持って感染者がどこにいるのか探す。
お、いたいた。
門扉のすぐ横のフェンスの隙間から、手を伸ばしていたのが見えた。
ライト邪魔だな。
これが終わったら、89式にビニールテープでライトを付けよう。
俺は、ゆっくりと感染者に近づき、フェンスの隙間から着剣状態の89式を、感染者の喉に突き刺した。
肉を突き刺した感触が手に伝わる。感染者は力を失い、フェンスにもたれ掛かるように倒れた。
まだ、奇声や叩かれている音がする。
1体だけじゃないのか、面倒だな。
俺はフェンスの隙間から、流れ作業のように3体の感染者を始末した。
車庫に戻ると、奈那が勝手にペットボトルの水を飲んでいた。
「なに、飲んでんだ?」
「ご、ごめんなさい...喉が渇いて」
奈那はすぐに飲むのをやめて謝った。
「そうか、水もタダじゃない。お前が今日逃げたせいで、この家の車の鍵は見つからなかったし、物資の仕分け作業も進んでいない。どうするつもりだ?」
俺は、かなり怒ったような雰囲気を出して奈那を威圧する。
奈那はずっと座り込んだまま、口を開こうとしない。
「おい、謝罪は?」
「に、逃げてごめんなさい」
奈那は座り込んだ状態で、小さく頭を下げた。
「は?それがお前の思いつく最大限の謝罪か?」
奈那は怯えた表情で、ゆっくりと土下座する。
「...か、体以外のことなら、わ、私にできること何でもします。」
俺は奈那の頭をぐりぐりと踏みつける。
「ふざけてるのか?」
「いっいいえ」
奈那を立ち上がらせて、車庫の外に引っ張っていき、フェンス越しから感染者の死体を見せつける。
「お前はこの家に感染者をつれてきたんだぞ。わかるか、危険にさらしたんだぞ」
「...はい」
「それで、体以外のことで許してもらおうとしているのか?俺を殺そうとしたのに」
「...」
「奈那、俺が嫌ならどっか行けよ、お前が前に言っていた公民館とやらに行けばいいだろ。」
奈那は、顔から涙を流している。
「俺は、お前に理由なく暴力を振るったか?振るってないだろ。ただ肉体関係を要求しただけで、殴ってすらいない。
お前は感染者とも戦おうとしないし、頼んだ軽作業すらもサボった。俺が作った安全な場所に、ただ乗りしてるだけだ」
俺は奈那の頬に手を添える
「奈那、お前の価値はなんだ?」
「...かち?」
思考停止したような顔で聞いてきた。
「そうだ、価値だ。お前はまだ若いから、技能が身に付いていないのは仕方ない。だが、今の世界ではお荷物同然の役立たずだ。
しかし、そんなお前にも誇れることが1つだけある。それは見た目が良いことだ」
「...何をすればいいですか?」
「脱げ」
「...ここでですか?」
「ああ」
奈那はゆっくりと衣服を脱ぎ出す。
「...脱ぎました」
「よし、さっき言った通りにしろ」
全裸の奈那は、頭の後ろで手を組み腰をへこっへこっと振る。




