2 パーティー会場にて、幼年学校のクラスメイト
あら・・・、あなた初めてお会いする方ね。そう、隣国からいらしたのね。内戦が終結したと伺っていますわ。
パーティーで踊りすぎて疲れてしまったの。よかったら少しテラスにでも出ませんか・・・?隣国のお話をしてくださらない・・・?
ふふ、夜風が気持ちいいですね
隣国の方はみんなあなたみたいに美しいの?
まあ、口がうまいのね
さっきまで何を話していたか?ふふ、我が国の有名な悪女について噂していたのよ。みんなこの話が大好きなの。
そう、そうよ。隣国の方までしっているのね。みんなでシャルロッテ様の話をしているわ。彼女はいつだって社交界の話題だもの。有名人よ。
私も・・・そうね、幼年学校で同じクラスだったから少しだけ彼女について知っているわ。みんなが噂していることは大体あっていて、彼女は頭がおかしかったの。
幼年学校には、一人だけ、年の近い従者を連れてきてもいいの。未来の従者になる子だから、みんなそれなりに教育を受けた子を連れてくるのよ。でも彼女は、同い年くらいの女の子を連れてきていたわ。
彼女の従者は、明らかにそういった子ではなかった。なんとなく小汚いし、教育だってほとんど受けていないような所作だった。
侯爵家が、教育もできないような家のはずないでしょう?
彼女、笑いものにするために連れてきていたのよ。最低だと思うわ。
実際、恐ろしい出来事もあったわ。
ある時、彼女の運動着がなくなってしまったの。従者の女の子も使って探させていたのだけれど、見つかった運動着は汚れていたわ。
運動の時間があったから、自分のものと間違えて持って行った子がいたのよ。そんな間違い、誰にでも起こるでしょう?
でも、彼女は許さなかった。自分の運動着を汚されたことが、よほど気に入らなかったのでしょうね。
従者の女の子が、彼女の怒りに怯えて震えながら、運動着を持ってきたの。すると彼女は、その子を怒鳴りつけたのよ。
その子は何も悪くないのに。ありえないでしょう?
シャルロッテ様の運動着を汚してしまった子も、謝罪するために一緒にいたわ。従者の女の子の後ろにいたのだけれど――突然、その子の肩が切り裂かれたの。
ナイフで切ったような傷だったわ。でも、誰もナイフなんて持っていなかった。
彼女が大きな声を出した途端よ。
恐ろしかったわ。彼女に歯向かったら、次は私かもしれないって思ったもの。
きっと、今でも恐ろしい力を持っているに違いないわ。
だって、実際に彼女の家から子供が一人、消えているのよ。そう。従者として来ていた、あの女の子よ。
悪魔への生贄にしたに違いないわ。
信じられない?
でも、本当のことなんだから。私、人を使ってまで調べたのよ。
でも、すぐに、彼女のそんな恐ろしい力を目にすることはなくなったわ。
リリーベル様が入学されたの。
リリーベル様を知っている?
そう。王太子殿下の婚約者の方よ。
体が弱くて、途中から転入していらしたの。
私、リリーベル様と一緒に机を並べられたことが嬉しかったわ。いつもいい匂いがするの。
ふふ、少しおかしいかしら。
お名前の通り、スズランの香りがするのよ。素敵でしょう?
スズランのように可憐で、それでいて、少し寂しい孤独さもあるの。
でも、とってもお優しい方なのよ。
入学されたときは、まだ神聖力には目覚めていなかったけれど――十四歳からは、神聖力にも目覚められたの。
これは、聖女様にしか持てない力でしょう?
神のご加護を一身に受けたリリーベル様がいらしたおかげで、彼女の恐ろしい力は消えたのだと、お友達とよくお話ししたわ。
それにね。シャルロッテ様は、皆に人気のリリーベル様とは口を利かないの。
ううん、言い方が悪いわね。
リリーベル様は、いつもシャルロッテ様に話しかけられるのだけれど、シャルロッテ様は返事をされないのよ。
ひどいのよ。いじわるもされるし。信じられない。
シャルロッテ様が死んでしまったことには、何も言えないけれど。
リリーベル様の今後を想うと……ねえ?
ふふ……少し、冷えてきましたわね。今日は、とても楽しかったですわ。もっとあなたのことが知りたくなりました。また、お会いできますか?できれば…その…二人きりで
まあ、もちろん。いつでもお声をかけてくださいな




