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雨の日の過ごし方

ザーザーと雨が屋根を叩く

暇を持て余したヤニカスがここに二人いた

膳「ほはぁ~~~あ」

煙草の煙を吐きながらあくびをする膳

ヤガラ「ふあぁ~~~ふ」

同じく煙を吐きながらだらけるヤガラ

まいったねぇ・・どうも

膳は髪の毛を掻きむしる。なぜかって?仕事を辞めたからだ

また躁鬱が酷くなりゲームセンターの仕事を辞めた。この先どうするか考えてない

ヤガラ「そういうやまいなんだからしかたないじゃろ」

ヤガラが煙草の煙を口から吐きながら励ます

いやぁ~~~、まさか悪化するとは・・ここ数年大人しかったから完全に油断してた

薬の量も元通り、今の仕事場は五月蠅く感じでしまい、客が次から次と来るのでパニックになって過去の嫌な記憶がフラッシュバック、挙句の果てには受付に立てないときた・・あーーーー申し訳ねぇ

ヤガラ「医者はなんと?」

ヤガラがソファーから首をもたげ聞く

膳「とりあえず、薬飲んで安静にして、もっと静かな環境で働けるとこ探せって」

膳がやる気のないだらけたポーズで答える

おまけに障がい者手帳3級取得も勧められた。

あーーーあーーーーー、せっかくまともに戻れると思ってたらこれだよ

膳「もーーーーう・・駄目だーーーーぁ」

膳がゴトリとテーブルに煙草の煙を吐きながら崩れ落ちる

いっそなんか静かな場所で出来る仕事探すか?でもどんな場所で働けばいいやら・・

膳「あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘~~~~」

頭を抱える膳、それを見るヤガラ

ヤガラ「こりゃ完全にオチとるのう、しばらくこのままか」

頭を抱えて唸ってる膳を後目にぷかぷかと煙草をふかすヤガラ

膳の背中を軽くさすってやる

膳「もう・・・駄目だ・・」

完全に鬱の状態じゃなコレ、と優しく背中をさすり続けるヤガラ

ピロン♪

何か音が膳のスマホから鳴り響く、ヤガラは手に取ってみてみる

ヤガラ「何じゃコレ?あなたに合った仕事?」

今は仕事も紹介してくれるのか、便利な物じゃ

膳「以前登録しといた職業アプリだよ。条件と経歴からオススメの仕事探してくれるんだ」

うなだれながら膳が答える

ほー、便利なもんじゃ、

その膳におすすめとやらの仕事を読み上げる

ヤガラ「銀行窓口受付、スポーツクラブの受付、骨壺堂の受付??なんか受付ばっかじゃのう」

このアプリとやら、よほど膳に受付させたいと見える

膳「・・ヤガラ、今、最後の求人なんて??」

ピクリと反応を示す膳

ヤガラ「骨壺堂の・・」

膳「それ見せて」

言うが早いか、膳がヤガラからスマホを奪い取る

膳「静かな環境で・・・バタバタしません。主に清掃と来客の対応・・」

膳が文章を読みあげ、固まる

ヤガラ「お、おい、大丈夫か?」

ヤガラが心配そうにのぞき込む

これだ、と膳は思った

膳「これなら働けそう・・」

そう膳が言った求人は骨壺堂の管理、

ヤガラ「人間の遺骨管理とは・・最近は土にも埋められんのか」

世も末じゃ、と言うヤガラを放っておいて、膳は求人を食い入るように見る

人との関わりが極力少ない・・大量の客も、無限に減るドリンクバーもない

膳「応募する・・」

ヤガラ「なに!?これにか!?」

ヤガラが驚く、そんなに大きな声を出さないで欲しい、耳に響く

膳「人との関わりが極端に低く、何より死人は喋らない、あとは掃除と雑務してればいい」

ヤガラ「人の骨とほぼ毎日一緒じゃぞ??」

それが??とことん還元してけば物じゃん

キョトンとした顔で膳が言う

ヤガラ「ふむぅ・・間違ってはおらぬが」

なんかヤガラが色々言ってるが、俺からすれば物だ、特に怖くもなんともない

ヤガラ「まあ、お前さんがいいならとめはせぬよ、価値観の違いじゃ」

ふむ、確かに価値観の違いだ、俺は死体は違うが火葬され、燃やされて骨になったら物だと思ってる

膳「さて、応募応募と、」

俺は迷いなく応募ボタンを押し、履歴書の提出を求められる

履歴書かぁ・・まぁ、多少ごまかして書くしかない、今の現代でもうつ病や躁鬱に対する理解は驚くほど低く感じる。転職についてもだ、下手に書いたらマイナスイメージ100点くらいからスタートラインになりうる

PCを立ち上げ、次々と必要な情報を入力していく

膳「さて・・」

煙草を咥えて火を・・

ヤガラ「ん」

ヤガラが付けてくれた

志望動機・・これが一番履歴書で難関だと常々思う、一歩間違えば自分の伝えたいことが一切伝わらなかったり、真逆に取られたりする。日本人の悪いところは、一つのところにより長く居るのが当たり前

短い奴は何か後ろめたい、社会的にマイナスなイメージがある。変わり者の烙印を多くいされることになる。今の世の中終身雇用が崩壊したんだからそんな考えとっとと捨てて、より自分に合った場所を探す期間があっても良いと思ってるくらいだ。

膳「じゃないと新卒やまじめな人は自称ホワイト企業様に精神食い散らかされて終わるもんなぁ」

全く困ったものである。いつまでもバブル絶頂期のままでいる企業様、先進国のつもりでいる御国様には

匙を投げたくなる。しかし、多くの日本人が日本語以外喋れず。気づいたときには選択肢がどんどん狭まる。まさに地獄絵図だ

膳「さて、私見的な日本終末論はこのぐらいにして・・志望動機かぁ」

この際もう素直にリハビリのつもりで就いた職でしたが思ったより業務が大変だったとか、少し書いてもいいか

膳「ですので・・静かな環境で働ける貴社に無力を感じ・・と」

志望動機だけで30分ぐらいかかった気がする。絶対書類選考無くした方がいいよ日本、

膳「送信・・と」

ぐいーーーっと背伸びをする。てかヤガラがずっと煙草に火を付けてくれていたが・・疲れないのか?

ヤガラ「ワシはなかなか楽しかったぞ、お前の情報が見れたからな」

煙草の煙で的とダーツを作り、投げて当てる遊びをしながら言うヤガラ、だからそれどーやってんの

煙掴んでんの凄

ヤガラ「何というか・・お前も大変よの・・」

何だよ藪から棒に、褒めてもスイカしか出ないぞ

ヤガラ「スイカは出るのか」

膳「出る」

ヤガラ「どこから」

膳「ココから」

膳が背中から切り分けられたスイカを出す。マジでどっから出したんじゃ・・

スイカを食べながら膳の方がよっぽど不思議人間ではないか・・と独り言ちる

まあまあ、スイカと煙草吸える蓄えはまだあるからいいじゃん

ヤガラ「それはそうだがの」

シャリシャリとスイカを美味しそうに頬張るヤガラ

膳が煙草に火を付けてくれる

プカリと煙草をふかし、思う、そういえば膳が稼げないと煙草もスイカも食えんのじゃな

当たり前すぎて忘れていたことを思い出す。

ヤガラ「今のワシに出来ることは、精々傍にいてやることだけなのじゃな」

膳「それでも十分助かってるよ」

膳が煙草をふかしながら微笑む、もう随分長いこと一緒に暮らしてる気になる。ワシにとってはたかだか数十年のことなのに

膳「随分・・長く一緒に暮らしたなぁ」

どうやら膳も同じことを考えていたらしい。嬉しいことだ

ヤガラ「きっと・・そのうち良い仕事が見つかるさ、一生もののな」

スイカを齧りながら膳に根拠なく言う

膳「その言葉・・信じるよ」

外を見る。まだ雨は止みそうにない。まあいいさ、少しだ・・少し休憩しよう

相変わらずの雨の中、二つの煙草の煙が交差する。ゆっくり交わり、やがて天井に消えていった

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