腰が鳴った日
それはある日突然やってきた
普段からチクチク痛む腰にシップを貼り、耐えてきたが、ついに限界が訪れる
そう、腰に雷が落ちたのである
膳「へぁぁぁあ‘‘あ‘‘あ‘‘あ‘‘!?」
ウルト〇マンも顔負けの素っ頓狂な声を膳が上げる。そう、ぎっくり腰である
仕事は当然休み、人生初の救急車で運ばれ、病院が出した答えがぎっくり腰
危なかった・・ヤガラにスマホの使い方教えといてよかった。
俺は帰りのタクシーの中でしくしく泣き、予想外の出費に号泣した
――自宅――
膳「しくしくしくしく」
俺はさめざめと泣いた」
ヤガラ「がははははははは!!!!」
ヤガラは笑った
まあ、無理もない、理由が理由だからな
ヤガラ「コトの最中にククッ・・ぎっくりケハハハハ!!」
このやろう、お前が激しすぎるんじゃ
ひたすら笑い転げてるヤガラを恨めしそうに見る。このぉ・・
一方俺はベットにうつ伏せになりながらへの字で寝ている
ヤガラ「ハハハハハ!!!へハハハハハハハハ!!!これは愉快!!お前と共になってから一番愉快じゃ!!」
目に涙すら浮かべながら腹を抱え、文字通り笑い転げている
ヤガラ「ほかにも機会はあったろうに・・よりにもよってコレとはプクク!!」
膳「うるへーーー!!こちとら若くないんだよ!!50過ぎだぞ!?」
もう60に近いんだぞ!?労われよ!!
ヤガラ「はーっ!はーっ!いやぁ悪い悪い、こんなこと初めてなもんでなww」
ようやく転げまわるのを辞め、浮きながら胡坐をかき煙草を吸う
ヤガラ「・・・ブフォッ!!ハハハハハ!!」
また笑いやがった・・こいつ・・腰が治ったらしばらくスイカ味の煙草ナシにしちゃるぞ
ヤガラ「ほぅ・・主にそれが出来るんかぇ?」
なに?
ヤガラ「(腹筋チラッ)」
ゆるす!!!
ヤガラ「ナハハハハハハ!!!こっ・・こやつアホじゃ!!阿呆じゃ!!!ハハハハハ!!」
いや皆さん違うんですよ。これにはちゃんと訳が・・はい、衰えも老化もしない女性のバキバキの
腹筋って良いですよね!俺の癖です。はい、癖に負けました。
ヤガラ「そんなに良いもんかのう・・この腹筋」
膳「いいにきまってんだrrrrrrrrrるうぉ!!??」
身体をいきなり起こし反論・・・瞬間の激痛
膳「ぐへぁああああああ‘‘あ‘‘あ‘‘!?!?」
こ・・こしが・・・腰が・・・
ヤガラ「なーにやっとんじゃおのれはww安静にしとけい」
全く持ってその通り。いやぁ、ぎっくり腰怖い
膳「たーーーーばこーーたーーーーばこーー、たーーっぷぅぅりたーーーーばこーー」
ヤガラ「あまりの痛さに幻覚でも見始めたか?」
まともだよ、煙草吸いたい以外はな
ヤガラ「どうにかソファーに移れんのか?」
どうにか・・やってみるか・・
俺はそーーっと体を起こし起きてみる
お?意外と行けそう・・痛いけど
ゆっくり腰を下ろす
膳「だはぁーーーッ・・行けた」
ヤガラが相変わらずニタニタと笑いながら見守ってるが、まあいい
俺は煙草を取り出し、口に咥える。するとヤガラが火を灯してくれる
こーゆー所はありがたい
ヤガラが隣に腰を下ろす。ちと狭い
無理もない、元々1.5人用のソファーだ、そのうち買い換えなきゃな
ん?そういや今普通にヤガラとぶつかってる?
ヤガラ「お前の店で曲がりなりにも信仰を得たからな、お肌もつやつやだぞ」
ツヤツヤは元からだろーに、しかしそうか、あれも信仰になるのか
ヤガラ「どんな形であれ信仰は信仰だからな、金と同じじゃ」
ヤガラが煙を吐きながら答える
確かに、どんなに汚れてようが、意図があって渡されようが金は金か
ヤガラ「それから、ソファーはワシ、このままでいいぞ?くっつけるし」
え?いいの?俺は腹筋触れる位置にあるからたすか・・何でもない
ヤガラ「お主・・本当に変わっとるの・・アレの最中もしょっちゅう触ってくるし、普通胸か尻ではないか?」
げ・・どさくさに紛れて触ってんのバレてる
ヤガラ「お主、目線がわっかりやすいからのー、胸や尻じゃなく、腹筋か鎖骨に大体夢中じゃろ」
いやはい・・おっしゃる通りです。ええやん!!好きなんだから!!
もう開き直る。ええ、ヤガラの腹筋と鎖骨最高ですよ!!堪らん
ヤガラ「その割にはお主、道行く女子には見向きもせんのはなんでじゃ」
いや、その時期は過ぎたというか・・うん
ヤガラ「時期?」
膳「そ、時期、人間の男には自分の好みの女が恋しくて目移りしちゃう時期があるの」
ヤガラ「・・・あー!!思春期か?」
んーー半分正解
ヤガラ「・・・発情期???」
ド直球で来たな、まあそれが妥当か
ヤガラ「ほえ~、お主にもそんな時期があったんじゃの」
物珍しそうにヤガラが煙をくゆらせながら俺を見る
確かにあったよ、発情期、好みの女の子ひたすら探して回った時期
でもな、わかったことがある
ヤガラ「それは?」
ヤガラが顔を近づける
それはな・・俺は絶望的に人間の女を見る目がないってことだ
皆メンヘラになるし、刺されそうになるし
ヤガラ「それ・・お前さんにも原因ないか?」
ヤガラがじとーっとした目で見つめてくる。うん、あったよ
ヤガラ「分かってて直さんのかい」
やれやれと煙草の煙を吐く・・・お前さん今日煙草吸いすぎじゃね?
ヤガラ「お前に言われたくないわい」
ぽわわわと輪っかの煙を俺に当てるヤガラ。それあとで教えて
ヤガラ「して、お前の原因とは?」
ヤガラが興味深々に聞いてくる
原因は簡単、俺は常に自由に行動したい!と思い本当に自由に行動するのが原因だ
自由は良い、だからlineなんて基本見ないし返さない。3日たった後、返すの忘れてたことを気づくぐらいに、だからそういう女の子はどんどん病むし、交友も男女関係なくやるのでさらに病む、感情のジェットコースター並みに、いや、本当にその子の事は好きなんだが、そんな四六時中居なくてもねぇ?関係は目に見えなくてもあるんだし、付き合っている以上最初からヤリ〇クや二股相手でもない限り優先順位上位に居るのは間違いない、じゃあそれでよくね?ってなちゃうのだ。まあ、病みやすい相手を気に入りやすいという俺の眼が悪いせいもある。だからline既読5分以内とか寝落ち通話とかやる意味が一生わからないのだ。と長文を述べてみる
ヤガラ「ふむ・・ソレ、単にお前が選ぶ女子の趣味が悪いのでは?」
スパッと言われた。
膳「その通り、あと俺人間嫌いだし」
ヤガラ「じゃあワシは何故大丈夫なんじゃ?」
膳「人じゃないじゃん」
ヤガラが確かに・・と考える人のポーズを取る
ヤガラ「あとは?」
膳「ん?」
ヤガラが煙草をもみ消し詰め寄る
膳「あとは腹筋と鎖骨」
ヤガラ「祟るぞ貴様」
やめて?冗談だから、だからそんなに筋肉盛り上げないで??
膳「病まないし、なにより一緒にいて気分いいからだよ、人間と付き合ったときみたいな変な虚無感がない。いつも自分は自分って、しっかり芯通ってるからかな、あと笑顔良い笑い方するよねヤガラ」
そう伝えると盛り上がってた筋肉がしぼんでいき、いつものヤガラになる
ヤガラ「んーーーー」
膳「んーーーー??」
どうした
ヤガラ「まあ・・及第点」
お、どうやら合格らしい、やったね
ヤガラ「次の機会までもう少しマシな答えを用意しとけ」
はいはい、
ヤガラ「ちなみにじゃぞ?仮に、もし仮にワシに良い人が出来たら・・」
膳「(この世の終わりのような顔)」
ヤガラ「・・・冗談じゃ、お主以外におらんから、そんなこの世の終わりみたいな顔をするな」
え?今そんな顔してたの俺?絶対してない
ヤガラ「してた」
膳「してない」
ヤガラ「いーーや!!してた!!大体お前こそコロっと恋するかもじゃろ」
膳「ない(キッパリ)」
ヤガラ「こ・・・こやつ真顔で言いよった・・」
だからぁ・・もう人間関係に疲れてるんだって・・・今じゃ仮面無で会話できるのヤガラぐらいだよ」
ヤガラ「ふむぅ・・」
いまいち納得いってない顔をしながら証拠はないか、証拠は!って言ってくる
膳「じゃあ今度働いてるとこ見学にでもきたら?」
思い切った提案をした
ヤガラ「暑いからヤ!!」
これだよもう・・
よく物理的な、愛してる~とかキス求められてたことあったなぁ・・言わなかったししなかったけど
ヤガラ「お前・・それはどうかと思うぞ??」
返信来るまで一生短文送ってくるし、私の事好き?とか毎回聞いてくる愛情の受け皿の底に穴が開いてるやつに他にどうしろと
ヤガラ「・・・すまぬ」
ハァー、と顔に手をやりながら割と真剣に謝られた。分かってくれて嬉しいよ
持っていた煙草を一気に吸い、吐き出す、煙が広がり・・消えてった
今後も人を好きになったり、ましてや愛したりすることはないだろう
隣でいつの間にか酒を開けてるヤガラに目をやりながら、うん悪くないと思う膳だった




