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拝啓 死んでしまった悪役令嬢様  作者: 七月なのか


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2/11

1 私は悪女の親友

ごきげんよう。

シャルロッテのことを聞きに我が家へいらしたと来たと聞いたわ。


……あなたは誰? 幼馴染? 彼女・・・シャルロッテ様の? 

あら……でもわたくし、あなたのお話を彼女から聞いたことがございませんわ。わたくし、彼女のことは七歳のころから知っているのよ。幼馴染といいますけど・・・本当に幼馴染なんですの? それに社交界でもお会いしたことがないですわ。


ああ……隣国の方だったのね。最近内戦が終わったと聞いたわ。ああ、なるほど。それでこちらにいらしたのね。五歳のときに彼女とお別れをしたの?かわいそうね、あなた。そう……そうね、それなら、わたくしが知らなくても仕方がないわね。


では、あなたは小さかったころのシャルロッテ様を知っているのね。ふふ。聞いてみたいわ。それで? 彼女との思い出を聞きたいの? それとも、彼女と友達になった理由? どちらも? そうね……。


お茶はいかが?彼女をしのんで二人でお茶会をしましょうよ。

彼女の話をずっとしたかったの。みんな彼女の話を面白おかしくして、悪女だからって。

悪女だったらどんな話をしてもいいなんて通りは無いでしょう?


・・・・どうぞ、彼女もこの茶葉、好んでいらしたのよ。

いい匂いでしょう?よくお茶会でこの茶葉でお茶を入れてくださったわ。


彼女とお友達になった理由なら簡単よ。はじめは、親に言われたから。彼女は侯爵家の令嬢で、私たちの中では一番高貴な女性だったもの。年頃の近い王子様もいらしたでしょう? 当時、彼女が婚約者候補の筆頭でもあったのだから、親が仲良くしておくようにと言うのも当然よね。


最初は親の命令で始まった交流だったわ。でも……彼女を知るごとに、夢中になっていったわ。ワインレッドの髪に、ルビーレッドの瞳。あんなに高貴な女性は、彼女以外どこにもいなかったわ。悪女と呼ばれているけれど、それは彼女があまりにも危険な魅力があったからじゃないかしら。素晴らしく美しかったわ。まあ、ちょっと癖のある性格だったのは否めないけれど……そこも魅力だったのよ。もっと知りたい。もっと一緒にいたい。子供心にそう思うようになったの。


それなのに……休日の礼拝には来ないのよ。子供のころの私はいつでも一緒にいたかったから、ひどくがっかりしていたわ。どうして来ないのって聞いたらね、信じられないことを言うの。彼女ったら、神は信じていないから教会には行かないなんて言うの。びっくりしたわ。でもね、私はどうしても休日の礼拝に来てほしかったの。だって、休日にも一緒にいたかったんだもの。お祈りが終わった後に街で買い物をしたり、ピクニックに出かけたり……彼女としたいことが、たくさんあったの。


だから、何度も教会に行きましょうって誘ったわ。きっと私があんまりしつこく言いすぎたのだと思うのだけど、ある時ね、彼女、神を信じる賭けをしようと言ったのよ。びっくりするほど不敬でしょ?おどろいてらっしゃるわね。でもね、わたくしはそう言われたとき、チャンスだと思ったのよ。神を試すようなことをしてはいけないって、分かっていたのだけど……どうしても止められなかった。彼女と一緒にいたかったの。


賭けと言っても、可愛いものよ。お供え物をして、それがなくなっていたら神様がいる。残っていたら、神様はいない。そういう内容だったわ。可愛いでしょう?

ふふ、賭けにならないって思われても仕方がないわ。そうよね、お供え物なんてだれでもできるし家のものに頼めば片付けるなんてわけないものね。ちゃんと工夫したわ。それで……どこにお供えしたか? ふふ、それはね……普通なら入り込むのが難しい場所よ。だから、ちょっとした冒険だったわ。どきどきしたのを覚えている。帰りに誰かから声をかけられて、護衛を連れていなかったから少し怖かったのだけれど、そのときはシャルロッテが私の手を引いてくれたのよね。懐かしいわ……。


それで、次の日に見に行ったら。お供え物は、なくなっていたの。シャルロッテはなんて言ったと思う? 仕方がない、私も神を信じるようにする、ですって。ふふ……本当に、あの子らしいでしょう?


それから彼女は、しょっちゅう神殿でお祈りをするようになったわ。そのころから妃教育も始まってしまって……思ったより一緒にいられなくなったけれど。それでも、何度か一緒に休日に出かけたし、お茶会も随分招待してもらったわ。とっても楽しかった……。


思ったより悪女じゃなくてびっくりした?

そうねえ、悪女としての彼女の話が聞きたいなら・・・



……それなのに。もっと彼女と話したいことがあったのに・・・。

ねえ。お葬式は、いつの予定なのかしってらっしゃる?


……ああ、ごめんなさい。彼女のご両親とのこともあるわよね。でも、ほら……棺に故人に宛てた手紙を入れるでしょう? 私も手紙を入れたかったの。彼女に宛てた手紙よ。連絡を待つわね。そのとき、一緒に入れさせてもらえるように準備しておくわ。


今度お会いした時は彼女の子供の時の事を聞かせてくださる?ええ、きっとよ。

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