隣国の噂
私は週に一度、学園が休みの日に妃教育を受けるために王城へ向かう。
今日もその日なのだが、あっという間に時間は過ぎていく。
「今日はここまでに致しましょうか」
王妃様の言葉で今日の妃教育の時間は終了した。相変わらず王妃様直々に教えて頂いている。
「いつも通りこれからお茶にしましょう。……そこの二人、持ってきて下さる?」
「「かしこまりました」」
王妃様の侍女のうち二人はお茶の準備をするため部屋を退出した。
暫くするとお茶とお菓子が運ばれてきた。
王妃様と私の目の前にそれぞれティーカップが置かれた。それを手に取り紅茶を一口飲む。酸味からしてハイビスカスの紅茶だと思う。紅茶の味を楽しんでいると、王妃様が私に話し掛ける。
「そう言えばルファリエラさん。隣国の聖女の噂をご存知?」
聖女?学園では隣国の噂自体あまり耳にしないから聞いたことが無い。
「いえ、初めて聞きました。それはどんな噂でしょうか?」
「光属性の少女が隣国に居るみたいで。その子が聖女様にそれはもう似ているそうなの」
もしかして……。
「何てお名前の方ですか?」
「確か、名前はリリーと聞いたわ。平民の子のようだから家名が無かったはずよ」
リリー……昔見かけたときに聞こえたヒロインの名前と同じだ。
容姿が聖女様に似ていること、光属性を持ってること、平民ということから、噂になっている彼女は乙女ゲームの主人公なのだろう。しかし、何故隣国にいるのだろうか。本来ゲームでは、魔力を持っていることが判明し、今年から編入学してくる。シナリオはこれからどうなるのだろうか……。
その日、王城からフルール公爵邸に戻ると、昔書いていた日記を取り出して、久々にゲーム本編について考え込んでいた。




