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拝啓 死んでしまった悪役令嬢様  作者: 七月なのか


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7 市場の店主

いらっしゃい、お兄さん!お、色男だねえ!恋人にプレゼントかい?おお、いいねえ、お兄さんが見ているの、うちでいま一番の人気商品だよ!

そろそろ逢魔が時だからね、店じまいさ

今日最後のお客だ!買ってくれるならまけとくよ!


そうだよ、ここは聖女様の商品を売ってるんだ。聖女様の横顔を刻んだレターグッズも女性に人気だよ。彼女へのお土産にする男性も多いんだ。ああ、イメージカラーである白を基調にした文具セットなんかも、ちょっと高いけどね、なかなかおすすめだ。


この店は教会の正面だからね。ここいらでは一番神のご加護を受けていると言ってもいいだろう。

そうそう、私はすごい場面を見たんだ。聖女様が覚醒されたってときも、ここで店をやってたんだよ。


あれははっきり覚えているよ

丁度時間は今くらいでね、その日の夕焼けは、目に焼きつくような赤さでね。空の雲も大きくて、なんとなくそわそわするような日だったんだ。


そんな日に口にするのも恐ろしい悪女、シャルロッテが刺されたんだよ


大きな声が聞こえてね

教会の方から、女の声だったね

たぶん悪女の声だったんだろうね


なんだなんだと見たら教会の入り口、その階段の上でね。ちょうど悪女が倒れるところだった。


沢山血が流れていて、階段から小川みたいに血が流れていたよ


あのままじゃいけないと思ったんだけどね、あまりの恐ろしさに……誰も近づこうとしなかった。

時間が止まったようにも見えたね


ナイフを持った男がふらふらしてね。悪女の血に足を滑らせたのか、後ろ向きに落ちていったよ。

悪女の後ろにいた聖女様が、すぐに悪女に走り寄ってね

きっと死んでいく人間が可哀そうだったんだろうね

神聖力を使われたんだよ

目を焼くような、眩しい白い光だった。

神々しくてとてもじゃないけど直視できなかったし近づけなかったよ

それくらいすごかったんだ


しばらくしたら悪女は立ち上がってね。リリーベル様が寄り添って、二人で教会の中に入って行ったよ。


刺した男は死んじまったからわからねえけど、まあ悪女の男だったんじゃないかってみんな言ってるよ

痴情のもつれってやつかねえ

悪女も顔は綺麗だって話だったから。

あの頃は、シャルロッテ様の婚約記念品もよく売れたんだけどねえ。

人の評判ってのは、変わるもんだよ。


お、どれ買うか決まったかい?聖女リリーベル様が神々しくシャルロッテを癒しているところのポストカードもあるよ……これこれ。買っていくかい?


あん? こっち? そっちはなあ……まあ、買ってくれるんなら売るがね。ああ、悪女が王子様とご婚約された際の記念品さ。


品はいいんだが、値段が高くて余ってたんだ。お兄さん、隣国の人か! じゃあ、あんまり関係ないかね。ちょっとまけとくよ、品はいいよ、カメオだからね。はい、毎度あり。


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