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人神共煙(じんしんきょうえん)

俺は今車を運転している

ヤガラ「ほぉーー!?早い、早いのう!?ははは良いぞもっと飛ばせ飛ばせ」

隣には子供の様にはしゃぐヤガラ様、ここで急ブレーキ掛けたらすり抜けてくのか?

ヤガラ「物騒なことを言うでない、お主は鬼か」

ぎょっとした顔でこっちを向くヤガラ様、てことは飛んでくのか

膳「頼むから大人しくしててくれ・・もう少しで歯医者着くから」

今日は歯に着いた煙草のヤニを落としてもらう予定だ、吸いすぎて流石に歯磨きだけではどうにもならんからな

ヤガラ「うげ、歯医者か、何やら情報で見たが、ドリルという金属で歯を削るそうな・・怖いのー」

膳「へぇ、神様でも怖いことあるんかい」

意外だ、そこらの男より腕っぷしはありそうに見えるが

ヤガラ「確かに鬼や悪霊なんぞよりずっと強いが、怖いものはある。」

ヤガラ様がはしゃぎ終わり窓の外を眺めながら答える。なんかちょっと寂しそうだ

膳「まーそうしょげなさんなって、歯医者終わったらアイス・・氷菓子奢るから」

励ましのつもりで食い物で釣る。しばらく生活してわかったが、ヤガラ様は食い物と酒とたばこに目がない

ヤガラ「氷菓子!!す、スイカバーはまだあるか!?」

ぐるんといきなり近づいてきながらフンスフンスと意気込み聞いてくる。近い

俺は車を駐車場に止めながら言う

膳「あるんじゃね?なかったらガリガリ君な」

ヤガラ様が嬉しそうに蛇の姿になりながら首に巻き付いてくる。変化解けてんぞオイ

歯医者の受付をすまし、ソファーで待機する。なんかヤガラ様もついてきた

周りをせわしなく蛇のままきょろきょろするヤガラ様

奥からキュイイイイイ!!とドリルの音が聞こえる。途端にヤガラ様が俺に飛びつく

ヤガラ「おおお、恐ろしや恐ろしや・・嫌な音じゃ・・嫌じゃ・・」

俺はヤガラ様の身体を撫でる。なんか可愛いなオイ

俺の番が来たらしく呼ばれる。んじゃ行ってくるから大人しくしといてな

そう心で語り掛けるとコクリとうなずくヤガラ様

診察室に入って案内された席に着く

歯医者「おやおや天内さん、今回も歯の掃除だけですか?親知らず・・抜きません?」

膳「抜きません」

即答する俺、この歯医者なぜか俺の親知らずを抜きたがる。不思議な医者だ

歯の掃除も終わり待合室に行くと奇妙な光景を見る

ヤガラ様が人についている黒いもやを千切ったり蹴とばしたりして食ってる

なぁにやってんだありゃあ、

俺は心の中で呼びかける。 ヤガラ様 ヤガラ様?拾い食いするとお腹壊すよ?

ヤガラ様が何かを咥えたまま俺の方に向き直る

ヤガラ「おお、ひひゃか、(来たか)ん、ゴクン、待ちくたびれたぞ」

だから拾い食いすんなって、見るからにやばそうじゃんその黒いもや、

空いてる席に座りながらヤガラ様に問いかける

なんなん?ソレ、随分と熱心に食ってたけど

ヤガラ「これは病魔だ、起こしたことは変えられないが、食っていけば新たに病気には罹りにくくなる」

なーる程、それで熱心に食ってたのね

ヤガラ様「うむ、まあ人間で言うと間食だな」

病気起こす奴を間食扱いかよ、流石元祟り神

おれがそういうとムフン!と鼻息荒く威張った。てかまた人型に戻ってる。慣れたのか

そう、このヤガラ様は元祟り神で、友人のご神木の息子さんが、誤って切られたり、悪ガキがしめ縄壊したりした時大層祟ったらしい、俺も記憶にある。しめ縄外された時、公民館の駐車場に七発ぐらい雷落としたし、なんなら公民館作るときも、境内の木を切ろうとした業者が次々と事故起こしたと噂になったことあったもんな、まあ俺にとっては良い喫煙仲間だから気にしないが

ヤガラ「お主のそういうところ・・我好き」

さいですか、どこで覚えたんだそんなセリフ・・ああ俺のパソコンか

会計を済ませ車に戻る。助手席にドッカと座るヤガラ様、

ヤガラ「のうお前さんよ」

膳「なんぞ?」

車を発進させ運転しながら聞く

ヤガラ「さっきのわし、怖くなかったのか?」

ヤガラ様の方をちらりと見る。目を背けられた

膳「別に、なんか懐かしい気がしたけど」

そう、以前もあの光景を見たようなどこか懐かしい

ヤガラ「赤じゃ」

膳「ぬお!?」

慌ててブレーキを踏む、あぶね、なんか記憶辿ってたぞ

ヤガラ「事故に気を付けい、流石のワシも死んだら救えん」

どこか悲しそうに言うヤガラ様

膳「気を付ける」

なんか場が気まずくなっちまった。アイス奮発してやろ

コンビニに到着し車を停め中に入る。ヤガラ様も後に続く

ヤガラ「ヌ!?」

ヤガラ様が声を上げたかと思うと一目散にアイスコーナーに・・

膳「やれやれ・・」

ゆっくり歩きながら俺もアイスコーナーに向かいアイスを見る。げ・・また値段上がってやがる

ヤガラ「お前さんお前さん、このぴ・・ピノ?とはなんじゃ?はーげんだつとは?」

アイスの名前だよ、良いから落ち着けって

ヤガラ「悩む・・悩むのう・・あずきばー?もなか?うーむ、うーむ」

すんごい悩み始めた、頼むからハーゲンダッツはやめろよ

ヤガラ「ならハーゲンダッツにする」

コノヤロー

ハーゲンダッツを味違いで二つ取った。ええい、値段なんかもいいいわい

あと缶のブラックコーヒーを買う・・・ヤガラ様?

ヤガラ「・・・(じー)」

あの・・カウンターの向こうで何見・・煙草かぁーーーー!!!

カワナイカラネ?と心の中で語り掛ける

ヤガラ「え~~~~」

家にカートン2つもあんだろが!!無くなったら煙草屋連れてってあげるから!

ヤガラ「ちぇー」

すんごい顔された。いらん情報まで取り込んだな、ヤガラ様

ヤガラ「お主の古いパソコンに美少女ゲー?というのか?色々あったぞ」

膝から崩れ落ちそうになった。アレ見たんか・・てかそこからか、

ヤガラ「随分と・・その・・イイ趣味しとったな・・うん」

ヤガラ様が顔を赤らめて言う。もう一回膝から崩れ落ちそうになった

よりによってR18ゲーかよ!!!あああああああ!!

膳「すいません・・たばこ128番下さい」

店員「はい!」

ここは赤丸(赤いマルボロ)で手を打ってもらおう・・

ヤガラ「しゃッ!!」

ヤガラ様がガッツポーズした。俺の負けだ

家に戻るなりビニール袋の中をガサガサ漁り、ハーゲンダッツの抹茶味と赤マルを取られる俺

ヤガラ「アイス~ま~る~ボロ~♪」

膳「ちくしょう・・俺の・・俺の金・・」

がっくりうなだれる。それとは正反対にウキウキのヤガラ様、世の縮図だ

ヤガラ「ふむ、このアイスなかなかだな、旨い」

感想そんだけかい、てか浮いて寝ながら食べるな

疲れた俺はソファーに深く腰掛けラキストソフトを吸う

膳「ああ、旨い、煙草だけだ俺の味方は」

ふーー、とのんびり煙を吐く、そしてアイスを食べる。俺のはバニラだ

バニラの甘い口当たり、飲み込んで煙草を吸えばほろ苦い味がくる、最高だ

ヤガラ「面白い食べ方しとるの、合うのか?」

アイスのスプーンを咥えたまま浮きながら胡坐をかいてるヤガラ様 見えてる。見えてるぞ

ヤガラ「見えてるのなんぞどうでもいい、合うのか?合わんのか?」

膳「少なくとも俺の口には合うね」

正直に答える。ぶっちゃけ好みの問題だからな

ヤガラ「ふむ、ワシも試してみよ」

ヤガラ様がアイスを食った後マルボロに火を付けて吸う、なんか納得した顔をした

ヤガラ「これは新しいの、うむ、良い」

満足そうにアイスを口に入れては煙草をふかすヤガラ様、満足ならよかった

膳「俺にもマルボロくれるか?」

ラキストを吸い終わりなんとなく言う

ヤガラ「一本もなにも、お前さんの金で買ったんじゃから吸えばいいじゃないか」

なにを当たり前なことを、という顔をされた

膳「いや、一度奉納したからヤガラ様のもんだろ」

ヤガラ「いやいや、昔から奉納したモン人間が食ってるじゃろ」

言われてみればそうだわ、ガキの頃ご利益がどうのって喰わされたな

ヤガラ「神人共食しんじんきょうしょくの儀じゃ、ご利益は知らんがまあ一緒に喰ったら旨かろ?」

膳「同意する。てことは煙草はなんだ?」

ヤガラ「さしずめ人神共煙じんしんきょうえんとかどうだ?」

アイスのスプーンを咥え口でピコピコするヤガラ様

膳「人神共煙ね、良いね」

上手いことを言うもんだと思った

ヤガラ「じゃあワシらは人神共煙の仲じゃな」

ニヤリと笑いマルボロを口の前に差し出してくれるヤガラ様

それをパクリと咥える。いつものように指先に火を灯し火をくれるヤガラ様

ジジ・・と火が移り煙草に火が付く

ヤガラ「ン」

火のついてないマルボロを咥え目の前で逆さになるヤガラ様

膳「何の真似だ??」

いやほんとに

ヤガラ「シガーキスというんじゃろ?お前さんのPCに画像があった」

オイオイまじか、あの大好きな漫画のワンシーンやれってか、逆さだけど

ヤガラ「ホレ、はよせい」

煙草を指で固定してヤガラ様の煙草にくっつけ吸う

同時にヤガラ様も押しながら息を吸う、ヤガラ様の煙草に火が付いた

ヤガラ「おお~~、着いた着いた、これがシガーキスか、なんか・・良いのう」

無邪気にはしゃぐヤガラ様

やったよ、やっちゃったよ、元カノともしたことないのに

ヤガラ「ほう・・初物か・・人神共煙の契りには充分じゃ」

煙草を咥え、逆さまのままニシシと笑うヤガラ様

ちくしょう、なんか今日は手のひらの上だ

ふー、と煙を吐く、、確かに・・なんかエモかったな

ヤガラ「のう・・膳」

膳「あ?」

ヤガラ「またしょうの、シガーキス」

なんか嬉しいんだかなんかを怖がってるそんな声色で見つめながらヤガラ様が言う

膳「いつでもどーぞ、俺たち人神共煙の仲なんだろ?」

よくわからんがヤガラ様にとっては大切な事だったらしい

だから俺もわざと関係を確かめるように言う

ヤガラ「・・うむ!」

満足そうに笑いながら煙を吐くヤガラ様、やめろ、顔に向かって吐くな、煙い

また日が沈み夜が来た。きょうも楽しい喫煙ライフだったなぁ

そう思いながら二人で同時に煙を吹きかけ合うのだった







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