新しい友達
いつもより少し長めです。
移動教室の際、一階にある校舎の裏側の窓で私は怪しい現場を目撃した。
言葉は聞き取れないが、女子生徒同士で言い合いになっているようだ。見たところ三人で一人をいじめているように見える。三人の方は制服のリボンの色からして二年生。一人の方は三つ編みおさげと言うことしか分からない。
物を投げつけると言う決定的瞬間を見たので、教科書をステア殿下に託して先に行ってて貰う。
「そこで何をしていらっしゃるのですか?」
いじめられていたのは私と同じ一年生のようだ。
「何ってそれは……。そもそも貴女は誰かしら? あ、もしかして平民? こんな子の取り巻きやっても意味ないわよ」
いや、話をそらさないで欲しい。私はれっきとした公爵令嬢なのに……。それにゲームじゃあルファリエラは処刑されるような悪役令嬢。しかも何で取り巻き!?どちらかと言うと取り巻きが居る側の人間のはずなのに。
「「そうですわ。取り巻きになるならこのルイーズ・コットン様のように聡明な方にするべきですわ。おーほほほ!」」
取り巻きのお二方は取り巻きの自覚を持ち、尚且つ息はぴったり。ある意味すごいな。
「取り巻きが助けに来て良かったですねエルコットさん。ひとまず今日のところはこれで失礼しますわ!」
二人の取り巻きを連れてルイーズさんは去っていった。
「大丈夫?」
「助けていただきありがとうございます!私はエミリー・エルコットと申します」
「どういたしまして。私はルファリエラ・フルールです」
「最近噂の黒髪の聖女様ですよね?」
黒髪の聖女ってこの前聞いた噂に髪色が追加されている。
「人違いです」
「いや、こんな私を助けてくれるなんてきっと聖女様です! そうに違い有りません!」
「あ、授業に遅れてしまいます! 早く行きましょう」
話していてもきりが無さそうなので、授業に遅れないためにも話をそらす。
「あぁ、ほんとだ。あと二分しかない! お礼はまた今度します聖女様! それでは失礼します!」
◇◇◇
また別の日。私が階段を上がっていると上から人が降ってきた。
咄嗟に身体強化の魔法を自分にかけて受け止める。魔法って便利だなーと思うよ。
「二度も助けてもらってすみません」
受け止めた相手はこの前会ったエミリーさんだった。
「エミリーさん。今回のもあの先輩方の仕業?」
「別件です……」
「色々ありそうね……もし良かったら話を聞きましょうか」
「お願いします。お昼でいいですか?」
「そうしましょう」
◇◇◇
お昼、ステア殿下には今日は別の人と食べると言って断っておいた。自分から断るなんてなんだか不思議だ。
前回のことも含め話を聞く。
「まず、先輩方の方から説明しますね。二年生に幼馴染みの婚約者がいるんですが、それはそれは容姿も性格もイケメンなんです」
のろけですか……。でも、イケメンに関しては私の婚約者が一番だと思う。客観的に見てもね。
「はぁ……」
思わず、「はぁ」なんて言ってしまったが仕方ない。
「あの先輩方は彼のことが好きらしく、弱小貴族の私は相応しくないといってきます。それで婚約を破棄しろと言われるのです」
「要するに先輩方の嫉妬からいじめが起きていると」
「そうなります」
「もう一つの、階段から突き落とされた件ですが、あれは同学年です」
「どこのクラス?」
「私と同じCです。こっちの原因は、私が勉強が出来るからですね」
のろけの次は自慢……。
「これも、『弱小貴族の癖に何でお前が!』だと思います。『あら、手が滑って』って言ってましたが、完全にわざとでした」
どちらもどう対策を取るべきか分からない……。
「取り敢えず一人でいることは避けた方が良いですね」
話は聞いたものの大した解決策が思い浮かばない。
「あの……私は友達居ないんです。聖女様……少しの間で良いので一緒に居てくれませんか? お願いします!」
「聖女って言うのをやめるなら良いけれど」
「じゃあ、ルファリエラ様と呼びますね」
「様もなし」
「様はつけさせてください!」
様付けは直らないようだけど、仲良くしてくれる子ゲットだ。




