鬼が来た2
江季公「いやぁ、すまんかった!!」
江季公さんが平謝りする。まあ無理もない、あの巨体は女の子でも流石に重い
膳「大丈夫大丈夫、元はと言えば誰かさん達が悪ふざけしすぎたのがいかんのだ」
腰をさすり江季公さんの土下座を、まーまー、と窘める
で?3人とも・・何か言う事はないかい?
俺は笑顔のまま元凶の3人にこの上ない笑顔を向ける
3人「ごめんなさい・・」
3人がシュンとする。よしよし、そのぐらいは反省してもらわんとな、マジで
膳「しかし・・今日はなんでまた来たんだい?遊びにかい?」
俺は煙草をぷかりとふかし、あり合わせのお菓子をススッと前に出す。江季公さんと江鬼がお辞儀をしてお菓子を食べる
江季公「いや・・それがな?俺もなんだが何より江鬼が膳に会いたくて堪らんと言ってなぁ」
お菓子を飲み込みながら江鬼を指さす
江鬼「うぇぇ!?ね、姉さんこそ!暇があれば膳、膳って言ってたじゃないか!?」
江鬼が大慌てで姉の言ったことに反論する
江季公「おま、それは言いっこなしと言っただろうが!!」
珍しくお互いに言い合う姉弟、仲いいね~
そこに茨木が見事な横槍を入れる
茨木童子「要するに・・お前らとと様に会いたくて来たんじゃろ?何をそんなに隠すことがある」
ピキ・・と音を立てて喧嘩してる二人が石になる。容赦ないなぁ我が子よ
江季公「い・・茨木様、それはですね」
江季公が言い訳しようとする
茨木「言い訳するならとと様は抱かせんぞ」
茨木が笑顔でサラッと言う、うん?いつから茨木の許可制になったんだ?
江鬼「いえその・・はい」
二人とも観念したように喧嘩を辞める。
静寂、蝉がみ‘‘--んみ‘‘--んと鳴く声だけが響き渡る
蝉「ツクツクヘァァッ!!ジュワッ!!」
おい何だ今の蝉、ウル〇ラマンいたぞ
ヤガラ「で?江季公は膳を諦めるのか?」
俺の隣で煙草を吸っていたヤガラが話を切り出す
江季公「んなわけあるかい!俺は諦めんぞ!」
ダン!とテーブルを叩く江季公さん、俺そんなに固執するほどイイ男ではないぞ
俺は鼻息荒くする江季公さんを見ながら茨木を膝に抱え江鬼と煙草をふかす
膳「そんなに妖怪って結婚相手いないん?」
俺は茨木の頭を撫でながら江鬼に聞いてみる
江鬼「妖怪というか・・僕たち鬼はだねぇ、人と近い見た目してるから、選ぶなら人間かなぁ」
なるほどなぁ、鬼にとっちゃ死活問題・・でもなくね?
茨木童子「人間は鬼より命が短いからな、それに大抵の人間は寿命で満足して先に逝く、となれば自分の好みで尚且つ死んでも幽世に居続けることが確定してる偏見のない人間なぞ、喉から手が出るほど欲しいだろ」
茨木が俺の膝で茶請けのお菓子を齧りながら疑問に答えてくれる
なーる程、見送るのはいつも自分、残されるのはいつも自分ってわけか・・・
江鬼「特に姉さんは好色でその・・強いからね、耐えられる人間が居なかったんだ」
あー、そういう事?そういや前にヤガラが言ってたなぁ、そのせいで神隠しに苦労したとかなんとか
ヤガラ「そうじゃ!!こやつが何回絞り殺した男と昇天した女を神隠ししたことか!!」
相変わらず江季公さんと組み合いながらヤガラが返答する。この暑いのに元気だねぇ二人とも
膳「しっかし、絞り殺すって穏やかじゃないな、江季公さん一体何回やったの・・」
俺から江季公さんが目を反らす。ンン?え?そんなに?
江季公「・・・13回」
膳「は・・・?」
江季公「13回ぃい~!!だってだって!!一度興が乗ると歯止め聞かなくなるんだもん!!」
ヤガラと組み合うのを止め、急にくねくねしだす江季公さん、いや・・死ぬて・・そりゃ
ヤガラ「じゃろ!?じゃからワシはダメだといってるんじゃ!!」
う~~~~ん、死んじゃうのはまだ困るよな・・
ヤガラ「ほーれみろ!!膳も困っておる!!ならダメじゃ!!」
ヤガラがそれ見たことか!と江季公を指さす
江季公「絶対加減するからぁぁ~~!!」
泣きながらヤガラに縋る。ヤることは確定なのね・・俺はまた江鬼の方を向き直って煙草をふかし始める
ヤガラ「お前絶対加減覚えろ。話はそこからじゃ」
なんかヤガラが言ってる気がするが気にしない気にしない
茨木童子「いや、俺にも耐えたんだし大丈夫じゃないか?とと様、休み休みすれば」
もうどーしてそんなにすることにこだわるかなぁ!?俺は穏やかに煙草ふかしてたいの!!
江季公「ぜ~~ん~~~」
呼ばれて振り返ってみるとそこには涙と鼻水でぐしょぐしょの江季公さんの顔が・・
いやあの・・そこまで泣かれちゃうと困るわけで・・
膳「あーーもーーー、ヤガラ~なんか良い解決策ない~?」
ダメもとでヤガラに声を掛けてみる
ヤガラ「う~~~~ん、江季公の加減が出来ん以上はワシは反対なのよなぁ、うっかり昇天したらコトじゃし」
ヤガラが長く唸る。無理もない、一歩間違えれば俺があの世逝き、うっかりでは済まされない
そこに思いがけない一言が掛かる
茨木童子「それならとと様に精力の付く喰い物、沢山食べさせてみたらどうだ?そのうえで江鬼の沈気煙を江季公に使う、どうじゃ?」
江鬼「沈気煙、確かにあの煙は姉さんにも効きますが・・大丈夫でしょうか?」
江鬼が不安げに言う
茨木童子「大丈夫だろ、どれ、なら俺は離界に精の付くもの取に行ってくる」
言うが早いか空間の割れ目を作り、離界に消えていく茨木
ヤガラ「・・はぁ~~、茨木様も乗り気じゃし、ワシもやらんといかんかぁ・・山行ってくる」
そう言いながらむくりと起き上がりそう告げると姿が消えた
江鬼も沈気煙の準備してくる。と言い客間から姿を消す。残されたのはベソベソ泣いてる江季公さんと俺
江季公「グスッ・・えぐっ・・」
俺は煙草の煙を吐き、江季公さんに問う
膳「江季公さん、とりあえずお茶でも飲みましょ、落ち着きますよ」
俺はすっかり冷めてしまったお茶を入れ直し、江季公さんの前に出す。江季公さんはそれをゆっくり飲み
ホッと一息つく、よし、とりあえずは落ち着いたかな?
江季公「・・・ふえぇぇぇぇぇ~」
駄目だァ・・完全に泣き虫状態になってるぅ
俺は泣く江季公さんに抱き着かれる。アッ・・イイ腹筋・・ってそうじゃない、何とか江季公さんを落ち着かせねば
膳「江季公さん、まぁ、とりあえずはみんなの力借りてみましょうよ、ね?」
俺は縋る江季公さんの頭を撫でる。江季公の肩がビクッとなる
江季公「う‘‘ん‘‘」
泣きながら江季公さんが頷く、やれやれ、普段は豪快なのにこんなにしおらしくなってるの見るとなんだか保護欲出てきちゃうなぁ
俺は煙草をふかしながら両腕を後ろについて江季公さんが泣き止むまで待つ
こんだけ泣くってことは本当に諦めたくないんだなぁと思う。俺はそこまでして失いたくないものはヤガラとの生活くらいだから、恋愛ってやっぱよく分らんとも思う
江季公さんが段々と泣き止んでいく、やがて鳴き声が聞こえなくなった
膳「落ち着きました?江季公さん」
若干キツイ体制で頭を撫でながら聞く
江季公「呼び捨て」
はい?
江季公「俺だけ呼び捨てじゃない、俺も呼び捨てが良い」
江季公さんが若干拗ねた顔で言う。た、確かに江鬼もいつの間にか呼び捨てしてしまったからな・・
膳「じゃ、江季公」
江季公「うん、」
満足したように笑顔を見せる江季公、俺は新しい煙草に火を付け、ヤガラ達が戻ってくるまで江季公の頭を優しく撫で続けた




