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22話―― 妙な違和感。

注意……ちょっと胸糞展開。でもザマァ保障完備の安心仕様ヾ(≧▽≦)ノ

    暴力とか苦手な方はブラウザバックをおススメします


 そうして竜種が縄張りにしているとされる『封印指定域』に足を踏み入れることしばらく。


「「とまれ」」


 先に警告を発したのは俺かフィーネか。

 ダンジョンの奥深くに存在すると『噂』されている『竜の巣』中腹で、俺達は無防備に立ち止まっていた。


 どうしたの? と首を傾げるレオとアンジェリカだが、右手を上げゆっくりと当たりを見渡す。

 あたり一面、尖った岩ばかりの何の変哲もない『廃墟』。


 かつて文明が栄えていたとでも主張したいのだろうか。


 所々に無残な形で転がった見覚えのない建築物が見えるばかりで、生き物が生息しているとは到底思えない場所なのだが――


「ポンコツも感じたか」

「魔物がいる気配がないのに、固有スキルがガンガン警告を鳴らしている。それにこの匂い」


 甘く、それでいて頭の奥が痺れるような香り。

 この匂いには嗅ぎ覚えがある。


 それにこの違和感はなんだ。

 今日はここを拠点にキャンプを取ろうとしたのだが様子が変だ。


(草木一本も生えていないのに、遠くからいくつもの視線を感じる気がする。竜の巣の近くをテリトリーにする魔物なんていないはずだ。だとするとこれは――)


 頭の奥底に沈んだ知識が吹き返し、馴染みのない事態だっただけに僅かに反応が遅れた。


「フィーネ、爆裂矢を地面に!!」

「――ッ!!」


 瞬間、俺の指示に即座に反応してみせたフィーネの弓矢が地面に突き刺さり、弓矢を中心に爆風が吹き荒れた。


 フィーネと俺の奇行に驚いたような表情をしてみせるレオとアンジェリカ。

 だが今はそんなことに構っていられない。


「間に合ってくれ……」


 爆風と同時に『匂い消し』を振りまけば、身をかがめて爆風に耐える。


 爆裂矢。

 通称――術式付与型瞬時武装換装システム


 無属性の魔石に術式魔法を付与することで、戦況に応じて様々な副次的効果を発揮できるフィーネの得意戦法の一つだ。


 魔石の純度と質、そして魔力に応じてその威力は変わり、これでもかなり抑え気味である。


 これを持ち前の固有スキルと掛け合わせることで前線でも戦えるように仕上げた戦闘技術なのだが


「――間に合わなかったか」

「くっ――こいつは、まさか……」


 俺の意図を察する前に口を塞いで見せたフィーネの反応に、俺の判断は間違いではなかったことを悟る。


 まず初めに反応が現れたのはひと際小さい身体を持つ獣人のレオだった。

 フラフラとおぼつかない足取りで大盾に身体を預け始めたかと思えば、その瞼が徐々に下がり始めていた。


 本人は必死に両目を擦って起きようとしているのだが、なぜか体が言うことを聞かないと言いたげな表情で首を傾げている。


 アンジェリカやフィーネも何とか精神力で耐えようとしているが、スタミナポーションの反動の為か、抗いがたい眠気に襲われているようだった。


「あれれ、おかしいっすね。なんで急に――眠気が」

「ん……、これはまさか」

「……いい加減、でてきやがれ。睡眠香なんてこすい手使いやがって」


 ビュンと音もなくフィーネめがけて飛んでくるナイフを慌てて躱し、押し倒すような形でフィーネを守れば、下からわずかなうめき声が聞こえてきた。


 普段の彼女であれば即座に対応できるはずの『攻撃』。


 でも俺の下敷きになっているフィーネの額には大粒の汗が浮き上がっており――


「やれやれ。ようやく効いてきたか」


 岩の物陰から声がしたかと思えば、ぞろぞろと鉈や片手剣と言ったフル装備で身を固めた冒険者がゾロゾロ出てきた。


 その数、ざっと六人。

 さっきまでの一部始終を見て、効き目が表れたと判断したのか。

 その表情には緊張の欠片もない。


 あいつらはたしか――森の奥に飛竜が飛んでいったと俺に教えてくれた冒険者だ。


 だがどうして奴らがここに……俺達と別れる際に第10層から出たはずじゃあ――


「へっへっへ、ずいぶんと勘のいい餓鬼がいたみたいだなぁおい。素直に眠っていればツラい思いをせずに済んだのによぉ」


 そういって親玉らしき眼帯の男のだみ声を聴いた瞬間、俺は全てを悟った。


 あの顔、どこかで見たことがあると思えば手配書で――


「なるほど、追剥のガゾック。テメェの企みか」


「へっ、二年前はずいぶんと世話になったが覚えといてくれて嬉しいなオイ。

 こっちはテメェに付けられた傷が忘れられねぇってのに、忘れられたらどうしようかと思ってたぜ」


「返り討ちにしてやったと思ったんだけどなぁ、生きてやがったかクソが……ッ!」


 ふと視線を落とせば、顔をしかめたフィーネの口から男の名前が語られる。

 手配書。追剥。そしてこの口ぶり――


「お前ら、まさか……」


「へっ、ようやく気付いたのかよ甘ちゃんが。馬鹿な奴だぜ俺達が『賊徒』だと気付いていればこんな目に合わずに済んだのによぉ」


 ヘラヘラと勝ち誇る取り巻きの声に堪らず唇をかみしめる。

 しまった。冒険者としての憧れを夢見すぎて、肝心なことを見落としていた。


 なにも冒険者は憧れだけを追い求める者たちだけではない。

 他人の宝を横から奪い取り、騙し、その日の銭を稼ぐ冒険者の風上にも置けないクズだって存在するのだ。


 そして表向きは、ダンジョン内では全ての『自由行為』が許されている以上。

 たとえギルドが定めた封印指定域での失踪は『死亡』扱いされる。

 つまり――


「ようやく気付いたか? ここに来た時点でテメェ等は死んだとみなされても仕方がないんだよ!!」


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