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妖怪と二人と休日と

付喪神 日本に伝わる年月を経た道具などに精霊(霊魂)が宿ったものである。人をたぶらかすとされた。現代では九十九神と表記されることもある

江季公こうきこう 鬼女、昔は村の男女を攫い宴会しては娶っていた剛毅な鬼、ヤガラに負けず劣らずのイイ腹筋と鎖骨の持ち主

江鬼えき 鬼男、江季公こうきこうとは正反対に色白で煙草をいつも吸っている大人しい鬼

狸、態気侯たいきこうアル中少女狸、面白ければなんでもいい性格、ただし酒が切れると無気力になる

狐、美禅びぜんの前オネェ、普段は人間に化けてスナックのママをやってる敏腕店長

蛇、白縄しらなわ6児の父温和だが鋭い洞察力の持ち主、嫁さんには弱い

猫、千虎口せんここう僕っ子で猫又、性別は千虎口せんここう断固として性別は千虎口せんここう


今日は仕事が休みなので、久しぶりに愛車を洗車することにした。九十九神となった愛車

可愛い、とても可愛い、ヤガラは相変わらず嵐みたいじゃ!!と自動洗車機が車を洗う様をウキウキ助手席から見ている。窓開けんなよ?

俺はスイカ味の飴を舐めながら洗車が終わるのを待つ。なんでスイカ味かって?決まってんじゃん

ヤガラが煙草以外にもスイカスイカ言うもんだから頑張って探しましたよスイカ風味のキャンディー

んで箱買い、おかげで台所にスイカキャンディーの箱がある。ヤガラのスイカ好きにも困ったもんだ

洗車が終わる。

ヤガラ「なんじゃ・・もうおわりか・・」

子供の様にシュンとするヤガラ、いや・・洗車が終わらなかったら出られないからね?

拭き上げ場に移動し車を丁寧に拭く、突然ライトが点滅する

ヤガラ「嬉しいのとくすぐったいらしい」

ヤガラが通訳する。肯定するようにワイパーが動く・・ああ、まだこそ拭いてないのに

ワイパーを優しく拭く、やはりくすぐったいのかライトが点滅する。思ったより感情豊かになったなこの子

その後、愛車に乗り、以前みたいにラーメン食べたりアイス食べたり何でもない休日を過ごした

すっかり夜になったころ、ヤガラが山に寄りたいと言ったので寄ることにした。

ふと空を見上げる。今日は満月だ

ヤガラが獣道をズンズン進んでいく。途中で買った安い缶酒数本と灰皿をもって

段々月明りしかなくなり静寂に包まれる

膳「おい、ヤガラ、こんな夜更けに獣道なんかこれ以上入ったら帰れなくなるぞ」

俺は心配事を口にする。

ヤガラはただ笑みを讃えながら安心せいと優しく言う。俺はただついていく

どれくらい歩いただろうか急に開けたところに出た。8帖くらいの広さの草原だ、

そこにぼぅ、と柔らかい明かりが見える。

ヤガラはそこに声を掛ける

ヤガラ「久しいの、皆の衆、岡八幡じゃ、」

するとそこには頭から角が生えた男女、蛇、狸、キツネ、猫までも居てそれぞれ笑いながら何かを

飲んでいる。食べている

鬼「おお、岡八幡の!!元気だったか!」

鬼女?「まあまぁ、今回は女子おなごの姿なのですね」

狐「やや!?人を連れているではないか!これは珍しい!」

猫「人間!?え!!やだ!!お化粧してないのよ今日!!」

なんか急に猫が顔を洗い始めた

ヤガラ「こやつはワシの嫁じゃ!手出し無用!」

まるで宣言するかのように大きな声で言うヤガラ、恥ずかしいんですけど

蛇「嫁!?あの岡八幡が嫁とな!?ハハハ!!世は変わるモノですなぁ!!」

嬉しそうに蛇が俺を見る

狸「だれでもええわい!今夜は飲み会なんじゃから、大いに飲もうぞ」

女のような可愛い声で狸が言う

ヤガラ「態気侯たいきこうは女子じゃぞ」

あ、失礼しました。

鬼「ハハハ!!まあ人間が見分けがつくのはワシらくらいじゃろ」

鬼が酒をがぶがぶと飲んで盛大に笑う

膳「なんつーか・・妖怪って本当にいるんだなぁ」

率直な感想が口を突いて出る

狐「ほう・・物怖じせんの、この子、なかなかじゃ」

狐が値踏みする。だが目つきは優しい

ヤガラ「今宵は少し酒を持ってきた」

気にせずヤガラが笑いながら酒を並べる

皆が一斉におお!?と声を上げる

鬼女?「これは・・最近のリキュールという酒か?」

ヤガラがうんと頷く

それぞれが好きな物を選び手に取る。最後に残った一本をヤガラが取り、ぷしゅ、と封を切る

妖怪「乾杯!!」

皆それぞれ驚いたり味を楽しんだりしている

俺はなんだかワクワクしていた、こんな不思議な体験を独り占めして良いのだろうかとも思う

蛇「あ、君は車運転かな?何やら付喪神がずっとこっちを警戒しているんだ」

長い首を伸ばし白い手で何か液体の入った液体を渡される。

蛇「安心しなさい、果実水だ、桃だよ」

蛇の顔が優しく緩む、思わずありがとうございますと丁寧語になってしまった。

ヤガラは鬼夫婦と呑気に話している

狐「やれやれ、自分のツレだろうに・・八幡様は・・」

狐は呆れたように身振りをし、俺に詰め寄ってくる

狐「で?あんたどうやって八幡様口説き落としたんだい?くわしく・・」

そこまで言いかけてヤガラの手がぐわし!と狐の頭を捕まえる

ヤガラ「煮て喰おうか焼いてくおうか・・」

青筋ピキピキさせながらヤガラが狐の首根っこを持つ

膳「まあまあヤガラ、ここは穏便に・・」

鬼「ほう!?今はヤガラと名乗っておるのか!」

がタイのいい鬼がガシっとヤガラと肩を組む。ボインと胸が弾む

膳「ん?・・胸???」

鬼「どうした小僧、胸なんて八幡で見慣れてるじゃろ?」

グイと自分の胸を持ち上げる鬼

膳「失礼、女性でしたか、ガタイが凄く良いので見間違えました鎖骨と腹筋見せてください」

おのれは阿呆か!!ワシがいるじゃろ!!と罵倒が聞こえる。あーあー聞こえない

鬼「八幡の嫁だけあって変わっとるのー・・ホレ、」

しゅるりと着物をはだけさせ、鎖骨とバキバキの腹筋を見せてくれる鬼様、嗚呼、ありがとう

2礼2拍手一礼して拝み倒す。ありがたや・・ありがたや・・

鬼様がぽかんとした顔をして盛大にガハハと笑う

鬼「変わっとるwww流石八幡の嫁御じゃwww」

ヤガラ「こやつはこれが好きなんじゃ・・変わり者で難儀しとる」

グイと俺を抱き寄せ酒を飲むヤガラ、なんだ?ヤキモチか?

ヤガラ「フン!」

狐が膳にしな垂れかかる

狐「ほれ、人間の女子に化けてみたぞ?どうじゃ」

狐の化けた女体の着物がほつれる

膳「スン・・・」

真顔になる膳

狐「なんと!?」

ガーン!!と打ちひしがれる狐

ヤガラ「ワシの嫁はそういうのは好かん。無駄じゃ」

ヤガラが自慢げに言う

猫「じゃあ僕は~~?ほ~ら、ショタっ子~」

猫が宙返りし美少年になる

膳「・・・ピクッ」

ショタ・・だと!?

ヤガラ「ほーれ、膳、お前の好きなバキバキの腹筋じゃぞ~」

チラッ

膳「・・・(ひしっ)」

俺は腹筋・・いや、ヤガラにしがみついた。離しはせぬ・・

猫「にゃ・・にゃんと・・・!?」

ガックリ肩を落とすショタ猫

鬼女?「あらあら・・随分お互い好いているようですね・・羨ましい」

もう一人の鬼の女の人がクスクスと笑いながら煙草を吸っている。お、ヤニ仲間発見てか女の人であってるよな

俺も煙草に火を付け・・ヤガラがいつものように付けてくれた

ヤガラ「江鬼えきは男じゃ」

は?てことは逆!?逆なの!?

狸「おお~~~!仲いいのう!!いいのう!!」

驚いてる俺を置いてけぼりにして向かいの狸は相変わらず少女のような声ではやし立てながら酒を飲んでベロベロに酔っぱらっている

ってか、ここ性別と外見がよくわからん

膳「ヤガラ、俺混乱してきた」

ヤガラに助けを乞う

ヤガラ「気にするな、どうせ一夜の夢じゃ」

ヤガラが煙草を咥える。癖でジッポライターで火を付ける

蛇「本当に仲睦まじいですね、あ、私は男ですよ。白縄しらなわと言います。6児の父です」

白縄さんが丁寧に自己紹介してくれた。良かった。声と性別が一致してた

鬼「俺は江季公こうきこう、こんなガタイだが女だぜ!!」

ムン!!と立派な腹筋に力を入れて見せてくれる。天国

狸「わたしは態気侯たいきこう~~~!よろしく~~~ぅ!」

狐「私は美禅びぜんの前、オネェさんよ~」

ン?なあんか違和感が・・

ヤガラがボソッと耳打ちする

ヤガラ「美禅の前はあれじゃ・・オカマじゃ」

ああ、納得した

猫「最後に僕~!!千虎口せんここうだよ!ココ君って呼んでね!」

左から鬼、江季公こうきこうさん鬼その2、江鬼えきさん狸、態気侯たいきこうさん

狐、美禅びぜんの前さん、蛇の白縄しらなわさん。猫の千虎口せんここう、ココ君ね、

覚えた。

一人で名前と姿を覚えているとヤガラとは反対からグイと引っ張られる

江季公「なあなあ!俺と八幡、どちらの腹筋と鎖骨が好みだ??」

ガハハと豪快に笑いながら絡まれた。俺は煙草を吸いながら迷いなく答える

膳「それはもちろんヤガラですね」

江季公さんがまたぽかんと口を開ける。

江季公「こりゃ驚いた・・かどわかしが通用しとらん・・」

あっけにとられている江季公さんに特大の笑顔でヤガラが言う

ヤガラ「どうじゃワシの嫁は!?よくできた嫁じゃろ!?」

えへんと鼻から煙草の煙を出しながら威張る

江季公「いやぁ・・お見事、この江季公、今まで数多の男女を娶ってきたがこれは初めてじゃ」

はぁ~、と感心したように酒を飲む

膳「俺はヤガラと約束しましたからね、死んだらヤガラの幽世で煙草の葉を育てながら一緒に暮らすって」

思い出すように自分で言う、その様子を見ていた江季公さんがまた大笑いしバシバシと背中を叩かれる

凄く痛い

江季公「いやいや!!大したもんじゃ・・お主が死んだら幽世に酒持って遊びに行くぞ!!無論、鎖骨と腹筋も好きなだけ見るがいい!!」

この鬼さん神か、俺は無意識に手を合わせ拝んだ。ヤガラから小突かれた。痛い

江鬼「そう嫁さんをいじめるものではないよ八幡の、良い嫁ではないか」

いつの間にか江季公さんの隣で煙草をふかす江鬼さん、めっちゃ煙草似合いますね

そういやこの人外宴会に俺はなんで呼ばれたんだ?と一番の疑問を今更思う

ヤガラ「何故って、ワシの嫁紹介よ」

ヤガラが何を当たり前な・・という顔をする。事前に説明してくれよ・・・お土産もっと必要だったじゃんか

ヤガラ「良いんじゃ、ちょうどお前の車も妖怪になったし頃合いだったんじゃよ」

煙草をぷかりと吸いながら言う

膳「ま、天涯孤独になって久しいしな」

俺もぷかりと煙を吐く

妖怪ズ「い~~~い~~~~の(な)~~~~~~~」

なんか酒の肴にされてる気がする。ま、いいか、イイ腹筋と鎖骨見れたし

その後、ヤガラと江鬼さん、江季公さんが相撲取ったり力比べしたり、態気侯たいきこうさんと千虎口せんここう、ココ君が変化対決したりこの不思議な宴は多いに盛り上がった。

おれ?俺は腹筋と鎖骨をしっかり見ていましたよ?ええもちろん

その後いつの間にか寝てしまったらしく、起きたら自室のベットの上だった

先に起きて煙草を吸っていたヤガラが言う

ヤガラ「良い夢じゃったろ?」

俺も煙草を吸う

膳「ああ・・最高だった、また会いたいね」

ヤガラ「気が向いたら会えるわい」

二人で朝の一服を楽しんで・・

ドンドンドン!!ドンドン!!

猛烈に玄関を叩く音で台無しにされた。なんだ?誰だよもう


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