確信
お久し振りです。
昼は結構な頻度で中庭の木の下にいる。二脚のイスとテーブルが設置されてあって、木のお陰で日差しは遮られて日焼けの心配もない。
私が入り浸っているからか、ここに来る生徒は少ない。単にわざわざ外で昼食を摂ろうと思わないのだろう。
持ってきたお弁当のサンドイッチを食べ終えると、もう一度手紙を読み返す。
エミリーからの手紙を読んで、確信した。やっぱり、リリーがこのゲームの主人公だ。
「噂通り隣国に主人公がいるなんて……」
一体これからのシナリオはどうなるのだろうか。
魔王を倒す……最後にはこのイベントがあるのだが。復活させない可能性もある……。もし……もし彼女が隣国にいたときに魔王が復活したなら……。
復活の場所や時からして、私しか倒せる人が居ないのでは無いのだろうか。先生は研究のために他国へと向かってしまうから……。
テーブルの上に日記帳を取り出して置いた。ここ最近は書いてなかったけど、今の状況を書いておく。
エミリーと共に攻略対象者の一人、イーサンは留学している。
リリーはヒロインで、隣国の魔法学校に在学している。魔法は光属性で、容姿は聖女様に似ている。
日記をつけたあと、鞄から便箋を取り出した。手紙の返事を書くためだ。
書き上げると、手元に封できるものが無いので魔法で封をする。鞄の中を整理しようと、鞄とその中のものを一旦テーブルに置いた。日記は最後に入れようと思い、イスの上にとりあえず置いた。鞄に綺麗に詰め込み終わると、学園内に設置されているポストに手紙を出しに行く。
そのとき鍵の掛かってない状態で、日記帳を置き忘れてしまっていた。
◇◇◇
昼食を食べようと中庭に来ていた。食堂にいることも多いがたまに外で食べようと思う日もある。
イスの上に忘れ物があった。持ち主に届けようと手に取る。
これは、日記帳?
表紙や裏表紙を見ても名前は書いてない。授業の板書を取るものだとしたら、必ず記名してあるはずだ。
どうしようか考えるため、とりあえずテーブルの上に置いた。
やはり、このままここに置いておくのも良くない。届けようと手に取ろうとしたら、風によってページが開いてしまった。
そして、目に入ってきた文字に驚き……そっと閉じた。
「……まさか……いやそんなことは。それより、乙女ゲーム……この学校に、他にもいるのか……」
職員室に届けに行こう。もとの場所になければ持ち主はきっと取りに来るはずだから。取りに来たら先生に名前を聞けば良い。直接会うことは避けたい。
日記を持ち、中庭を出ようとするとルファリエラに会った。
「あの殿下、それは」
少し顔色が悪い気がする。
「イスの上の落とし物。このあとの授業で必要かもしれないと思って、職員室に届けに行くところだ。もしかして、ルファリエラのものか?」
「はい、そうです! ありがとうございます」
彼女はいつから思い出したのだろうか。日付までは見ていなかったが、見たところ大事に扱われているが古くなっている。それに表紙の意匠も少し前のものだ。探していることを知っていて、わざと思い出したと言わないのだろうか。
とにかく、ルファリエラは思い出したのだ……。この日記で確信した。




