フルーツ5
リンゴはあの後まっすぐに集合場所に向かった。
すでに2人はそこにおり、講習の話で盛り上がっていた。
2人はリンゴの存在に気付いてないようだったので、近づいて声をかけた。
「2人とも待った?」
「あ、おねえおかえりー。イチゴと話してたから気にしないでいいよ」
「そうそう、数分しか待ってないしね」
「そう、なら気にしないね。それでこの後どうする?」
「それならモンスター狩りに行かない?講習で教わったこと試したいから」
「俺もモンスター狩りしたいな」
ミカンとイチゴは戦闘をしたいらしいです。教わったことを実践で試したい気持ちはよく分かりますからね。私も採取したいのでその提案に乗りますか。
「じゃあ北門に行こうか!」
「おねえ待って、行く前に弓買いたい!」
「それと採掘でほしくなるピッケル」
「ミカンさん、私もピッケル欲しいので買ってください」
所持金ゼロのリンゴは何も買うことが出来ません。
対してミカンとイチゴは2000G残っています。
ここは頭を下げるべきところでしょう。さらに借金が増えますが買わないと後悔しそうですし。
「おねえがわたしに頭を下げるなんて、なんか複雑な気持ちだよ。それにもともと渡す予定だったから気にしなくていい」
「このゲーム誘ったのミカンだし、おねえがこのゲームを楽しめれれば俺たちも安心出来るしさ。とにかくおねえはやりたいようにすればいいよ」
なんでゲームだと優しいのでしょう。その気配りが何故家の手伝いにいかないのでしょう。むしろ私の気持ちの方が複雑ですよ。
「ありがとう!じゃあ買いに行こうか」
そう言った後、リンゴは歩き出そうとした時にミカンから提案を持ちかけられた。
「おねえは一旦ログアウトしていいよ。MPほとんどないみたいだし、買い物は一人でも出来るしね。今1時15分だから3時からまたやる事にしよう。その間にMPも回復するしね!イチゴもそれでいいね?」
「そうだな、そうするか!」
今のリンゴのMPはミカンの指摘された通り、枯渇寸前だった。講習の時がんばりすぎてMPをほとんど使い切っていたからだ。
リンゴは採取だけなら問題ないだろうと思い何も言わなかったが、せっかくミカンが気を遣って言ってくれたので、休憩する事になりました。
「先に戻ってるから!」
そう言い残し、リンゴは1人ログアウトした。
林檎は戻ってきた。
3時まで時間があるので、今のうちに家事を済ませておくことにした。
昨日の内に晩御飯の材料は買って置いたので、ある程度下準備をしておけば調理が早く済みますしね。
では、お鍋に油をひいて鳥のひき肉を炒めます。
ある程度火が通ったらじゃがいも、にんじん、たまねぎを入れて一緒に炒めます。
水、醤油、砂糖、みりん、お酒を混ぜた汁を入れ強火で煮立たせ灰汁をとりながら焦げないように注意する。
少し汁が残ってる位が私の好みなので、このくらいで火を消しましょう。
後はお米を炊きます。そうですね、炊き上がりを18時30分にセットしますか。
お味噌汁の具材はシンプルに豆腐とワカメにしますか。お味噌汁はすぐ出来るので後で作りましょう。
晩御飯の準備をしていると2人はすでに戻ってきていたらしく、台所に来て声を掛けてきた。
料理の下準備もほとんど終わったので、2人には居間にいくように命じ、台所の片付けを済ませた後、林檎も居間に向かった。
「2人ともおまたせー」
「ああ、うん、おつかれー」
「今2人で講習の話の続きをしてたんだ!あっちでは途中までしか話せなかったからね。おねえもまざる?」
「そうね、でもその前に紅茶を淹れるから2人で話してて」
「私たちの分もお願い」
「少しは自分でやりなさいよ」
林檎はそういいつつも、ちゃんと3人分の紅茶とお菓子を用意した。
お茶をして3時まで時間をつぶす事にした林檎は、2人の会話を聞きながらゆっくりとした時間を過ごした。
2人の講習内容はこんな感じだったらしい
蜜柑は戦士職で刀の講習を受けた。まずはモンスターとの立ち位置と間合いを教わったらしい。
その後は刀の特性を説明され、利点と欠点を教わり、支給された模造刀で講習者同士実際に斬りあったらしいです。最後に講習担当の人にみんなで斬りかかってボコボコにやられて終わったとか。
一吾は魔法使いで攻撃魔法の講習を受けた。まず、1回魔法を行使するように言われ、講習者は皆魔法を放った。その後講師の人は魔法の行使の仕方をレクチャーした。攻撃魔法ではじめに覚えている、ファイアボールとウォーターボールの性質を教わり、魔法を発動させてから当てるまでのやり方を教わった。
一般的に魔法使いは杖を持っているイメージだが、このゲームでは杖がなくても魔法は行使出来る。すべての魔法は1度一箇所(例えば手のひらの上)に魔力を溜め、当てたい対象に溜めた魔力を当てるのが、魔法の基本である。回復魔法や強化魔法もやり方は一緒で、溜めた魔力の性質が違うだけなんだそうです。杖などの道具を使って魔力を溜める場合、例えば杖の先に魔力を集めるためには、杖の先に魔力が溜まるイメージを持ちながら魔法を発動すれば出来る。弓とかなら矢の先端に魔力を溜めて、矢と同時に使う事も可能らしいが、攻撃魔法だと矢が魔法に耐えられないとかで、途中で矢がなくなる。ただ、メリットもあって、普通に魔法をとばすより矢に魔力をまとわせた魔法のほうが着弾が早い。剣などでも可能だがデメリットとして、剣の耐久値の低下と自身の魔法による自爆ダメージが発生するので注意が必要らしい。味方からの攻撃は防げても自分の攻撃は防げないようになっているそうです。
お菓子のチョコクッキーと紅茶を飲みながら、2人の会話を聞いていた林檎は、魔法の奥深さに感心し、自身が取得した強化魔法をどのようにつかえばいいのか思案してみたが、取得する際そこまで深く考えずに決めたので、結局何も浮かばなかった。
後で一吾に魔法のつかい方を教えてもらうことにして、とりあえず魔法の事は後で考えることにした。
2人はピッケルと弓の話もしていた。
ピッケルは値段が200Gで10回掘る事の出来る、使い捨てアイテムのようだ。
ミカンはそのピッケルを9個買ったらしく、ミカンの残金が200Gしか残ってないと笑いながら言っていた。
イチゴが買った弓は、冒険者の弓より性能が1ランク高い弓を買ったらしく、1000Gで購入して、その他に1本10Gの矢を50本買ったそうだ。弓と合わせて1500G。イチゴの残金は500Gになり、3人合わせても700Gしかありません。ポーションを買ってないのでダメージを受けたらピンチですね。こうなったらなるようになれです。
用意した紅茶とお菓子がなくなると、時間も大分経っており、3時までもう少しだった。
3人はトイレなどを済まし、少し早いが再びログインした。
3人はパーティーを組み、北門に行き門番の人に身分証を見せ、やっとルデラの町から外に出るのだった。
門を潜り抜けるとそこには草原が広がっていた。
そこにはたくさんのプレイヤーがおり、所々で戦闘をしているプレイヤーもいた。
サービス初日ということもあり、始まりの町周辺はプレイヤーでごった返していたが、フィールドもその分広大に設定されているので、モンスターの奪い合いは発生していないらしいです。
3人は採取をすることにし、襲って来たモンスターだけを倒すことにした。
採取をする事になったのはいいが、ここで1つ問題が発生した。
2人が採取出来るものが分からないと言いだしたのだ。
そしてリンゴはあることを思い出した。
2人がスキル鑑定眼を取っていない事に。
でも大丈夫。この解決策は判明しており、パーティーを組んだら情報が共有される仕組みになっているので、リンゴが片っ端から鑑定していけば問題は解決します。
鑑定にはMPの消費がないのでいくらでも使用できます。でも流石に1人だと大変なので、2人には後で取得しておくように言っておきました。
スキル取得にはスキルポイントが5必要で、スキルポイントを得るには、1つのスキルがレベルが5上がるごとに1もらえるシステムになっている。2人とも取得しようと思えば出来ないこともないが、戦闘ではお荷物のリンゴなので、2人にはモンスターの気配に気を配る役をしてもらうことにし、リンゴは採取出来そうな物を片っ端から鑑定していくことにした。
採取物は誰かが採るとなくなり、一定時間経つと出現してまた採取出来るようになる。
北門の周りにはプレイヤーが多い所為か、採取出来そうな所が見つからなかった。
ここにいても仕方がないので、3人は城壁に沿って西に進みながら森の方へ歩いた。
所々雑草が生えている所があったので近くによって鑑定してみるが、いずれも不発に終わった。
やはりこの近辺は採り尽くされたのだろう。まっていればそのうち採取できるようになるが、いつ出現するか分からないので、待つより探すほうがいいだろうと採取場所を探していたら、50M位前方で何かが出現するのが見えた。
「ねえ、あれモンスターだよね?」
「間違いない。このまま初戦闘いっちゃう?」
ミカンとイチゴはモンスターを見つけると、待ってましたといわんばかりに目をキラキラ輝かせ、リンゴの言葉をまった。
2人の観察眼の効果でモンスターの情報がリンゴにも表記された。
ベビーウルフ LV2
名前とレベルが表記された。観察眼のレベルが上がればもっと詳しい情報が分かるようになる。
初戦闘でLV2のモンスター相手は流石に厳しい戦いになることでしょう。
武器を持たない、攻撃魔法を使えないリンゴは、戦闘に役にたつどころか迷惑をかけるだけのいらない子なので、距離をとりつつ逃げるのに徹することにした。
「2人とも気をつけるのよ。無理はしないように」
「おねえの許可もおりたし、行くかミカン!」
「私が先手を討つ!」
ミカンは自身に強化魔法の攻撃強化を発動した。
ベビーウルフは3人に気付き、ものすごい勢いで走ってきた。
イチゴは弓に矢をつがえ、弓を引き狙いを定めた。
ミカンは左手で鞘を持ち、右手で刀を握りベビーウルフが近づくのを待った。
だんだんと近づいてくる敵に神経を集中させ、講習で習った刀の間合いを意識した。
ベビーウルフが間合いに入ったと思ったミカンは、鞘におさめていた刀を右手で強く握り締め、刀を抜きながら横に一閃した。
「なっ!」
ミカンの攻撃を読んでいたかのように、ベビーウルフは大きくジャンプし刀を避けた。
その光景を見ていたイチゴは、動揺してしまったからか、狙いがずれて矢があらぬ方へ飛んでしまった。
イチゴはすかさず2射目を撃つべく矢をつがえようとしたが、ベビーウルフはミカンを無視し、イチゴのすぐそばまで来ていた。
イチゴは回避を優先し大きく横に走ったのだが、ベビーウルフはイチゴまでも無視し、リンゴの方へ走って行った。
「ちょっ、なんでこっちくるの」
リンゴはまさかこちらに来るとは思ってなかったので、逃げることも出来ず思いっきりたいあたりされた。
ベビーウルフはリンゴに覆いかぶさると、鋭い牙でリンゴに噛み付いてきた。
リンゴはとっさに右手を前に出し、涎を垂らしながら大きく口の開いたベビーウルフの顔にパンチが当たった。
一瞬怯んだが、再び口を大きく開けて噛み付こうとしていた。
先程は反射的に腕が動いて殴りつける事が出来たが、今回は左手で顔を庇うことで精一杯だった。
その結果左手は噛まれてしまい、どんどんHPが減っていった。
「おねえから離れろ!ファイアボール」
イチゴの放った魔法がベビーウルフに当たり、その反動で吹っ飛んだ。
ミカンはすかさず接近し、ベビーウルフが立て直す前に刀で斬りつけた。それでもゲージが少し残っていた。
それを見てイチゴも接近すると、超至近距離から矢を放ち止めを刺した。ベビーウルフのHPゲージがなくなると、光の粒子となって消え、3人の初討伐は終わった。
ミカンとイチゴは消えたのを確認すると、リンゴのもとへとかけつけて謝ってきた。
「おねえごめん!まさか私達を無視するなんて思わなくて。でもまずは、ヒール!」
ミカンがリンゴにヒールを放った。これでリンゴのHPは約7割まで回復した。
「私も油断してたし、気にしないで!今回は良い教訓になったかな。でも初戦闘でこれはかなりしんどかったよ」
実際リンゴはかなり危なかった。たいあたりと噛み付きだけでHPゲージが半分切っていた。
攻撃手段がないのも問題だが、防御手段もないのは大問題だと、この戦闘で痛感した。
最低でもどちらかはないとまずいです。
「おねえ、とりあえずこの杖あげるよ!素手よりはマシでしょ」
イチゴは初期装備の冒険者の杖をリンゴに渡した。
イチゴはすでに弓をメインに使っているので、リンゴはありがたく頂戴した。
今回のベビーウルフの討伐報酬は、3人ともベビーウルフの毛皮1枚だった。
戦闘後、辺りを見渡すと、所々に採取ポイントが発生しておりいくつか薬草を入手出来た。
リンゴは採取した薬草の2つを食べ、20回復した後さらにミカンにヒールをしてもらい、HPを全快にした。
薬草だけあって、味は苦かった。
そしてそのまま探索を進めた。
1話で弓と杖持ち魔法は相性悪いのでは?という意見がありましたが
杖がなくても魔法は使えるという設定をここで書かせていただきました
次も不定期更新です あと戦闘描写難しい




