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善は急げ、早とちりは待て

膳の身長は168cm

ヤガラは181cm

あれから2週間が過ぎた・・面接の連絡は来ない

膳「ハハ・・終った」

両手を地面に着き、ガックリとうなだれる俺

ヤガラ「だーーーかーーーらぁ!!まだそうと決まったわけじゃないじゃろが!!」

ソファーにどっかりと腰を落としたまま鼻から煙草の煙を、口からは大声を出すヤガラ

膳「だってぇ!?あれから2週間だよ!?落ちたに決まってんじゃん!!」

しかも合否の連絡すらない・・そんな価値もないということか・・

膳「嗚呼、俺って駄目な奴・・はああ」

履歴書を送ってからずっとこの調子、送った当初は小躍りしていたが、徐々に落ちていった

ヤガラ「まったく・・厄介な病じゃ」

ヤガラは少し苛立ちながら煙草の煙を盛大に吐き出す。今朝からこの調子・・全く、こっちが

参るわい

この病のいいところは躁、つまり気分が上がっているときは無駄に全能感に見舞われ、その先の

不安や心配事が嘘のようにかき消えること。それは良い、だが悪いところ、つまり鬱、気分が

酷く落ち込んだ時だ、根拠のない不安や焦燥感、絶望感に襲われ、頭を抱えて蹲るハメになる

なんか・・自分がうっかり祟ってしまった後の落ち込みとよく似ている。昔は病は病でも

正体の分からぬ奇病扱いだったんじゃろうなぁとヤガラは思う。

現代医学と科学?なんてものが進化し、その病気に光が当たったが、想像以上に厄介で、多分分析や

理解はさほど進んでいないのだろう。光が当たっただけまだマシじゃが、これがしっかり理解されるには

まだまだ時間がかかるとヤガラは考えた。

ヤガラ「ホレ、こんな時は煙草でも吸え」

煙草を差し出す。善は半べそをかきながらソレを咥える。いつものようにワシが火を灯してやる

膳「ヤガラ~~ありがとうなぁ~~」

また泣きよった。ほんに困ったもんじゃ、

膳「あ‘‘~~~~~・・・生き返る~~~~」

膳が煙草の煙を深く吸い・・吐き出す

ぱそこんで調べたら煙草はあっぱー系薬物とのことだった

要するに気分を上げる薬物なんだそうだ、逆に酒はだうん系薬物に分類されていて、今膳が飲んでいる薬とは相性が悪い、気分が下がるのだ。少量なら高揚感をもたらすらしいが、すぐに許容量を超え、気分が下がるらしい、よくぞまあここまで調べたものだ、とヤガラは感心する。

その分まぐわい(性交渉)は多好感に包まれ、依存性はあるものの、煙草や酒よりは良いらしい

ソレも手段として考えたが、膳がオチている以上、肝心のモノが立たんときてる。

それではしようがない。

ヤガラ「やーーれやれ、困ったもんじゃのう」

テーブルに突っ伏しながらあらゆる穴から煙草の煙をだしてベソをかいている膳を見る

ヤガラ「どうしたもんか」

いつもなら食いつく腹筋にも鎖骨にも食いつかんし、打つ手なしだ

ヤガラ「ま・・薬は飲ませたし、何とかなるじゃろ」

ぷか~と煙草の煙を吐き出しながら独り言ちる

膳は相変わらずブツブツなにか独り言をつぶやきながら煙草を吸っている

ふーーーーっ、と煙草の煙を吐く、この煙草も元は膳が稼いだ金で吸っているものだ、何か力になれることはないか・・・

膳「やっぱりあん時こう書いとけば・・ブツブツ」

あーーーー、ルーープしとる。お客様延長じゃ

ヤガラはいつか膳が言った言葉を思い出し、そう思う

何かの~~~、なにか・・

ふと気づいてパソコンに顔を突っ込むヤガラ、膳は気にも留めずブツブツと悔やんでいる

しばらくして、スポンッと顔を出すヤガラ、膳は相変わらずジメジメ泣いていた

ヤガラ「膳、ちょっと来い」

ヤガラが少し顔を赤らめ膳に言う

膳「はぇ・・・?」

状況の分からぬ膳は、突然の声に困惑する

ヤガラ「いいから!来い!」

ぐいと、ヤガラに抱き寄せられる膳

膳「ヤ・・ヤガラ?」

いまいち状況が読み込めない膳

それもそのはず、ヤガラの胡坐の上に膳が座る形になっているからだ

ぎゅ・・とヤガラが膳を抱きしめる

ヤガラ「ぱそこんで調べた。こういうのが効くらしい」

煙草を咥えながら顔を少し赤らめそういうヤガラ

膳「気を遣わせたか・・」

回された腕を優しくつかむ膳

ヤガラ「全く・・難儀な病じゃ」

照れくさそうに言い捨てるヤガラ

膳「ありがとう」

膳も照れくさそうにお礼を言う

沈黙が流れる。二人の間では、咥えた煙草の煙だけが揺らめいていた

ピロン♪

その沈黙を破るかのように膳のスマホが鳴る

二人が顔を見合わせる。そして恐る恐るスマホを手に取る膳

そこには一通のメールが、一時選考通過、面接のお知らせとあった

膳「スゥーーーーーーーーー・・・ハアア・・」

膳が深呼吸し大きく息を吐く、煙草以外でこんなに真剣に深呼吸した場面は何気に初めてなのでは?と

ヤガラは思った

膳「あとは・・面接かあ・・」

顔をムニムニ動かしながら膳が言う

ヤガラ「まだあるのか・・」

ヤガラが面倒くさそうに言う

膳「これが今の日本だからねぇ・・」

ハハハ、と乾いた笑いを見せる膳

面接は3日後、頑張らねば・・と膳は思った


―――3日後―――

ヤガラ「随分カチコチじゃな?」

以前調べたロボット?というのとよく似た動きをする膳

膳「緊張してるからねぇ・・」

深呼吸を繰り返す膳、なんか見てて面白い

ヤガラ「しっかり行って来い!!」

バシン!!と膳の背中に喝を入れるヤガラ

膳「うひゃい!?」

何じゃ、可愛い声出すのぅ、生娘か

膳「じゃ、じゃあ行ってくる」

家の扉がガチャリと閉まる。そういや何気に玄関で見送るのも初だな、とヤガラは思った

膳が面接に行ってから30分後、ヤガラは玄関をうろうろする。

無事についただろうか、あいつ、ちゃんと喋れるだろうか、そんな考えばかりがヤガラの頭にグルグルと

渦巻く、

膳が面接に行ってから1時間弱

ヤガラは膳の部屋で煙草を吸ったり浮いたりそのままクルクル回ったり落ち着かない様子だった

ヤガラ「ぬ~~~~~~」

どうにも落ち着かん、まるで自分の事の様に落ち着かない、煙草をふかしても酒を飲んでも不安が消えない。そこではた、と気づく

ヤガラ「ワシは膳の親御かっっ!!」

一人で突っ込みを入れる。

気持ちを新たにどっかりとソファーに座る

ヤガラ「っ、ふぅ~~~~~~」

自分で煙草に火を灯し、一服つくヤガラ

ちょうど2時間になるときだった

ガチャリ、と玄関の鍵が開く、急いで一階に降りる。そこにはうなだれた膳が居た

ヤガラ「またか・・・」

ヤガラが独り言ちる

膳「あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘~~~失敗した・・絶対失敗した・・」

ハァーーーーとため息をつくヤガラ

ヤガラ「そんなにあかんかったのか?」

ヤガラが落ち込んでいる膳に聞く

膳「根拠はないけど絶対落ちたあああ‘‘~~」

ま   た   か   い

ヤガラ「ホレホレ、そんなとこで落ちこんどらんで二階行くぞ

膳を宥めながら二階に誘導する。二階に上がり自分の部屋に移動した膳はスーツを脱いでクローゼットにしまう

膳「あ‘‘あ‘‘あ‘‘ぅ‘‘~~~」

ソファーに腰掛けるなり全力でテーブルに突っ伏す膳

完全に元の木阿弥、またベソをかき続ける膳

ヤガラ「あーーもーー、あとはなるようにしかならんから、煙草でも吸え」

ガシガシと頭を掻き膳に煙草を渡すヤガラ

膳「ん・・」

ベソをかきながら煙草を咥える膳、完全に3日前と同じ状況だ

膳「ふはぁああ‘‘~~~~」

まーたあらゆる穴から煙だしとる。どーゆー体の構造しとるんじゃ

フーーー、とヤガラも煙草を吸う

ヤガラ「今日はもう飯食って風呂入って寝ろ」

ヤガラの言葉に小さく頷く膳

――1週間後――

見事合格、以前の不安やベソは何処へやら、合格通知を握り締め小躍りしてる膳がそこにいた

ヤガラ「よかったのう」

膳「ああ!!ヤガラ!!ありがとう!」

笑顔でヤガラにお礼を言う膳、全く、この一週間、膳の機嫌を取るのに疲れたわい

膳が珍しくアロハに着替え、車のキーを手に取る。

ヤガラ「どこかに行くのか?」

ヤガラが訪ねる

膳「ああ!色々迷惑かけたからな!今日はスイカの煙草を買いに行くぞ!」

意気揚々とヤガラに声を掛ける膳

ヤガラはやれやれ・・と思いつつもスイカの煙草は欲しいのでカートンか!?と冗談をいいつつ

家を出るのであった。

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