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趣味は物づくり  作者: ミキミッキ
6/6

フルーツ6

 探索を続けた3人は、その後も採取しながら森の方へと進んだ。

 ベビーウルフとの戦闘後、数回モンスターと戦闘したが、デブチョウとスライムの2種類しか現れなかったので、楽に倒せることが出来ていた。

 デブチョウは鶏を太らせただけのモンスターで、飛び跳ねた後必死に羽を羽ばたかせ、プレイヤーの真上にきたらのしかかってくるのだが、動きは遅くこちらが逃げ回ると勝手に疲れるので、戦い方が分かると雑魚モンスターだった。

 スライムもたいあたりして来るだけなのでたいして強くなかった。

 スライムを倒したことでガラス玉が手に入り、やっと瓶が手に入る。後は水と生産出来るスペースがほしい所ですが、もう少しガラス玉を確保して置きたいので、スライムさんには遠慮なく来てもらいたいです。

 デブチョウのドロップアイテムは肉と卵と羽根からランダムドロップだった。ここで初めて食材アイテムのご登場です。鶏肉と卵と来たら、後はご飯を入手して親子丼でも作ってみんなで食べたい。

 ここでは何かを食べる事でステータス向上などの恩恵を得られたりするが、空腹度システムがないので食べる事を無理にしなくても問題なかった。それにゲーム序盤ということもあり、ステータス上昇は微々たるもので、目に見えて強くなったという実感をもてなかったプレイヤーが大半だった。料理を食べるより、武器や防具、ポーションなどのアイテムを買うことの方が大事な為、ほとんどのプレイヤーは食べていないが、ゲームの中でも味覚は再現されているので、一部の料理好きはあっちとこっちの味の違いを比べたりして楽しんでいるプレイヤーもいた。ここまでの説明で分かるとは思いますが、料理スキルは趣味スキルになっています。

 その後も出現するモンスターはデブチョウとスライムばかりで、苦労することなく倒しながら採取していった。

 採取は今のところ薬草しか採れていませんが、いくらあっても足りないのでこのまま採取し続けた。

 しばらくし、森の手前まで来た所で3人は何が起きてもいいように、ミカンの回復魔法と薬草で体力を全快にしてから、恐る恐る慎重になりながら森に足を踏み入れた。

 森の中は思っていたより視界は悪くなかった。

 木はたくさん生えていたが、木と木の間隔が結構あり足元も歩きにくくなるような障害物もなく、苦労せず探索できていた。

 たまに地面が採取可能な所があったので採取してみると、腐葉土が採取出来た。森だからだろう。

 スイカさんは欲しがるだろうから、今度お会いしたら提供して農業の役に立ててもらいたいです。

 他に採取出来たのは木の枝。これは矢の材料でしょう。あと胡桃とシメジ。この2つは食材ですね。後は毒消し草と毒キノコです。

 毒消し草はうれしいです。解毒ポーションの素材であるのは間違いないでしょうから、今後のためにも出来るだけ採取しておきたいです。

 毒キノコは今の所使い道が不明なので後で調べることにします。

 

 3人が採取していると、後ろからなにか近づいてくる生き物がいたが、誰も気付いていなく黙々と採取していた。

 そして最後尾にいたリンゴが不意を突かれて襲われた。


「なっ!なに?ちょっとこれなんなの?離しなさいよ!」


「おねえどうかした?」


「敵襲か!」


 リンゴの悲鳴?とも取れるような叫び声を聞き、何事かと思いミカンとイチゴはリンゴの方に顔を向けた。そこには触手のように枝を足に巻きつけられたリンゴの姿があった。

 リンゴは足に巻きついた枝を剥がそうと試みるが、絡まっていて素手ではなんとも出来ない。

 その様子を見ていた枝の持ち主は、リンゴに巻きつかせた枝を手元に引き寄せた。

 その反動で、リンゴは転倒させられ、顔を地面にたたきつけられそのまま引きずられた。

 その一部始終を見ていたミカンとイチゴは、姉の無残に引きずられる姿を見て、ようやくモンスターに襲い掛かるのだった。

 2人の観察眼によると、モンスターの名前はパペットツリー。木の人形らしいです。

 2本の枝を蔓のように動かし攻撃してくるみたいです。

 ミカンはまず姉を助けるべく、リンゴの元へ駆け寄り、刀で巻きついた枝を切断した。

 イチゴはパペットツリーの方に行き、少し離れたところからファイアボールを放って攻撃した。

 木だけあってファイアボールは効果が絶大だったらしく、一発で8割も削れた。

 ミカンに助けられたリンゴは、絡まった枝を取ると立ち上がり、ものすごい剣幕でパペットツリーに走って行った。


「なにしてくれてんのよ!」


 リンゴはイチゴからもらった冒険者の杖でパペットツリーを何度も叩きまくった。

 こかされた事で頭にきたのだろう。姉の様子を2人は気の毒そうな顔でその様子を眺めていた。そして姉によって止めをさされたパペットツリーは光の粒子となって消えたが、気が治まらないリンゴはその後他のパペットツリーを見つけては、仕返しと言わんばかりにボコボコに杖で叩きまくって倒していった。

 パペットツリーの枝は伸縮するわけではなかったみたいで、ミカンが刀で枝をバッサバッサ斬ると、攻撃手段を失ったパペットツリーは、サンドバックのようにただリンゴに殴られ続けていた。

 リンゴの気が治まるまで2人はサポートに徹した。そして5体目を倒した所でようやく落ち着きを取り戻した。

 我に返ったリンゴは、自分の痴態に気付き恥ずかしさのあまり、その場から逃げ出したかったが、2人の手前、羞恥心を押し殺しながらも平静を装った。

 2人からは無理しているのがバレバレだったが、そんな姉の姿を何も言わず黙って見ていた。

 そんな場の雰囲気を、微かに聞こえる水の流れる音によって変えてくれた。

 3人は音のする方へ歩みだした。

 行き着いた場所は、小川が流れている安全エリアだった。

 その場所だけ木々がなく妙に拓けていて、水の流れる音がここは安全ですよと囁いているように聞こえた気がした。

 ここには他のプレイヤーも何人か居て休憩しているようだった。

 3人も休憩することにし川の近くで腰を下ろした。


「ふぅー、疲れた」


「やっと休憩出来るね」


 イチゴは大の字になりながら寝そべり、その隣にミカンが座った。リンゴは2人に向き合う形で座り、しばらく休憩する事にした。

 リンゴはMPをほとんど消費していなかったが、ミカンとイチゴは攻撃魔法や回復魔法を使っていたのですでに半分を切っていた。


「2人はしばらく休んで!私はその間生産活動してるから!」


 リンゴは2人にこう言うと、2人も了承してくれた。

 本当は生産作業を見てみたかったらしく、休憩はそのついでということに。

 リンゴも作業を見てみたいという気持ちはよく分かるので、そのまま2人の前で生産する事にした。


 まずはポーションからいきますか。

 職業を錬金術師にし、アイテムから、初心者用簡易錬金セットとスライムから入手したガラス玉計18個を取り出した。

 その中から錬金釜を取り出し、蓋を開けガラス玉を1つ入れて蓋をした。

 リンゴの錬金のレベルは3なので、本当ならば簡易錬金セットを使っても、ガラス玉を2個入れて瓶を2本作成出来るのだが、この簡易錬金セットを使うのが初めてだったので、最初は1個からやる事にした。

 準備が整ったので、メニューからポーション瓶のレシピを指定しスキルを使用した。

 錬金釜の蓋を開けて中から取り出すと、そこにはちゃんとポーション瓶があった。


「おお!なんかすげぇ」


「これなら私でも出来そう!」


 生産作業を見ていた2人の感想はそれぞれ違った。

 かたや驚きによる感心。

 かたや興味による関心。

 リンゴとしては2人に生産の良さを知ってもらえた良い機会になった。


「こんな簡単に出来るんだ…。こんなあっさり出来るなら不遇扱いされなくてもいいような気がするけど……」


 ミカンはこう言ったがやはり生産職は厳しいとリンゴは痛感していた。

 今に至るまでお金は2人に借りてなんとかなっている感じだし、素材も1人では集めることは出来なかっただろう。

 この話題を話すにもリンゴは今修行中のような者なので、下手のことは言わない事にし、話題を逸らすべく瓶の作成を続けた。

 あの後2本同時に作ってみたが、問題なく作ることが出来たので、ガラス玉をすべて瓶に変えた。

 途中錬金のレベルが上がったので、最後は3個同時に作成し、見事成功して瓶の作成は終わった。

 次にポーションの中身の作成です。

 忘れずに職業を薬師に変更し、錬金セットをしまうと替わりに初心者用簡易調合セットと薬草9枚を取り出した。

 錬金同様調合もまずは薬草1枚から始めた。

 その前に水の確保ですね。

 小川の水を鑑定してみると食材アイテムきれいな水と出た。使えなかったらどうしようかと思いましたが良かったです。それに講習で使用した水より品質が良いみたいで驚きました。

 容器に薬草を1枚入れすり潰し、小川から汲んだ水を200ml入れかき混ぜた。

 最後にレシピからポーション作成を選びスキルを使用した。

 調合でもレシピが残っていて錬金同様使用出来た。テトラさんに説明されたのだろうけど、調合に集中しすぎて聞き逃していたみたいです。テトラさんごめんなさい。

 調合結果は成功です。問題なく造る事が出来ました。

 先ほど作った瓶に入れポーションの完成!

 出来上がったポーションを2人に見せた。


「これが私の造ったポーションだよ」


「流石おねえ!普通に出来ているのにびっくりだよ!」


「俺は驚かないけどね。これで各自ポーションが持てるし良い感じじゃん」


 残りの薬草8枚も4回の調合でやってしまい、完成品であるポーションを全部で18本作成した。

 出来たポーションを6本ずつ分配しようとした所に、5人のプレイヤーがリンゴ達に近づいて来た。

 

「はじめまして、俺の名前はオレンジ。もしかしてポーション造れたりするのかな?もしよければ材料提供するから造ってもらえないだろうか?」


 5人の中の1人、オレンジと名乗る男がポーション作成の依頼をして来た。

 

「はじめまして、私の名前はリンゴといいます。それでですね、ポーションは造る事は出来ます。ですが今の私のレベルでは依頼を受けることは出来ません。ごめんなさい」

 

 リンゴも失礼のないように名乗り返した後、依頼を断った。


「理由をお伺いしてもいいですか?」


 オレンジと名乗る男はそう尋ねてきた。


「そうですね、理由の1つ目は私のMPが十分にない事です。2つ目は未熟なので失敗するかも知れない為です。3つ目がここでその依頼を受けると、ここに居るすべてのプレイヤーに依頼されかねないですし、オレンジさん達にだけ造る事はやりたくありません。なので、先程の依頼は遠慮させていただきます。ごめんなさい」


「ちょっとおねえ!何断ってるのさ。おねえの言ってる事も分かるけど、こんな機会逃したら駄目だよ」


「そうそう。MPなら造った後ログアウトして夕食後にでも再ログインすればいいんだし、失敗してもさっきおねえが造ったポーションを渡せばいいんだよ。後はプレイヤー間の交流は大事にしないと駄目だよおねえ!」


 リンゴが丁寧に断ると、それを聞いていたミカンとイチゴが猛反発して来た。


「いやいや、無理を言っているのはこっちだからね。すまなかったね」


「いいえ、その依頼は受けます。でもMPの問題もあるので個数制限はつけさせて下さい。


 オレンジが迷惑を掛けてすまなかったと謝ってきたが、それをさえぎる様にミカンが話を進めた。

 こうなったら何をいっても聞いてくれそうになかったので、リンゴはあきらめて依頼を受けることにした。

 

「2人がこう言っているので、ポーション造りますよ」


「なんだかすまないね。ちゃんとお礼はするつもりだから」


 とりあえずリンゴは自身のMPと相談した。

 先程錬金を9回、調合を5回やったので、MPの消費は70になる。

 少しずつMPが回復していても、出来てあと6回だろう。

 先程の生産で調合もレベルアップした。

 錬金も調合もレベル4なので、3つずつやれば錬金4回と調合2回で12本ポーションが出来る計算です。

 

「多分ですけど12本ポーション出来ます。1本造るのにガラス玉1つと薬草半分必要になるので、最低でもその分の素材は欲しいです」


「それだけで造れるのか?そうだな、それならガラス玉50と薬草25は渡しておこう。ガラス玉は今こちらが提供出来る最大の数で、ポーションとの差額をさらに支払い、その上で何か提供というかたちでどうだろうか?」


「こちらはそれでかまいません。とりあえず造ってますね」


 条件は2人にまかせて、リンゴは生産に取り掛かった。

 失敗しないように慎重にやった。結果問題なく12本出来た。MPほとんどなくなったけど。


「おねえ、さっきの条件で決まったからよろしく。欲しい素材とかある?」


「それじゃあ、ゴムの木の木材が欲しいかな」


「OK!差額の2100Gとゴムの木の木材を5本つけてトレードと」


 ガラス玉は1つ20Gらしいです。薬草も20Gでポーションが300Gなので差額が2100G

 ゴムの木の木材はパペットツリーのドロップ品で、リンゴが暴れていた時に3人も入手していた。

 素材ならなんでもよかったのですが、5体倒してゴムの木の木材は3本しか入手出来なかったので、もらうことにしました。


「今回はありがとう!よかったらフレンド登録しないか?」


 同じフルーツネームなので親近感もあり、お互い交換しあった。他の4人とも交換した。

 名前を尋ねると、皆フルーツネームだった。

 リーダーぽいのがオレンジさんで大剣を持った戦士。

 片手剣と小楯をもった同じく戦士で男のキウイさん。

 武器は持ってないが多分武道家の男でパッションさん。

 杖を持った女性の治癒師でピーチさん。

 同じく杖を持った女性のこちらは魔法使いでグレープさん。


 お互い遅い自己紹介だったが、今後も良いお付き合いが出来そうな気がした。

 そして5人と別れた後、MP回復の為そのまま安全エリアでログアウトした。

 


次も不定期です。

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