四十七話
四十七話です。
誤字・脱字があったら申し訳ありません
このゴールデンウィーク。
矢波先輩に家を知られ、いつ彼女が来るのかと、ドキドキしながら待っていたのだが、結局、来ることはなかった。
ドキドキしすぎて、チャイムが鳴ったときはもう、お前余命宣告でも受けたの?って感じにはおぼつかない足取りだった。
そしてそんな感じで玄関を開ければそこにいたのは宅配の兄ちゃんで、うっかり大声で社名を叫んでライダーに変身しかねない勢いでした。
お前は誰なんだ…。
適当に俺の中の俺に声をかけながら、朝の日を浴びながら校門に辿り着くと、なんとあいつから話しかけられ…
ませんでした。
まぁ、こういう場所で声をかけられるのは基本的には主人公だし、むしろ俺はその声かける側だし。しょうがない…。
そう意気込んで、視線を移動させ、新崎を探す。
新崎…新崎…。
…いやでも、新崎見つけてどう声かけるんだ。
「おう!新崎」とかなんて俺らしくはない。
俺みたいな知的でクール…のなりそこないみたいなやつは
「よっ」とか、そんな感じだろうか。
…ていうか、そもそもなんで知り合いを見つけたら声をかけなきゃいけないんだ。
知り合いというのは所詮知り合い。
友達でもなければ顔見知りでもない、微妙な立ち位置。
まぁ、微妙だからこそ至るところで使われているのだろう。
何故なら、何事も微妙なぐらいが丁度良いからである。
微妙な出来、微妙な味、微妙なキャラクター。
出来損ないの半端者だからこその良さ。
それを伝えていきたい。
でもどうやって説明するんだ。
世の中に完璧が存在しないとはいえ、微妙が良いよな!みたいな押し売りで良いのか。
…話が変わり、微妙について考えながら下駄箱にさしかかると、後ろから鞄で頭を叩かれ…ません。
何度も言うがそのポジションは新崎。
俺の周りに常としているのは華やかな女の子なんかではなく、重く苦しい過去でもなく……そう、何もない、無である。
モブに細かい設定なんて普通考えないからこその無。
ちゃーんと周りを見てみれば活躍してなくて色すら塗られてない奴等にだって思い出や過去はあるのだと言うのに、主人公達が根こそぎそれを持っていくから残るのはどうしても無になる。
作者の力量うんぬん以前に、所詮作ったとこで感さえした。
…にしても一人になると途端にいきいきしだすな俺よ。
多分ここまで自分の心の声しか書かないラノベとかあったら絶対売れないぞ。
だってそんなの俺買いたくねぇもん。
…ていうか今のラノベに求められてるものって変に凝ったストーリーとか、とんでもない文章力とかじゃなくてただただ主人公が女の子と仲良くする事なんじゃないの。
階段を上りながらラノベについて考えていると、階段の上から大声で女の子…なんて、だからねぇよ!
ま、結局ラノベは絵が可愛くて、脱げば良いんでしょ、と暴論じみた結論で終わり、自分のクラスの扉を開ける。
そこにはまるで俺を奇異の目で見るような視線があり、ふと見た黒板にはなんと…とかもない。
ていうかいい加減同じことばっかやってると飽きるぞ。
…席についても新崎もいない、城戸さんもいない。
あ、でも去年で体育のときに組んだ田中ならいる。
すまんな田中。
サッカーのパス練習をしていたはずだったのに、何故かお前にシュートを決めてしまって。
球技は苦手なんです…。
さっくりと準備を済ませ、本を読み始める。
ほーら脱いでる…
脱いでますよ!
まったく破廉恥な…ほう…。
…こういう時ってさ、なんか急に後ろからヒロインが話しかけてきてさ、うぉぉっ!て驚きながら隠すのが基本なのに、俺にはそんなこと起こらないんだよね。
やっぱ主人公って色んな事が起こりすぎなんじゃないかなって思いました。
…本当にその後も新崎が来るまで一言も口を開きませんでした。




