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核戦争後の生業  作者: 橘花
包囲網
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14/16

反撃開始

-集落-


「用意はいいか?」


出撃する部隊がエンジンを掛けて待機している。その部隊の前に元自衛官、佐橋大尉の乗る90式戦車が出てきて言った。


「いよいよ攻撃開始だ。今まで、多くの集落が奴等によって苦しめられてきた。だが、それも今日までだ。我々は戦い、自由を得る。その為の礎となる。総員、出撃!!」


そう言うと、90式戦車は走り始める。それに続いて、集落連合軍も出発する。砂塵の巻き上げる為、車外に出ている者はゴーグルが必須だった。



「佐橋大尉も、熱い演説をしてくれますね」


操縦席に座って、両手で虎を手懐けている中島は言ってくる。


「だな。まあ、士気上げには丁度いいんじゃないか」


俺はそう答えて、周りも見渡す。左側には大和さんが戦車長を務める五式中戦車、右側にはダッチ爺さんが車長を務める装輪戦車が居る。


「周りも、士気が高そうだけど。それでも敵は大軍なんでしょ?」


「分からないけど。前回の集落戦で敵は命令だけを実行していた。臨機応変な対応が取れないから、対戦車壕に次々と落ちたんだ。大軍ほど、それが大きく出るからね」


素人が大軍を指揮できるほど、甘くは無い。数が増えれば、同時に弱点も増えるということだ。


「実戦経験慣れしてないってことね。そりゃあ、この世界で活躍できる人間といったら、軍務経験のある人間が殆どでしょうけど」


「同時に知性も必要だ。古代の名将は今と違って軍を指揮するだけでなく、自ら作戦を立てる必要があった。今の様に作戦は作戦参謀に任せられる時代ではなかったからな。今だってそうだ。専門家が居なければ自分で立てるしかないんだよ」


両側を谷に囲まれた地域に入った。谷の間の道を抜けるしかない


「ここはかつて海の中だったんだな。高さはビル3階建て位って所だな」


大体9m位の高さの谷が両側にある。幅はそれなりなので、部隊は陣形を崩さずに突入できた。


『こちら先頭部隊。この谷を越せば、第三装甲大隊司令部は直ぐだ。敵の防衛線も、ここにあると考えろ』


佐橋大尉から無線が入った。それを聞くなり、各部隊で密集隊形を取る。俺達は楔形陣形を取るように指示を出した。横隊から左右の車両が速度を少し落として逆V字隊形となった。


「ちとこりゃあ、予想外って奴だな」


俺は急いで砲塔内に入ってハッチを閉じた。その瞬間、砲弾が着弾する。


「対戦車榴弾だな。狙っているぞ、早く抜けろ」


次々に着弾してくる。前方を走る集落連合の戦車に直撃弾があり、炎上した。中島は炎上する戦車を避けて前進するが、砲弾の雨は未だ止まない


『急いで走り抜けるぞ。この先の広場に敵が待ち構えている可能性が大だ。気をつけながらも急げ』


先頭を走る90式戦車は速度を上げて走る。


「中島、俺達も急げ」


俺は中島にそう指示を出し、スコープで外の様子を伺った。後続は混乱している車両が見受けられるが、直撃弾を喰らった車両はまだ少なかった。ある程度の広さが助けてくれたのだ


「広場が見えた。加速しろ!!」


「分かってるわよ!!」


エンジンが唸りを上げる。砲撃の雨の中を走りぬけ、広場に出た。しかし、そこは地獄だった




「敵車両確認、攻撃開始」


谷の上に待機している多数の戦車が、広場への入り口から出て来た戦車に向かって一斉に攻撃を開始した。自走砲と違って間接射撃ではなく、直接射撃なので命中率も高い。入った時点で何台か戦車が遣られてしまった。


「撃ち続けろ。ここで食い止める」


原はスターリン2に乗って指示を出す。その指示を受けて戦車と対戦車歩兵が出てくる戦車目掛けて攻撃する





虎口こぐちに嵌ったぞ」


俺はスコープで車外の様子を見ながら言う。広場に出て、他の車両の焦りは増した。無線からは佐橋大尉が『落ち着け!!』と叫んでいるが、聞こえていないようである。


「僚車は無事だが、このままじゃあ遣られる」


「谷を撃てば?。崩れれば、敵を叩けるでしょう」


「そうか。それに、連中の所に上がれる場所も見つけた」


俺はそう言って無線を受信から発信に切り替えた。


「聞こえている戦車は敵の居る谷に向かって砲撃してください。そうすれば谷自身を崩して反撃できます」


その指示に従い、砲撃を開始する戦車があった。佐橋大尉の乗る90式戦車がT34の下の崖目掛けて砲撃。それによって脆くなった崖は崩落し、T34と周りに居た兵士数人が落ちてきた。


「流石に実戦慣れしているだけはある」


そう言うと五式中戦車も攻撃する。しかし、装輪戦車は射線が取れずに砲撃を断念した。


「良し、上がれる車両は付いて来てください」


そう無線で指示を出し、中島にある場所を示す。他よりも斜面の角度が浅く、上がれるとしたら唯一の場所と思われる場所目指して走り出す。


「8台付いて来ています。残りは先ほどの指示を実行していますね」


「だな。さて、反撃開始だ」


ティーガーは斜面に付き、上へと登って行くんだった。

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