第80話 総力戦11 源一族の忌み嫌われ者
ロゼアという存在を認識して、なんというか…心のもやもやが晴れ…てないな。なんなら少し濃くなった気すらする。でも、やることは一つだ。
あの悪魔に勝つ。それだけだ。
あいつは今右腕を失い、その代わりに剣に血を纏わせている。あいつは剣を振るうときは右腕だった。それが左手になったことで剣技に変わりがあるのか。それを俺は知らなければならない。
真「『金紅羽・積善』」
俺は翼から大量の羽を飛ばした。それをあいつは巨大化させた剣で横なぎ一閃、すべての羽を蹴散らした。
アンドラス「俺様がこんなので止まるかぁ」
そう言いながらあいつは俺の方に向かって進んできた。
…なんだろう、もちろんこれと言った覚醒だの進化をしたわけじゃない。だが…あいつのスピードが遅くなった…?そう感じた。
奴が持っている剣を俺の腰目掛けて振るうが…振るスピードがゆっくりすぎて逆に避けるのが難しいくらいだ。
のろい剣を避けた俺はカウンターで腰に向けて刀で斬ることが出来た。
スサノオの刀である天叢雲では傷の治りが遅くなる。あいつの腰から血がドバドバ出ているが、それが治ることもこの戦闘ではもうない。
アンドラス「…なんだぁ?それぇ」
真「さあね。もう当たることもないんじゃないかな」
それを聞いたあいつの顔がただでさえ赤いのに、さらに真っ赤に染まる。
アンドラス「そうかぁ。一旦死んどけぇ」
血を纏う剣をとてつもない力で握っているのか。…え?
「シュウ…」
握る力で…熱が発生している…のか…?赤い血が全部蒸発していってるぞ…!
アンドラス「『悪魔崩壊』」
蒸気を発する剣を地面に突き刺した…。
「ゴゴゴゴゴゴ…」
地面が…揺れている…。巨像が現れた時ほどではない。だが、この辺り一帯が全て揺れているんだ…。
アンドラス「当たるぞ?そこぉ」
直後…
「ビュン!!」
赤い鋭利な針が飛び出した…。
「ビュン!!」
「ビュン!!」
一つを避けているとすぐに後ろから針が飛んでくる…。
だが、針のスピードも遅い。本当になんなんだ?これ。ロゼアと会ったことが影響しているのか?
真「これならまだ避けれる」
アンドラス「そうかぁ。なら…」
地面に突き刺している剣を拳で打った…?いや…これは…
アンドラス「針山地獄だ」
やばいのが来るぞ!
そう思った時には…!
「ドスドスドス!!!」
これが地面に眠っていたのか…そう思うほどに、視界すべてを埋めるレベルの針山…!本当に針山地獄だ…。これはスピードの問題ではないな…。
俺は朱雀の翼で空中に飛んだ。だが…ちょっと飛べば解決なんてレベルではない。針山の中には15mを超えるレベルがわんさかあるし、やばいのだと…プールがすっぽり埋まるレベルの大きさがあるぞ…。
「バサ…」
ん?翼の音?いや、朱雀の翼は…今まで意識をしたことがなかったが…音しないのか。自然と使っていたけど、こんなのもあるのか。…って今はそれどころじゃない。音が近づいてきている。それを警戒しろ…!
「ビュン!!」
空中では今までの動きができるわけがない。地面に足をつけて躱すのと空中にいて翼で移動するのでは…
「ブシュ…」
話が変わる…。朱雀の翼が…剣によって貫かれてしまった…。バランスを崩した俺は針山に向かって…
「バサ!!」
朱雀「お主を死なせんと言ったはずじゃ」
落ち…てない…?それに朱雀の声…。
真「朱雀…」
朱雀「うむ、わらわじゃ。よいか、真。わらわが全ての攻撃をかわす。お主は攻撃に専念せい。なんか知らんけどゆっくりと見えるお主の視界とわらわの空中制動があればすべての攻撃を避けることも可能じゃ。けど不安じゃから一応『不壊の誓い』をやっておくぞい」
俺の腰らへんから生える尾の一本が光り輝く…!
真「でも…これだけの差じゃ…」
スサノオ「案ずるな。真。今の君には我もいる。それにあの御方も見ている。神話能力の一つとして、恥ずべき行動はしない」
ロゼアも…この戦闘を見ているのか。なら…頑張らないとな。
真「って…頭に乗ってるのか。もうそれが通常運転になってんな」
スサノオ「まあな。さて真、先ほどのあの少女を乗っ取っていた悪魔を相手に我は君の体を借りて『天帝覇王流』を使った。それは覚えているな?」
あの少女ってのは…おそらく玲音のことだろう。悪魔もそうだったからな。間違いないんだろう。
真「うん。それは覚えているよ」
スサノオ「我が剣技『天帝覇王流』の中で最も簡単であり、最も純粋な力勝負をすることのできる技。それこそがあの悪魔にはなった技である『覇王戴斬』。それだけは『覇王流』を会得していなくてもいい。なんせこれはただ単に我が刀を高速に横薙ぎしているだけだからな」
えそうなの?威力が高すぎて悪魔の体を両断してなかったか?というか高速って…それ俺の想像する高速の範疇に収まってるかな?
真「えっと…それって今の俺にできるの?」
スサノオ「できるから教えるんじゃないか。なあに、簡単さ。『八尺瓊勾玉』の力で引力と斥力があるだろう?」
真「うん」
スサノオ「まず刀を構えるだろ?それで刀を振る時、自身の重心を超えるまでは斥力で引っ張り、それを超えたら引力で持ってくる。それで終わりだ。腰の回転や、その加速のスピードも合わされば『覇王戴斬』が完成だ」
めっちゃむずいことをやってますやん。え?これが簡単?神の基準ってやばいね。
真「それ俺できる?」
スサノオ「無理だな。だから我がいるんじゃないか。ゆくゆくはこれを自分の力でやってほしいが、いまの君では無理だろう。君は刀を振り、その際に腰の回転を意識してくれればいい。もちろん神気は全開だ。そうでもしないと奴は殺せない」
真「…思ったんだけどさ、宙にいて腰って回転できる?」
スサノオ「無理だ。威力も乗らないな」
あかんやん。スサノオのサポートあっても腰の回転ができないから意味ないやん。
スサノオ「なんなら腰を回す際には左足で踏ん張ってほしいな」
空中にいるんすよ今。踏ん張るも何も空気しかないんだよ。なんもできへんのや。どないせえちゅうねん。ほんまに。
朱雀「ならばわらわが鳥の姿になろう。真。覚えておるか。わらわ本来の大きさを」
真「めっちゃでかいやつ?」
朱雀「うむ。あれほどではないが。お主がわらわの背に乗り、不自由なく刀を振れるほどの大きさに抑えればよいのじゃな?」
スサノオ「ああ。頼むぞ」
朱雀「承知。真、少しだけジャンプをするのじゃ」
真「うん」
俺がジャンプをすると朱雀が車より少し大きいくらいの大きさとなった。そして俺はその大きさの朱雀に着地をした。
さてと…スサノオがサポートしてくれるらしいし…朱雀に乗ってるから空中戦でもなんとかなる。神を二体も使っての戦闘なんて…今になってわかる。やはり俺は恵まれている。
でも…あいつは…あの悪魔はどこだ?そう辺りを見渡していると…
「シュ」
一帯に生えていた巨大な針が…消えていったのだ。どういうことだ?
そう思っていると…
「ガゴン…」
さっきの巨像の方から音が…俺はそっちに視線を向けると…なんと…
「お前らがそんなにガチになっちまうからよぉ。こっちもいくとこまでいくぜぇ?」
あの巨像が…
「グオオオオオ!!!」
動き出した…!?
真「朱雀!あっちに行くぞ!」
朱雀「うむ!ちゃんと捕まれ!」
あっちには…颯治さんや翠花姉が…そうだ、翠花姉は!?悪魔に気絶させられていたはずだ…。
「羅弾…こっちに戻れ…」
巨像が発する声は…なんというか…体の芯に響くような重い音だ…。
声に反応するように巨像の頭に光が現れ、そして羅弾がいた…。
「真くん!」
俺を呼ぶ声…安心感のある声だ。俺はその声の主の方を見て向かうと…
翠花「よかった…心配だったんだからね?」
俺を抱きしめる翠花姉…。俺まだ朱雀の上にいるのに飛び乗ってきたよこの人…。すっごい締めてきますやん…めっちゃ痛い…。
颯治「翠花。まだ安心するのは早い。あの巨像…悪魔がとうとう本気を出してきたようだ。羅弾をあそこまで追い詰めたのに…振りだしか?」
羅弾を追い詰めていたのか…だが悪魔の力なのかわからないが、状況が振り出しになった可能性は…なくはないかもしれない…。
翠花「いや、あの悪魔はわからないけど、確実に減ってる。真くん。悪魔はどんなことをしてきた?巨像が真くんのいる方向にあの大きい剣を投げたのは知ってるけど…」
結構早い段階で意識を取り戻していたんだな翠花姉。
真「あの剣は伸縮自在で、大きさに応じて神気も増えているような気がする」
颯治「なるほど…あの剣は警戒か。それ以外は?」
真「地面を針山で埋め尽くすとか…でもそれ以外に能力は…」
翠花「ない…と。羅弾叔父さんの能力が破壊に特化してた。頑張ればなんとかならないでもないけど、あの巨像のサポートもあってのだと…話が変わるかも」
状況ははっきり言って劣勢。でもこの2人がいてくれているんだ。俺一人ではないんだ。絶対に勝てる。
「ガゴン…」
巨像が動き出した…持っている剣を俺たちに向けて振ってきたな…。
颯治「翠花!真!申し訳ないが僕はこの像を止める!羅弾を頼む!」
颯治さんがそう言いながら…
「バコン!!」
剣を足で止めた…。あれを足で止めるとか…やっぱり規格外なんだよな…避ける以外の選択肢が俺にはない。
翠花「真くん。朱雀様に乗って頭まで向かうよ」
真「わかった…で、でも…」
翠花「お兄ちゃんなら大丈夫!私らが速く終わらせればそれだけ万が一を防げる!」
そうだよな。俺では無理かもしれないが、あの人ならきっとできる。圧倒的に俺より強いんだからな。
真「わかった!一気に行くよ!」
翠花「お願い!」
朱雀の背中に俺と翠花姉が乗り、一気に巨像の頭まで来た。地上では颯治さんが巨像の的になっていて、俺たちに攻撃が来ることはなかった。
巨像の頭に着地すると…羅弾がいた。だが…さっきよりも血に塗れている。翠花姉と颯治さんを相手に戦ったからだろうな。
翠花「羅弾叔父さん。終わらせに来た」
羅弾「そうかよ…終わんのは…お前らだがな!」
…なんだ?あいつの顔…目元に黒いモヤ…いや、刺青のようなものが顔の半分を覆っている…。
それでもあいつは剣を振る…。戦闘に集中しろ。あいつの変化は二の次だ。
翠花姉と羅弾が競り合いを始めるが…翠花姉はやっぱり剣技がすごい。羅弾を圧倒している。
羅弾「この数日でお前に何があった?それだけの技量を身につけれるほど容易なものではないんだ。なにをした?」
翠花「お父さんに改めてうちの意義、そして覇王流を教えてもらった。今までは蓮乃に教えてもらった王羅の構えとかすかに残る覇世の構え。これだけで戦ったけど…やっぱりお父さんに教えてもらった剣技がすごい。蓮乃は分家だったから少し伝承が曖昧だったけど、お父さんはやっぱり全部知ってる。だから全部体で覚えた。だからもう…」
翠花姉が刀を上段に構え振り下ろそうとする…それを防ごうとする羅弾だが…
「パキン」
羅弾が持っていた剣が完全に折れた。
翠花「あなたには負けない」
だが…それでも…羅弾の地面から剣が生える…。
羅弾「こうしちまえば…」
翠花「あなたは武士道のある人だった。自分の失敗に気が付けば潔く認める人だった。それなのにどうして?」
羅弾「…」
翠花「あなたはお父さんでさえも勝てないほどの剣技の持ち主。なのになんで悪魔なんかに手を染めた?罪なき人の命を奪う理由は?」
翠花姉の言葉の一つ一つがあいつの心を穿っているような気がする。刀ではないそれは身体的に負傷がなくても、心に負傷を負わせるには十分なほどに。
羅弾「お前に…なにが…」
そう言いながら羅弾は…持っている剣を捨て…翠花姉の顔を掴んだ…。
羅弾「お前に何がわかる…。俺がどこまでやったってそれを超えてくる兄が…お前らの父親が…たまらなく…うぜえんだよ!!」
翠花姉の顔から…汗でも血でもない…黒い液体が流れる…。
翠花「ぐ…」
真「翠花姉!!」
だが翠花姉は…自分の顔を握る羅弾の腕をつかむ…。
翠花「人にはできることとできないことがある…お父さんにだってできないことはいくらでもある…。あの人…うちの伝承に登場する漢字以外の漢字読めないんだよ…。箸の持ち方だってぐちゃぐちゃ。それに比べればあなたなんて…」
羅弾は握る力を一気に強めている…!
羅弾「んなもんで満足なんか…してたまる…!」
「ザシュ」
翠花姉を掴む羅弾の腕が…切り落とされた…。それをやったのは…
翠花「真くん…」
そう、俺だ。これ以上翠花姉が傷つくのを…俺はもう見てられなかった。黒い液体を流す翠花姉を見てられなかった。
羅弾「小僧…お前…」
羅弾が俺に向かって拳を振り下ろそうとする…だが…その寸前…
「パキン!!」
地獄のような世界の空に…白く光る亀裂が走り、それは一気に広がりこの世界を壊した…。
羅弾「は?」
崩れ落ちるこの世界をただ茫然と見つめる羅弾…その目にはもう目の光はなかった…。
羅弾「…そうか…颯治…」
羅弾がそう言うと…この世界が完全に壊れ、広がるのは火が付いた校舎、完全に崩壊した小学校の校舎、黒色の雲…あの世界から戻ってきたんだ。
羅弾「アンドラス…お前…巨像の力をもってしても…颯治に負けたのか…」
羅弾がそう言うと…
颯治「ああ。あの悪魔の力も今の僕には敵わなかった。それだけだ」
膝から崩れ落ちる羅弾を前に歩みを進める颯治さん。そして…手には颯治さんの刀だろうか。それが握られていた。
颯治「羅弾。あなたは一族の人間を殺し、そして無実の民を数多く殺した。その人たちの無念を地獄で償うといい」
そう言いながら刀を上段に構える颯治さん…だが…彼が握る刀は震えていた…。
羅弾「…当主になっても…昔に比べると圧倒的に成長しても…お前らは…お前らなんだな…」
{お前の子どもたちは立派に育ってんだな…クソ兄貴…一族の当主になるレベルの強さ…俺が欲しかったものなんだがな…}
颯治さんが…刀を振ろ下ろす。それは羅弾を袈裟に斬っていた。
颯治「さらばだ。源羅弾…」
翠花「さようなら…羅弾叔父さん…」
斬られた羅弾は…大の字となって倒れた…。
颯治さんも翠花姉も倒れている羅弾を見ることなく、その場を後にした…。
だが…なんだろう…。なにか…胸騒ぎがする…。そう思った俺は倒れる羅弾を見ていた。
すると…
「ズザ…」
真「え…」
なんと…羅弾が…立ち上がったのだ…。それに手には…なんだ…あれ…剣を持つところか?それを持って…
俺の第六感が警笛を鳴らし、俺はもう羅弾に向かって走っていた。
真「やめろおおおおお!!!」
何が起こるかわからない…だが俺はあいつを止めなくちゃいけない。そう思ったんだ。
翠花「真くん!?」
颯治「なにを!?」
羅弾が持つ剣の持つところが…炎を纏う…。そしてそれを自身に向けて突き刺そうとしている…!
俺は朱雀を解放し、大きな翼を広げ、あいつに向かって抱き着きに行った。
抱き着いたと同時…羅弾は自身の心臓に向かって突き刺した…。
「ボオ!!!」
強烈な炎が俺たちの体を焼く…だが…今の俺にはそんなの…関係ない…!!
翠花「真くん!!」
颯治「だめだ翠花!!戻れ!!」
翠花「く…真くん!!」
不器用なんだよな…俺。もしかしたらもっといい手段があったかもしれない。でも、これが俺ができる最善の方法だった。だから別に悔いはない。
少し時が経って炎の勢いが収まり、焦げた匂いがする場所を散策する翠花と颯治。
翠花「真くん!どこ!?」
颯治「あの威力…もしもが…」
翠花「言わないで!お兄ちゃん!」
必死になって探す翠花。歩き回る翠花が…人影を見つける…。
翠花「…!!」
翠花がその人影に向かって一気に足を進める。そう…
真「あ…翠花姉…」
俺だ。翠花姉が俺のことを抱きしめる…これ今日何回目かな。翠花姉はやりながらも治療をしてくれている。なんというか暖かいんだよな。翠花姉の治療は。
翠花「よかった…無事で…」
真「ごめん翠花姉…やり方がこれしかなくて…」
翠花「心配するこっちの身にもなってよね…もう…でも無事で本当に良かった…」
そう言いながら辺りを見回す翠花姉…言わなくても分かる。探しているんだ。あの人を。
翠花「真くん、羅弾叔父さんは?」
やっぱりな。まあそれくらいしか考えられないか。
真「あそこ」
俺が指をさす方向に倒れている羅弾の姿がある。翠花姉は俺のことを抱きかかえながら近寄った…。
翠花「羅弾叔父さん…」
翠花姉が羅弾のことを最低限治療する。すると…すぐに羅弾が目を覚ました…。
羅弾「が…あぁ…なんで…俺…生きている?」
それを聞いた翠花姉が答える。
翠花「真くんがあなたを守った。それ…わかってるの?」
羅弾「小僧が…俺を?」
真「うん。なんかやばい気がして…」
羅弾「…そうか…俺…死ぬ気だったんだがな…」
死ぬ気だった…?たくさん人を殺して、それで自分が負けたから死ぬって?そんなの…
真「それを俺は…許さない…!!」
明らかに怒気が伝わったんだろうな…翠花姉に関しては目を見開いている…。
少し声が大きかったのか…遠くからも視線を感じる…おそらく颯治さんだろう。
羅弾「…」
真「あんたが奪った命がどれだけあるかなんて俺は知らない。でも…命はもう戻らない。あんたが嬉々として奪った、未来輝くはずだった命を、その遺族たちの思いをあんたは捨てて、自分が負けたから自殺をする?そんなのが許されるはずがない…。あんたは奪った命の分だけ今後の人生でそれを償うんだ…!」
らしくないことを言ってるのは分かってる。だが…それでも俺は言いたかった。こいつが奪った、無念に散らされた命が成仏できるように、この男に言っておかなければならなかった。
羅弾「…なあ小僧。教えてくれよ。お前は俺の命を救ったのではなく、俺に罪を償わせるために生かした。そうか?」
真「…ああ」
それを聞いた羅弾は深呼吸をして声を上げる。
羅弾「颯治!!いるんだろう!!」
そう声を発すると俺の後ろに着地をした音がした。
颯治「ええ。なんです?」
羅弾「兄貴に伝えておいてくれよ。屋敷に行くってよ」
颯治「今からでもいいのですよ?」
羅弾「ならそうさせてもらおうか…」
そう言い羅弾は俺に視線を送り、言葉を紡ぐ。
羅弾「小僧。お前がそんなことを言うもんだからよ、じじいは死ぬ気がなくなった。生かされた身だ。お前の言うように罪を償う。それが俺が言っちゃあれかもだが…任侠者のすることだろうな」
そう言い颯治さんと羅弾がその場から消えた。
赫星真、源翠花、源颯治対源羅弾の戦いは2人の人間がその場から去ったことで終止符を打った。




