17話―― 思わぬ副産物
そうして賑やかな昼食を終えた俺達は、第六層の入口にたどり着こうとしていた。
「この先を抜ければ、後は見晴らしのいい草原だ。そしたらそこで夕飯にしよーぜ」
「はぁ本当に大変だった。なんでわざわざブラックフォックスの群れをつつくんだよ」
「あん!? だってその方が楽しいだろうが」
なんて理由だ。
普通ダンジョン攻略は如何に危険を回避して目的の物を手に入れられるかに神経を注ぐ。
それなのにこいつらときたら出る獲物出る獲物みんな狩りつくしていくのだ。
こちとらお前たちについていくのがやっとだっていうのに。
「それにしてもポンコツの作ったポーションはすげぇな。あたしらが作ったのとは効き目が全然違う」
「そうよねいつもなら何回かに分けて飲まないとばてていたのに」
「元気モリモリっす!!」
「そりゃよかった。一応、素材の調合も俺の仕事だったからな。サポートできるところはしっかりサポートするさ」
どうやら飯時の後に作っておいたポーションは思いのほか好評らしい。
まぁ素材が豊富で作り放題というのもあるが、
ここらへんで何か活躍しておかないと本当に見捨てられかねない雰囲気を感じ取ったので、一応試しで作ってみたのだが、これが驚くほど高品質なのだ。
今までは何らかの下処理を加えてようやく『高品質』を保てたというのに。
低品質のポーションを作るつもりがあっさり最上品質のポーションができるのだ。
(自分でも驚くほど高品質なポーションだったな。素材の状態が新鮮だとここまで違うものなのか)
何気にに初ダンジョンの経験なので、ここまで効力に違いがあるとは思わなかった。
昼飯を食べてからの調子もいいし、なにより身体がダンジョンの環境に慣れてきたというのもあるかもしれない。
だがそれにしたって顕著に表れ過ぎだ。
(ここまで深く潜るのは初めての体験だけど、これは俺の固有スキルが反応しているのか?
フィーネ達の動きも明らかによくなっている気がするし、なにより身体の調子がいい)
いつも感じていた疲れが全く感じない。
これなら何とか第10層までたどり着けるかもしれない。
「まぁそれもどこまで食料が持つかによるけど……」
ダンジョン攻略と言えば、探索中もそれなりの期間がいるが一番不満が出やすいのが『食事』なのだ。
短期的に浅いところに潜って探索するのなら問題なのだが、問題は今回のように高難易度のクエストでダンジョンに『ダイブ』する場合だ。
マジックバックやアイテムボックスと言ったスキル持ちがいなければ持ち運べる物資の量は当然限られてくる。
だから準備したはずの食料が間に合わず魔物を狩ってしのぐという場合が往々にしてよくあることなのだが……
「まさか食料自体を持ってこないどころか
ポーションすら現地で作る羽目になるとは……綱渡りにもほどがあるな」
「うっせ―なポンコツ。いいんだよあたしらはそれだけ実力があるんだから。それよりマジックポーチの容量はまだあるんだろ? おかわりするくらいの食材はまだ残ってんだろーな」
「まだマジックバックにレッドベアの肉があるからそんな心配しなくたって大丈夫だよ。
そんなに気に入ったのかあれ?」
「気にいたってもんじゃねぇ。この世にあんな美味い食いもんがあるんだなってしょうげきをうけたくれーだよ。まさかあのレッドベアーがあそこまで上手くなるとは思わなかったわ」
「なら次は肉大盛りでいいか?」
「おう!!」
まぁ気に入ってくれたのなら何よりだが
料理人としてついていくだけの『足手まとい』の地位に甘んじるのは御免だ。
そんなのは冒険者じゃない。
実力がないなりにパーティーに貢献できなければ辿る結末は『あの時』と同じだ。
だから――




